49 / 65
代表戦編inランドレウス
雷の戦い
しおりを挟むカイゼルの黒雷がアルノアの周囲で炸裂する。雷鳴が響き、観客席から驚きの声が漏れた。
「正直な話、代表戦はもっと簡単に優勝できると思っていたんだがな。」
カイゼルは不敵に笑いながら黒雷を纏う。
「だが――お前は面白そうだ、アルノア。」
雷を帯びた剣を構え、カイゼルの目が獲物を狙う獣のように鋭くなる。
「本気で戦える相手がいるってのは悪くねぇ。」
「そうか。それは光栄だな。」
アルノアは静かに大鎌を握り直す。白銀の魔力がゆっくりと周囲に広がり、氷と雷が絡み合うように彼の周囲を舞った。
「だけど、簡単に優勝できると思ってたってのは、ちょっと舐めすぎじゃないか?」
言い終わると同時に、アルノアは一気に距離を詰め、大鎌を振るう。
「白雷氷刃!」
斬撃とともに、雷を纏った氷の刃がカイゼルを襲う。しかし――
「黒雷障壁!」
カイゼルの周囲に黒い雷が渦を巻き、斬撃を弾く。そのまま、カイゼルは素早く横へ跳びながら手を掲げる。
「雷獄襲来!」
空中に無数の黒雷の槍が生まれ、一斉にアルノアへと降り注ぐ。
「――っ!」
アルノアはすぐに白銀領域を展開し、雷の槍を氷の壁で防ぐ。しかし、黒雷の威力は凄まじく、氷の防御が次々と砕かれていく。
「防御に回るなよ、アルノア!」
カイゼルが地面を蹴り、アルノアへと突進する。
「……チッ!」
アルノアは防御を捨て、大鎌を逆手に持ち替えながらカイゼルの攻撃を迎え撃つ。
そこへさらに追撃が来るり
ゼインの雷炎魔法が燃え盛る雷の槍となり、アルノアとカイゼルへと迫る。
「炎雷槍!」
「合わせる!」
同時に、カインの雷撃がゼインの炎と混ざり合い、さらなる爆発的な威力を生み出す。
「チッ……やってくれるな。」
カイゼルが素早く黒雷を纏い、雷炎の槍を叩き落とす。しかし、爆発の余波は広がり、黒雷のバリアを削った。
アルノアもまた、大鎌を振るって氷の刃で攻撃を迎え撃つ。白雷氷刃がゼインの雷炎魔法を切り裂き、爆風を巻き起こす。
互いの攻撃を相殺したアルノアとカイゼルだったが、カインの狙いはそこではなかった。
「……火力勝負じゃ勝てないのは分かってる。」
カインは冷静に状況を分析していた。アルノアとカイゼル、どちらも圧倒的な魔力を持つ。真正面からぶつかれば、自分の攻撃は押し潰される。
「だから、ゼイン。俺たちは“戦い方”で勝つぞ。」
「わかってるさ。連携で崩す!」
ゼインがすぐに動いた。彼の雷炎魔法は攻撃力だけでなく、相手の動きを制限する力も持つ。
「雷炎陣!」
ゼインが手をかざすと、地面に燃え上がる雷の紋章が描かれ、アルノアとカイゼルの足元を焼き尽くそうとする。
「チッ、妨害する気か!」
カイゼルは黒雷のバーストで飛び上がり、強引に回避する。
アルノアも瞬時に白雷氷刃で地面を凍らせ、炎を相殺する。
「……けど、ここまでは想定内だろ?」
カインが不敵に笑うと、すでに別の場所に移動していた彼が次の魔法を発動させる。
「雷神断空!」
雷を纏った斬撃が空間を切り裂き、アルノアとカイゼルの間に突き込まれる。
「――っ!」
カイゼルが反応して黒雷で迎撃しようとするが、ゼインがさらに横から援護の炎弾を放ち爆破させ、カイゼルのバランスを崩させる。
「なるほど……お前ら、なかなかやるじゃねえか!」
カイゼルは不敵に笑いながら、黒雷を纏った拳を握りしめた。
アルノアも同様に、大鎌を構えながら呟く。
「面白くなってきたな……」
カインとゼインの雷撃、そしてカイゼルの黒雷。
三者三様の雷の奔流が戦場を駆け巡る中、アルノアは冷静にエーミラティスへと意識を向けた。
(……エーミラティス、少し貸してくれ。)
《分かっておる、お主なら扱えるはずだ》
意識が重なった瞬間、アルノアの目が再び白銀に輝く。
全身の感覚が研ぎ澄まされ、世界がスローモーションのように映る。
「……行くぞ。」
その声と同時に、アルノアの動きが変わった。
鋭い踏み込みと共に、一瞬で間合いを詰める。カインとゼインが繰り出す雷撃の網をくぐり抜けながら、最小限の動きで回避。
「なっ……!?」
カインの雷の拳が掠める瞬間、アルノアはわずかに体をひねり、まるで風のように回避する。
同時に、ゼインの雷炎の槍が背後から迫るが、アルノアは振り向きもせずに大鎌を後方へと振るった。
――白雷氷刃!
刹那、雷を纏った氷の刃が発生し、ゼインの槍を切り裂く。
「チッ……!」
ゼインが後退するが、アルノアの動きは止まらない。
カイゼルが黒雷の拳を纏って突撃してくる。
「ハハッ、面白いな! どこまで避けられる!?」
黒雷が迸る拳が襲いかかる。しかし――
ヒュンッ!
アルノアの体が風のように流れ、拳が空を切る。
「なっ……!? こいつ、動きが……!!」
カイゼルが驚愕する間もなく、アルノアの大鎌が閃く。
「……甘い。」
一閃。
――ズバァァッ!!!
空間を裂くような一撃が、黒雷を纏うカイゼルのガードごと弾き飛ばす。
「ぐっ……!」
カイゼルが着地しながら態勢を立て直すが、その表情は笑みを浮かべていた。
「ハハッ! やべぇな、アルノア! お前、どこまで強くなった!?」
ゼインとカインも息を整えながら、アルノアの異次元の動きに警戒を強める。
「こいつ……さっきまでとは別物だ。」
ゼインが歯噛みしながら呟く。
アルノアの目は静かに白銀に輝き続けていた。
(……もう一段階、上げられる。)
エーミラティスとの融合が進み、アルノアはさらなる領域へと足を踏み入れようとしていた。
アルノアの異次元の動きに対し、カイゼルは笑みを浮かべながら拳を握り締めた。
「……やっぱり使わねぇと戦えねぇよな。」
ゴゴゴ……ッ!
黒雷がカイゼルの体を包み込み、彼の肌に黒い雷の文様が浮かび上がる。
「……ッ!?」
アルノアは瞬時に警戒を強める。
カイゼルの姿が変わっていく。
――雷獣モード
筋肉が隆起し、体つきがやや獣に近いものへと変化する。指の関節が鋭くなり、黒雷を纏った爪が伸びる。
その瞳はまるで獲物を狙う獣のようにギラついていた。
「……お前との戦い、ワクワクしてきたぜ。」
ドンッ!!
一瞬で姿が消えたかのように見えた。
「速い……!」
アルノアが反応するより早く、カイゼルの黒雷の拳が目前に迫る。
「ッ――!」
咄嗟に大鎌を構えるが――
――ズガァァン!!!
圧倒的な衝撃が大鎌越しに伝わり、アルノアの体が大きく吹き飛ばされる。
ゴゴゴゴ……ッ!
アルノアは地面を削りながら後方へと滑り、なんとか踏みとどまる。
(……っ、この一撃、さっきまでとは桁違いだ!)
カイゼルの姿はすでに別次元の領域に達していた。
「ハハハ! どうした、アルノア!!」
カイゼルが黒雷の奔流を纏いながら、獣のように四つん這いの姿勢になる。
次の瞬間――
「――雷爪閃牙(らいそうせんが)!!」
黒雷を纏った爪が空間を裂くように振るわれる。
「……くっ!」
アルノアは即座に白銀の魔力を練り、大鎌に雷氷を纏わせる。
「――白雷氷刃!!」
雷と氷の斬撃がカイゼルの黒雷爪と激突する。
――ドガァァン!!!
衝撃波が戦場を駆け巡る。
アルノアは僅かに後退し、カイゼルは余裕の笑みを浮かべた。
「お前、まだ本気じゃねぇよな?」
アルノアの白銀の瞳が揺らぐ。
「なら……もっと、見せてみろよ!!」
カイゼルが更なる雷を練り始める。
雷獣と化した彼との戦いは、まだ始まったばかりだった。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ
よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。
剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。
しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。
それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。
「期待外れだ」
「国の恥晒しめ」
掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。 だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。
『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』
彼だけが気づいた真実。
それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。
これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。
【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる