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第十話*
◇
黒王が俺に乳白色の石を持たせたのは、単に俺が哀れだったからだろう。
自ら術を組み込んだとは言え、その効力の強さを知っているのも彼だけだ。
「憎しみあう二人が仕組まれた運命に屈するのなら、私の目的は自ずと遂行される」
なんて訳のわからないことを言って奴はいつの間にか消えていたけれど、俺はもうそれどころではなかった。
入れ替わりに来たのは白魔導士の女だ。
案の定発情期に入った俺の姿を目にやると、光のような速さで俺を転移させ、アレスの宿部屋に放り出したのだ。
「これほどのまでの香りをかつて感じたことがあっただろうか。もしやアレス、貴方にもなにか異変があったのでは」
女はそう問うたが、偽発情期に入った俺の姿を目にした途端、勇者は見事に理性がぶっ飛んで、間髪入れずに服を剥ぎ取りちんぽを突き入れてきたので恐らく耳に入ってなかっただろう。
衝撃で叫び声を上げ快楽に悶え転がる俺の両足首を掴み、ずんずんと抽送が繰り返される。その圧倒的な存在に脳髄が痺れるほどの悦楽と多幸感にひいひい泣いた。
ちんぽを挿れられて揺さぶられるだけなのに、信じられないくらいの気持ち良さが襲う。充足感に酔い痴れ、この男の子種を欲しがるただのメスになった己にすら興奮する。
大嫌いなその目つき、不機嫌そうに顰められた眉、何も発することがないくちびる。
ただその視線だけは燃えるように熱く鋭く、俺を見ている。
すると俺の身体は火が付いたように勝手に震え、力強く掴まれる部分から徐々に熱が広がっていく。ぐちゅぐちゅと繋がった箇所を抉られると嫌でもこの男に支配されているという被虐的な悦びが湧き上がる。
「おっ♡ おっ♡ すき、すき、ちん、ぽっ♡」
「は、またこんなにフォロモン垂れ流して、誰彼構わず誘ったんだろ?」
「ちがっ♡ ちがう♡ これが好きっ♡ これしからいぃぃ~♡♡」
「嘘つけ! 俺の他にも銜え込みたくて離れたんだろ!」
「ああっ♡ はげしっ♡ ちがっ♡ こ、のちん、ぽ♡ ちんぽぉ……っ♡♡」
白魔導士の存在など忘れ、疼く尻穴の最奥に白濁を出され、正面から、後ろから、壁に手をついて、勇者の上に乗っかって。ただひたすらにその衝動に流され、気持ち良さに喘ぎ泣いて性交を続ける。
ほとんど何も口にせず、水分だけを口移しで摂りながら、そうしてまた舌を絡め合ううちに腰が勝手に揺れていく。
俺たちは再度飽きもせず繋がりあった。
それは正に偽物のフェロモンに屈した、αとβの姿だった。
事態を深刻に受け止めたのは俺だけじゃない。
右の尻が焼けるように熱くて、薄ら目を開けた。
からからに喉が渇いていたが、それよりも鉛のように思い身体に力が入らず、ようやく首を尻に向けるので精一杯だ。
視線の先で、アレスが俺の尻に手をかざしている。
うつ伏せでベッドに倒れ込んでいる裸の俺を難しい表情で見下ろす勇者は、もう理性を纏ったいつもの姿だ。
発情期が去った。
あれだけ欲しいと泣きわめき、念願のちんぽに歓喜した身体の飢えは既に消え去っている。
残ったのは死体のように重い俺の身体と、惨めな男二人だけ。
はあ、と溜め息をついて肘をついて顎を預ける。
勇者が俺を一瞥する。
「……術は解けそうか」
魔法を唱える勇者は、苛ついたように眉を顰めて次にかざしていた手を放した。
「クソ」と、悪態をついた男が睨むように俺を見て口を開く。
「解こうとするとお前の匂いがきつくなる」
「それって……」
「恐らく解除魔法をかけるとフェロモンが発せられる仕組みだ」
構わずに続けると再度発情期のようなフェロモンが発せられ、その香りは次第に強さを増していく。そうなるとαは発情期を引き起こし、術を続けることができずフェロモンに飲み込まれる。アレスはそう言って、疲れたように天を仰いだ。
つまりまだ、術式を解く方法がない。
全裸でベッドに座り込んだアレスを見ながら、もぞもぞと身体を動かす。身体の節々が痛くて、尻の穴なんか言わずもがなだ。だが今はこいつがいるので無視しよう。
気に食わない者同士とはいえ、ひたすら性交に耽った仲でもある。今更全裸だろうがなんだろうがどうでもいい。
のろのろと起き上がる俺をアレスは見向きもせずただ空を見つめていた。恐らくその頭は今フル回転していて、色々と考えているのだろう。
やっとのことでベッドの上であぐらをかく。
俺、あと数日は動ける気がしない。誰かに薬でも頼むか。
勇者を見て、まずないな、と首を横に振り、白魔導士の女を思い出したが尻穴を治療されるのはさすがに御免だ、と溜め息をつく。
「整理しよう」
返事はない。
予想通りなので構わず続けた。
「俺は偽フォロモンを出す術式を刻まれた。結果は見ての通り、αで勇者のお前ですら逆らえない強力なものだ」
深い青の瞳がこちらを見た。
「これはたぶん、Ωの発情期と同じなんだな」
「……αが屈するものは唯一それだけだ」
「今回術のせいで発情期に陥った俺は、他のαにもΩに見られてた」
うろ覚えではあるが、あのとき誰かが俺を見ていた。そのときに「つがい以外とやってもつらいだけだ」とその言葉が妙に耳に残っていた。
誰も俺をβだと思わなかった。
「でも俺の身体はβだ」
「当然だ。いくら黒王が強力な魔法を使えたとしても人の身体を弄ることは出来ない。お前の発情期は恐らく暗示に近いもので、それを魅力魔法と紐付けているだけだ」
なるほどよくわからん。
そういった魔法があるのか。
引っかかることはひとまず無視をしてアレスを見ると、奴は俺をじっと見たあとにフイと視線を逸らした。
「……で、俺の呪いはお前でも解くことができない。そういうわけだな?」
ぐ、と眉間に皺が寄った。
こちらを見ることがないまま、アレスは言った。
「……お前のフェロモンに慣れるか、黒王をぶち殺すかどちらかだ」
「慣れるって?」
黒王が俺に乳白色の石を持たせたのは、単に俺が哀れだったからだろう。
自ら術を組み込んだとは言え、その効力の強さを知っているのも彼だけだ。
「憎しみあう二人が仕組まれた運命に屈するのなら、私の目的は自ずと遂行される」
なんて訳のわからないことを言って奴はいつの間にか消えていたけれど、俺はもうそれどころではなかった。
入れ替わりに来たのは白魔導士の女だ。
案の定発情期に入った俺の姿を目にやると、光のような速さで俺を転移させ、アレスの宿部屋に放り出したのだ。
「これほどのまでの香りをかつて感じたことがあっただろうか。もしやアレス、貴方にもなにか異変があったのでは」
女はそう問うたが、偽発情期に入った俺の姿を目にした途端、勇者は見事に理性がぶっ飛んで、間髪入れずに服を剥ぎ取りちんぽを突き入れてきたので恐らく耳に入ってなかっただろう。
衝撃で叫び声を上げ快楽に悶え転がる俺の両足首を掴み、ずんずんと抽送が繰り返される。その圧倒的な存在に脳髄が痺れるほどの悦楽と多幸感にひいひい泣いた。
ちんぽを挿れられて揺さぶられるだけなのに、信じられないくらいの気持ち良さが襲う。充足感に酔い痴れ、この男の子種を欲しがるただのメスになった己にすら興奮する。
大嫌いなその目つき、不機嫌そうに顰められた眉、何も発することがないくちびる。
ただその視線だけは燃えるように熱く鋭く、俺を見ている。
すると俺の身体は火が付いたように勝手に震え、力強く掴まれる部分から徐々に熱が広がっていく。ぐちゅぐちゅと繋がった箇所を抉られると嫌でもこの男に支配されているという被虐的な悦びが湧き上がる。
「おっ♡ おっ♡ すき、すき、ちん、ぽっ♡」
「は、またこんなにフォロモン垂れ流して、誰彼構わず誘ったんだろ?」
「ちがっ♡ ちがう♡ これが好きっ♡ これしからいぃぃ~♡♡」
「嘘つけ! 俺の他にも銜え込みたくて離れたんだろ!」
「ああっ♡ はげしっ♡ ちがっ♡ こ、のちん、ぽ♡ ちんぽぉ……っ♡♡」
白魔導士の存在など忘れ、疼く尻穴の最奥に白濁を出され、正面から、後ろから、壁に手をついて、勇者の上に乗っかって。ただひたすらにその衝動に流され、気持ち良さに喘ぎ泣いて性交を続ける。
ほとんど何も口にせず、水分だけを口移しで摂りながら、そうしてまた舌を絡め合ううちに腰が勝手に揺れていく。
俺たちは再度飽きもせず繋がりあった。
それは正に偽物のフェロモンに屈した、αとβの姿だった。
事態を深刻に受け止めたのは俺だけじゃない。
右の尻が焼けるように熱くて、薄ら目を開けた。
からからに喉が渇いていたが、それよりも鉛のように思い身体に力が入らず、ようやく首を尻に向けるので精一杯だ。
視線の先で、アレスが俺の尻に手をかざしている。
うつ伏せでベッドに倒れ込んでいる裸の俺を難しい表情で見下ろす勇者は、もう理性を纏ったいつもの姿だ。
発情期が去った。
あれだけ欲しいと泣きわめき、念願のちんぽに歓喜した身体の飢えは既に消え去っている。
残ったのは死体のように重い俺の身体と、惨めな男二人だけ。
はあ、と溜め息をついて肘をついて顎を預ける。
勇者が俺を一瞥する。
「……術は解けそうか」
魔法を唱える勇者は、苛ついたように眉を顰めて次にかざしていた手を放した。
「クソ」と、悪態をついた男が睨むように俺を見て口を開く。
「解こうとするとお前の匂いがきつくなる」
「それって……」
「恐らく解除魔法をかけるとフェロモンが発せられる仕組みだ」
構わずに続けると再度発情期のようなフェロモンが発せられ、その香りは次第に強さを増していく。そうなるとαは発情期を引き起こし、術を続けることができずフェロモンに飲み込まれる。アレスはそう言って、疲れたように天を仰いだ。
つまりまだ、術式を解く方法がない。
全裸でベッドに座り込んだアレスを見ながら、もぞもぞと身体を動かす。身体の節々が痛くて、尻の穴なんか言わずもがなだ。だが今はこいつがいるので無視しよう。
気に食わない者同士とはいえ、ひたすら性交に耽った仲でもある。今更全裸だろうがなんだろうがどうでもいい。
のろのろと起き上がる俺をアレスは見向きもせずただ空を見つめていた。恐らくその頭は今フル回転していて、色々と考えているのだろう。
やっとのことでベッドの上であぐらをかく。
俺、あと数日は動ける気がしない。誰かに薬でも頼むか。
勇者を見て、まずないな、と首を横に振り、白魔導士の女を思い出したが尻穴を治療されるのはさすがに御免だ、と溜め息をつく。
「整理しよう」
返事はない。
予想通りなので構わず続けた。
「俺は偽フォロモンを出す術式を刻まれた。結果は見ての通り、αで勇者のお前ですら逆らえない強力なものだ」
深い青の瞳がこちらを見た。
「これはたぶん、Ωの発情期と同じなんだな」
「……αが屈するものは唯一それだけだ」
「今回術のせいで発情期に陥った俺は、他のαにもΩに見られてた」
うろ覚えではあるが、あのとき誰かが俺を見ていた。そのときに「つがい以外とやってもつらいだけだ」とその言葉が妙に耳に残っていた。
誰も俺をβだと思わなかった。
「でも俺の身体はβだ」
「当然だ。いくら黒王が強力な魔法を使えたとしても人の身体を弄ることは出来ない。お前の発情期は恐らく暗示に近いもので、それを魅力魔法と紐付けているだけだ」
なるほどよくわからん。
そういった魔法があるのか。
引っかかることはひとまず無視をしてアレスを見ると、奴は俺をじっと見たあとにフイと視線を逸らした。
「……で、俺の呪いはお前でも解くことができない。そういうわけだな?」
ぐ、と眉間に皺が寄った。
こちらを見ることがないまま、アレスは言った。
「……お前のフェロモンに慣れるか、黒王をぶち殺すかどちらかだ」
「慣れるって?」
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