戦神(せんじん)の魂と経験共有で強くなる~白き戦神の冒険譚~

ルキノア

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フレスガドル

精霊王との決着

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アルノアが必死にシエラの魔力の中に自分の意思を乗せようとしているのを感じて、ユリウスは声をかける。
「アルノア!俺たちもサポートする!お前だけに全部任せるつもりはない!」

アルノアは魔力に思いを乗せて仲間に放つ。
「助かる!でもシエラの中心に俺の魔力を送り込むのは俺自身がやる……俺の個性ならシエラへの負担を限りなく減らせる!」

ユリウスは頷き、さらに魔力を集中させて精霊の暴走する力を封じ込めるための結界を強化した。
「分かった。シエラはお前に任せる!精霊の方は俺たちが全力で抑える!」

デクスターが分析結果を報告する。
「暴走の中心にいるシエラの魔力が精霊の力に完全に飲み込まれそうだ!だが、アルノアの魔力がそれに干渉している……今がチャンスだ!」
「今なら精霊はアルノアの魔力干渉によって力を出し切れない。とにかくアルノアの魔力をかき消そうとする精霊の攻撃を何としても妨害し続けるんだ!」


エーミラティスの力を宿したアルノアの姿が、暴走するシエラの前に立ちはだかる。荒れ狂う風の中、エーミラティスはその存在感を際立たせ、鋭い声を放った。

「名を聞こうか。その力、ただの精霊ではないな。」

風の暴力が一瞬だけ止まり、精霊の形をした存在がアルノアを見据えるように現れる。そして、その声は威厳に満ちていた。

「我は風の精霊王。大気と嵐を統べる存在なり。」

エーミラティスは一瞬だけ目を細める。
「ほう……風の精霊王が人間の器を用いてまで何を企む?」

精霊王の目が冷たい光を帯びる。
「貴様、戦神エーミラティスよ。本物ならばその疑問の答えは分かっているはずだ。」

 精霊王の言葉にエーミラティスは短く笑う。
「ふん、精霊王ともあろうものが、己の力を抑えもせず人間に害を及ぼすとは……下劣よのう。」

精霊王はその言葉に動じることなく、静かに答えた。
「下劣だと?もしお前が本物の戦神エーミラティスならば、再び破壊の時が迫っていることを知っていよう。確かめないわけにはいかぬ。そのためならば、多少の犠牲を払うことなど厭わない。」

その言葉には揺るぎない意志があった。精霊王の存在がシエラを侵してまで姿を現した理由がそこにある。

 エーミラティスは短く嘆息し、嘲笑混じりの声を響かせた。
「犠牲、か……。さすがは精霊王ともなれば、人間一人の命など取るに足らぬものと思っているようだな。」

「必要な犠牲だ。貴様が再びこの地に戦いをもたらす存在か否か――それを知るためには、力を見極めるほかあるまい。」

「ならば問おう――お前たち精霊が我を恐れる理由は何だ?」

精霊王の目が鋭く光る。
「恐れる?違う。我ら精霊が恐れているのは、破壊そのものだ。お前がその象徴だからこそ、再び現れたお前の力を確認する必要があるのだ。」

 エーミラティスは鋭い目で精霊王を見据え、静かに言った。
「ならば、確かめるがいい。ただし、我を侮ったこと、後悔させてやろう。」

精霊王の力を前にしても、エーミラティスは一歩も引かない。その威風堂々たる姿はまさに戦神の名にふさわしい。

 その戦いの中で、アルノアの意識もまた揺らぐことなく、シエラの中へと魔力を送り込む作業を続ける。彼は心の中で静かに思った。

(エーミラティスがこの精霊王と戦っている間に、シエラを救い出す。それが俺の役目だ……!)


エーミラティスの力を借りて精霊王と戦う一方で、アルノアはシエラの中に意識を送り続けていた。彼の魔力はシエラの暴走した魔力に触れ、わずかに繋がりを持ち始める。

「シエラ、聞こえるか?」
シエラの心の奥底に語りかけるアルノアの声は、優しくも力強かった。

「お前はこんなところで負ける奴じゃないだろ。お前自身の力で、この状況を変えるんだ!」

シエラの心が揺れる。暴走する魔力の嵐の中、彼女の意識がわずかに浮上し始める。

「……アルノア?」

その微かな声を感じ取ったアルノアはさらに魔力を送り込み、彼女に呼びかけ続ける。

「俺を信じろ。お前ならできる!その精霊に支配されるんじゃなく、お前自身が立ち上がれ!」

シエラの中で激しく渦巻いていた精霊の力に、彼女自身の魔力が反応する。そして、アルノアの魔力が彼女の力と一体化し、暴走する精霊の魔力を引き離し始めた。

 シエラの魔力が精霊の力を押し返し、ついに精霊の顕現が揺らぎ始める。風の嵐が収まり、精霊王の姿がかすかに薄れていく。

「……もう限界か。」

精霊王の声はどこか穏やかだった。その目がアルノアとシエラに向けられる。

「お主は確かに、かの戦女神であった……。つまり、あの破壊と再生の時代が再び訪れることになるのだろう。」

エーミラティスに向けたその言葉には、確信にも似た何かがあった。

そして精霊王はアルノアを見つめる。
「戦神を連れし小僧……お主の力もまた、それを感じさせるものだ。お前たちの道がどうなるのか……興味深い。」

 精霊王の姿がさらに薄れていく中、穏やかな声が響いた。
「小娘よ、無理やり顕現してすまなかったな。だが、これで終わりだ。」

その声にシエラは涙を浮かべながら口を開いた。
「……あなた、今ようやく気づいた。小さい頃からずっと、私を守ってくれていた精霊よね。」

その言葉に、精霊王の目が柔らかく細められる。

「そうだ。お前が幼き頃より、常に風となり、影となりお前を守ってきた。それを忘れたことも責めはしない。」

「忘れていたわけじゃない……ただ、ずっと気づけなかっただけ。ありがとう……本当にありがとう……。」

精霊王の力がシエラから完全に離れると、彼女はアルノアの腕の中に倒れ込む。その表情は穏やかで、どこか安心しているようだった。

 エーミラティスは、精霊王が消えゆく最後の瞬間に呟いた。
「……精霊王よ、次に会う時はこう穏やかでは済まぬかもしれんぞ。」

精霊王の声がかすかに返ってきた。
「その時が来るならば、その時こそ全力で応じよう。」

嵐のような戦いの気配が消え、静寂が訪れる。アルノアはエーミラティスの力を引き戻しながら、シエラをそっと支えた。

「大丈夫か、シエラ?」

シエラは疲れた声で微笑みながら答える。
「ええ……ありがとう、アルノア。」

アルノアたちの周囲には、暴風が過ぎ去った後の綺麗な空が広がっていた。

エーミラティスと精霊王の言葉はどこか不安な雰囲気を帯びていた。この対話と戦いが、新たな物語の幕を引く大きなきっかけとなるのだった。
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