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第51話 セス様を脅す
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外に出て、ドアがバタンと閉まった途端に、セス様に馬車に押し込まれた。
「どこへ行くんですか? ルロード様」
「ここからできるだけ離れたところへ」
「詩的な回答ですね」
私は減らず口を叩いたが、実際に連れてこられた場所は、漆黒の闇の帝王の趣味炸裂の部屋で閉口した。これなら、私の塔の家の方がまだマシだ。
「とにかく!」
セス様は重そうなマスクをとった。
マスクの重みで鼻の横が赤くなっている。
「なんで、あんな名前で人を探した?」
私はニヤリとした。だって、闇の帝王の通称ルロード様の本名がバレたら、めちゃくちゃにセス様は困るに決まっている。
せっかく闇の帝王を気取っているのだ。何だか知らないけど、同好の士も見つかったらしいし、彼らの手前、平凡すぎる本名は知られたくないだろう。
それに、王城の連中に闇の帝王とか言う二つ名がバレたら、殿下は大笑いするだろうし、魔術塔の同僚は何て言うかな?
ルロードと本名をくっつけた名前で探されれば、よもや知らんぷりはできまい。ふっ……勝利。
「お会いしたくて」
嘘ではない。
「なにしろ婚約者なので」
「嘘をつけ」
「お手伝いしたくて」
セス様はため息をついた。
そして窓の外を見た。
私もセス様の視線を追った。
「あれか。あれを手伝うって言うのか」
それは窓ではなかった。
「真実を写す鏡だ」
ネーミングにはあくまで異議ありだが、私は映された光景に釘付けになった。
「戦場の様子だ。ここから十キロ離れたところ。エッセンの村の近くだ」
向こう側は黒い森。
手前側から、赤や緑、黄色の光線が放物線状に細く長く放たれていく。
「戦っている」
「あれは何ですか?」
「狙い撃ちだ。大型のボスになる悪獣を撃っている。赤や緑は魔術師の放つ光。黄色はただの砲だ」
「ボスがどこにいるか、わかるんですか?」
セス様は首を振った。
そしてカーテンを閉めた。
「その能力を持つ者と持たない者がいる。そう言う能力、君にはあるかな?」
だめだ。私にはできない。私は震え声で答えた。
「戦闘力はありません」
「探索魔法は使えるか?」
「やったことはないけど……できないと思います。できればセス様を探すのに苦労しなかったでしょう」
セス様は苦笑いした。
「そうだな」
セス様がいるところは、いつも散らかっていて汚かったが、珍しくそこそこ片付けられていた。
セス様は座れと、身振りで示して言った。
「悪獣は飢えている。小さいものも人里目指してやってくる。エッセンは山の入り口に当たり、これまではハイカーの街だった」
「山登りの?」
「そうだ。のどかな場所だった。悪獣と言っても、ウサギや鳥などは、たとえ魔術を帯びていても可愛らしいものだ。人を害することなど出来ない。他の動物と違って可愛らしいとペットにする人もいたくらいだ。特に害もないしね」
魔獣をペットに!
ちょっとその発想はなかった。
「殿下も小鳥の魔獣……魔鳥を飼ってたはずだ。通信に便利だとか言って」
あれか! 人の家にフンを落としていくやつ!
「問題は熊や豹やライオンに似た魔獣……悪獣だな。元々肉食だ。人の味を覚えてしまった」
人の味? 人っておいしいの?
「ヒトは弱いからね。彼らにとってはよい餌らしいな。だが、むろん食べたことがなかった。山奥の手近なところにいくらでも他の食料があるからだ」
ヒトは弱いかもしれないけど、武器を持って集団で戦えば、それなりに強いはずだと私は言った。
セス様は軽く頷いた。
「だけど、魔獣は魔力のない人の目には見えない。山が食料不足になると小さな魔獣たちが人里へ来る。大型の悪獣もそれを追ってやってきて、人の味を覚えてしまった。魔獣たちは意志の疎通が出来るらしくて……」
「え? こわいですね」
「そうなんだ。どうやら、人がウマいことが伝わって、肉食の大型悪獣だけが山を降りて次から次へとやってくる事態になっている。人食い魔獣の大量発生だな」
人食い魔獣の大量発生……いやな言葉だ。
「人間は危険だって思わないんでしょうか?」
「殺されたら、その意志の疎通手段も無くなるんだと思う。誰に酷い目に遭ったかなんて伝わっていないんだと思う」
「じゃあ、むしろ、殺さずにひどい目に遭わせて帰してやった方がいいんでは? そしたら、人間は危険だってわかりますよね?」
「まあ、この説、誰にも言っていないから」
「そんな! 上層部に伝えれば!」
「でも、これ、私の推測だからね? 本当のところはわからないよ?」
「伝えればいいじゃないですか! せっかく漆黒の闇の帝王で冥界の主なんでしょう?」
「それ、ここで言う?」
セス様があからさまに嫌な顔をした。
「俺に戦闘力はない」
「え? 大魔術師のくせに?」
すっごく嫌そうな顔になった。
「やかましい。ないものはない。だから、上層部に対しての発言力もゼロだ」
「えー、じゃあどうして徴集されちゃったの? 関係ないでしょ」
「いいか、ポーシャ。戦争というものは戦ってるやつだけで成り立っているわけではない。兵站も必要なんだ」
「へいたんて何?」
「食料とか、武器とか弾薬だとか、そんなのを供給する、とても地味なお仕事だ」
セス様はため息をついた。
「めんどくさくって、足りないだの、種類が違ってるだの、文句ばっかり言われる嫌な嫌なお仕事なのだ」
「はあ」
「お前はいいよな。命のポーションを持ってきましたと言えば、聖女くらいの扱いを受けられる」
「あ、じゃあ、連れてってください。未来の女公爵として、顔を売っときたいです」
「ちぇっ。めんどくせー」
「連れてかないと、ルロード・セバスチャン・マルクの正体、バラしますよ」
セス様はグッと言葉に詰まった。
「どこへ行くんですか? ルロード様」
「ここからできるだけ離れたところへ」
「詩的な回答ですね」
私は減らず口を叩いたが、実際に連れてこられた場所は、漆黒の闇の帝王の趣味炸裂の部屋で閉口した。これなら、私の塔の家の方がまだマシだ。
「とにかく!」
セス様は重そうなマスクをとった。
マスクの重みで鼻の横が赤くなっている。
「なんで、あんな名前で人を探した?」
私はニヤリとした。だって、闇の帝王の通称ルロード様の本名がバレたら、めちゃくちゃにセス様は困るに決まっている。
せっかく闇の帝王を気取っているのだ。何だか知らないけど、同好の士も見つかったらしいし、彼らの手前、平凡すぎる本名は知られたくないだろう。
それに、王城の連中に闇の帝王とか言う二つ名がバレたら、殿下は大笑いするだろうし、魔術塔の同僚は何て言うかな?
ルロードと本名をくっつけた名前で探されれば、よもや知らんぷりはできまい。ふっ……勝利。
「お会いしたくて」
嘘ではない。
「なにしろ婚約者なので」
「嘘をつけ」
「お手伝いしたくて」
セス様はため息をついた。
そして窓の外を見た。
私もセス様の視線を追った。
「あれか。あれを手伝うって言うのか」
それは窓ではなかった。
「真実を写す鏡だ」
ネーミングにはあくまで異議ありだが、私は映された光景に釘付けになった。
「戦場の様子だ。ここから十キロ離れたところ。エッセンの村の近くだ」
向こう側は黒い森。
手前側から、赤や緑、黄色の光線が放物線状に細く長く放たれていく。
「戦っている」
「あれは何ですか?」
「狙い撃ちだ。大型のボスになる悪獣を撃っている。赤や緑は魔術師の放つ光。黄色はただの砲だ」
「ボスがどこにいるか、わかるんですか?」
セス様は首を振った。
そしてカーテンを閉めた。
「その能力を持つ者と持たない者がいる。そう言う能力、君にはあるかな?」
だめだ。私にはできない。私は震え声で答えた。
「戦闘力はありません」
「探索魔法は使えるか?」
「やったことはないけど……できないと思います。できればセス様を探すのに苦労しなかったでしょう」
セス様は苦笑いした。
「そうだな」
セス様がいるところは、いつも散らかっていて汚かったが、珍しくそこそこ片付けられていた。
セス様は座れと、身振りで示して言った。
「悪獣は飢えている。小さいものも人里目指してやってくる。エッセンは山の入り口に当たり、これまではハイカーの街だった」
「山登りの?」
「そうだ。のどかな場所だった。悪獣と言っても、ウサギや鳥などは、たとえ魔術を帯びていても可愛らしいものだ。人を害することなど出来ない。他の動物と違って可愛らしいとペットにする人もいたくらいだ。特に害もないしね」
魔獣をペットに!
ちょっとその発想はなかった。
「殿下も小鳥の魔獣……魔鳥を飼ってたはずだ。通信に便利だとか言って」
あれか! 人の家にフンを落としていくやつ!
「問題は熊や豹やライオンに似た魔獣……悪獣だな。元々肉食だ。人の味を覚えてしまった」
人の味? 人っておいしいの?
「ヒトは弱いからね。彼らにとってはよい餌らしいな。だが、むろん食べたことがなかった。山奥の手近なところにいくらでも他の食料があるからだ」
ヒトは弱いかもしれないけど、武器を持って集団で戦えば、それなりに強いはずだと私は言った。
セス様は軽く頷いた。
「だけど、魔獣は魔力のない人の目には見えない。山が食料不足になると小さな魔獣たちが人里へ来る。大型の悪獣もそれを追ってやってきて、人の味を覚えてしまった。魔獣たちは意志の疎通が出来るらしくて……」
「え? こわいですね」
「そうなんだ。どうやら、人がウマいことが伝わって、肉食の大型悪獣だけが山を降りて次から次へとやってくる事態になっている。人食い魔獣の大量発生だな」
人食い魔獣の大量発生……いやな言葉だ。
「人間は危険だって思わないんでしょうか?」
「殺されたら、その意志の疎通手段も無くなるんだと思う。誰に酷い目に遭ったかなんて伝わっていないんだと思う」
「じゃあ、むしろ、殺さずにひどい目に遭わせて帰してやった方がいいんでは? そしたら、人間は危険だってわかりますよね?」
「まあ、この説、誰にも言っていないから」
「そんな! 上層部に伝えれば!」
「でも、これ、私の推測だからね? 本当のところはわからないよ?」
「伝えればいいじゃないですか! せっかく漆黒の闇の帝王で冥界の主なんでしょう?」
「それ、ここで言う?」
セス様があからさまに嫌な顔をした。
「俺に戦闘力はない」
「え? 大魔術師のくせに?」
すっごく嫌そうな顔になった。
「やかましい。ないものはない。だから、上層部に対しての発言力もゼロだ」
「えー、じゃあどうして徴集されちゃったの? 関係ないでしょ」
「いいか、ポーシャ。戦争というものは戦ってるやつだけで成り立っているわけではない。兵站も必要なんだ」
「へいたんて何?」
「食料とか、武器とか弾薬だとか、そんなのを供給する、とても地味なお仕事だ」
セス様はため息をついた。
「めんどくさくって、足りないだの、種類が違ってるだの、文句ばっかり言われる嫌な嫌なお仕事なのだ」
「はあ」
「お前はいいよな。命のポーションを持ってきましたと言えば、聖女くらいの扱いを受けられる」
「あ、じゃあ、連れてってください。未来の女公爵として、顔を売っときたいです」
「ちぇっ。めんどくせー」
「連れてかないと、ルロード・セバスチャン・マルクの正体、バラしますよ」
セス様はグッと言葉に詰まった。
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