雑用係βとα勇者にΩの呪いがかかった話

星井

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第二十話*


 濡らされていく感覚に悶えながら体力の限界で手足から力が抜けていく。
 内部にこすりつけるように腰を動かしていたアレスが、軟体動物のようになった俺の身体を抱き上げるようにして抱え上げた。
 子供みたいにその首にゆっくりと両腕を回して、汗まみれの首筋に顔を埋める。
 甘くてすこし男臭くて、嗅ぎ慣れたその香りに包まれると、なんだか安心した。
 薄暗いダンジョンの向こうでは、アレスの業火に焼かれたあの魔物の骨があるのに、今でも生き残った魔物達が俺たちを襲うとも限らないのに、コイツに匂いに包まれ抱えられているだけで怖いものなんてなくなる。
 これは、なんだろう。
 俺の身体を抱えて繋がったまま歩くアレスは、なんだろう。

「まっ、まて、ん、ん、あっ♡」

 歩く度に内部を抉られる感触に、過ぎた快楽が再び戻ってくる。
 なけなしの体力で落とされないように必死でしがみつく俺は、内部のちんぽがまだ硬いままなのにようやく気付いた。
 アレスの両手が俺の尻を支えるが、感じすぎてヘトヘトの俺の脚はズリズリと下へ落ちてしまう。

「おい、俺は移動してるだけだ。感じるな淫乱が」
「ひっ♡ う♡ う、そだ♡」
「向こうに服脱ぎ捨ててるんだ。大人しくしておけ」
「じゃ、ち、んぽ♡ 硬く、すんなっ♡」

 歩くだけのもどかしい振動で、それでもちんぽが俺の駄目な部分にちょうど当たっているせいでアレスが動く度頭が真っ白になる。
 アレスの顔がすぐ近くにあるから声なんて出したくないのに、遠慮のないその動きにそれさえ叶わない。
 それでも悪態を吐いた俺に、アレスが立ち止まった。
 青い瞳が、俺をじっと見ている。思わず顔を上げてその視線をぼんやり受け止めながら、無言でアレスを見つめた。ずり、と重力に逆らえず右足が地面につく。

「あっ? あっ♡ やっ♡ ああっ♡」

 次の瞬間、片足だけを抱え上げていたアレスがそのまま猛烈な抽挿を始めた。
 俺の顔をじっと見ながら、至近距離で互いに視線を逸らすこともせず。
 じりじりと背中が焦げるような感覚がした。すこし半開きになったアレスのくちびるが、なぜだか気になって無意識に近付く。
 唇を合わせながら内部を穿たれると途轍もなく気持ちいいことを俺は知っている。初めての偽発情期のときも俺たちは飽きるほどくちづけをしながら繋がっていた。
 ばつばつと正面から突かれると俺のちんぽがアレスの腹に擦れてたまらない。
 もっとくっつきたい。ちんぽも中もどこもかしこも、気持ちよくなりたい。
 欲望のままに、俺はアレスのくちびるを舌先で舐めた。舐めて、そして自分の唇を合わせた。
 すぐに熱い舌がもぐりこんできて、俺の舌に絡んできた。それが嬉しくて気持ちよくて、俺はアレスの頭を両腕で引き寄せて夢中になった。
 さっき中出しされた尻穴からとろとろとアレスの精液が流れ出て脚を伝い、繋がった箇所はひどく卑猥な音がして、アレスと自分の腹に挟まった俺のちんぽは性懲りも無く涎を垂れ流している。
 こんなにも隙間なく繋がるのは後にも先にもこれだけな気がするくらい、ひとつになる。
 俺をこんな性交バカにするのは、呪いのせいだ。
 黒王の呪いのせい……。

「んっ♡ んふ♡ は♡ ふぁ♡ ぁぁぁ……っ♡♡」

 舌を絡め合いながら絶頂に喘いだ。
 遅れてアレスの腰が最奥で動きを止める。ちいさく吐息を漏らしたアレスは俺のくちびるから離れることもなく、ドクドクと気が済むまで射精していた。






 休んではつながり、服を着ようとしてはまたちんぽにしゃぶりついて、そんな性交を一日中した後、俺たちはなんとかダンジョンを出た。

「……やっぱり短くなってるよな?」
「当然だ。俺が毎日お前の尻に無意味に詠唱してるとでも思ってるのか」

 ふらふらの俺の腕を面倒そうに支えながら歩くアレスが不機嫌そうに応える。なんだよ、そんな言い方しなくてもいいだろ。そう思ったが、アレスも発情状態の軽さにやはり気付いていたのだと知って口を噤む。
 思えばこいつの妙な言葉責めみたいなのもそこまでひどくなかった気がする。
 ていうか理性が飛べば飛ぶほど鬼畜になるのはなんなんだ? もしかして深層心理みたいなもの?
 本性があんなサドだと、これからつがいになるΩは大変だろうな、と同情しかない。
 ていうかこいつの性格で伴侶とか出来るんだろうか。いくら完璧な勇者様とはいえ、性格は最悪でやってる時はド畜生ときた。いやでも、これって俺が相手だからなのかもしれない。
 うむ、普通に考えてそうか。女やΩならまだしも、俺は男で無関係のβだしな。
 なんだか虚しくなってきたので考えることをやめて、足を動かした。だが偽発情期明けの身体ではそれがすごくしんどくて、アレスの腕から離れようと腕を引いた。

「なんだ」

 振り払われた手に心底苛立ったような表情をしたアレスが振り返る。
 俺は首を横に振って、ひらひらと手を動かした。

「先に行ってくれ。しんどいんだ」

 少し休まないととてもじゃないけど歩けない。
 そう言えば、アレスはグッと眉を寄せて、次には俺に近付いた。
 ぐい、と腰を引き寄せられる。

「へ?」
「面倒臭えな」

 呟きは一瞬だった。
 ゴオ、と耳の奥に風がふいて、次に俺は明るい日射しの下にいた。

「……え?」

「やあ、早かったじゃないか」
「あら、確かに予想外ですね。もっと馬鹿みたいに性交に耽ると思っていたんですけど」
「待っていたぞ、では出発するか!」

 ダンジョンの外で待っていたらしい仲間達が俺たちを見るなり声を上げて数人が近付いてきた。
 状況をつかめずしばらく目を白黒させていたが、どうやらアレスの転移魔法でダンジョンの外に出たのだとわかり、ふう、と息をつく。そのままふらふらと木陰に腰を下ろした俺は、クロヴィスの姿を確認して安心した。
 ていうか端から転移魔法使ってくれれば歩かなくてよかったんじゃん。もっと早くしてくれてもいいのに、と考えていた俺は、ふ、と横に立った人影に気付き顔を上げた。
 黒魔導士だ。

「君は知らないだろうから教えるけど。転移魔法はね、人が一人増えるだけで魔力の使用量が大幅に上がるし、複雑な詠唱が必要になる。つまりおいそれとできるものじゃない」
「……え」
「だから我々は他人を抱えて転移魔法はしないんだよ。前回君を連れてきた白魔導士だって、魔方陣を使って君だけを転移させてたはずだ」
「それって……」
「どういうことだと思う?」

 にっこり微笑まれ、俺は眉を寄せた。
 いや知らんがな。
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