【男子目線】下級生バディが可愛すぎて男色を覚悟したのに、正体は男装した婚約者でした!

buchi

文字の大きさ
1 / 8

第1話 あなたの婚約が決まりました

しおりを挟む
ジェラルドは、伯爵家の嫡男である。
本来なら、貴族のいく学校へ入り、交友を広げるはずだった。
しかし、彼には剣の腕があり、そんな野蛮なところなんて! と大反対する母を無視して騎士学校へ入学した。

騎士学校は実力本位。国を守る幹部候補がバカとか腰抜けでは困る。
身分なんて役に立たない。
とは言え、まあ、実力ある高貴な身分出身者は出世街道爆進が確約されていた。そんなお貴族様もなぎ倒して、元帥なんかになっちゃう平民も結構いたが。

それはとにかく!
ジェラルドは、背も高ければ筋肉質で、剣を取らせたら騎士学校においてすら一、二を争う腕の持ち主だった。
嫡男のケガを心配する母を尻目に彼の人気は鰻登り。
見学が許される日には、ジェラルド様ぁと嬌声が上がる始末だった。

見学というのは、見学である。

誰でも、つまり、平民娘でも貴族の令嬢でも奥方でも、未来の騎士を見学してよろしいのであった。

もちろん、入学を目指す少年も見にきてよかったし、本来、彼らのために見学日が設定されたのだ。学校側もそれしか考えていなかった。

ぬかっていた。

見学日よーっと叫びながら、目を血走らせて女子が突入してくる事態を予想しなかったのは、完全な誤算だった。しかし、騎士学校の見学は、王都中で大人気。初日からツアーが組まれる始末であった。

平民娘は結婚なんか考えていない。騎士学校の生徒はとにかくカッコイイ。
強いと言うだけで、男子として圧倒的にポイントだ。筋肉隆々も当然ポイントだし、頭だって悪くはないはず。
制服姿も、基本は軍服なわけで、もちろん、カッコいい。そのようなわけで、彼女たちはそれぞれ推しを作り、熱心なファンとして、勝手に沼っていた。

貴族の令嬢は、基本的には平民娘とほぼ同じ目線である。ただし、こちらは気に入ったら結婚できる強みがある。いささか動機が不純である。成長株には投資しておきたい。なんとなく着飾ってウロウロする。

そして最後は貴族のご婦人方。何をしに来ているのかというと、これは人によって何とも言えない。飛び散る汗の青春見学とか言う解釈に苦しむ手合いや、純粋に若い男好きとか言われると返しに苦しむ。婿を下見にという大義名分の夫人もいるし、息子を見に来た母もたまにいる。息子に嫌われそう。

そんな中、ジェラルドは大人気だった。
なんでも、黒髪に光るような薄いグレーの瞳がかっこよくて、とにかくイケメンなんだそうな。
ただし、第二位以下である。不動の第一位は、第三王子殿下が在籍していたので、王族の強みで彼がさらって行ってくれた。
ジェラルドは、強いし貴族の御曹司なので人気があったが、人の趣味はそれぞれであって、二位以下は混とんとしていた。ルイス王子殿下の他、友人のアランやケビンも人気があった。

ジェラルドは、正直、この女子の嬌声には悩まされていた。気が散る。どうしたらいいかわからない。第三王子の機嫌が悪くなる。

いつでも見られている。見学日は彼が剣をふるうと、キャーという声が響き、席に戻るとジェラルド様ぁと声をそろえて少女たちが叫ぶ。無視もしにくいので、こわばった微笑みで手を振ると、キャーと大絶叫が返ってくる。

うっかり汗を拭こうと上半身裸になったら、どえらいことが起きた。どよめきが起き、誰かが失神したらしい。大騒ぎになって、申し訳ないことであった。脱いだらアカンと教師には叱られたが、理不尽だと思う。俺のせいじゃない。どんなに暑くても脱げなくなってしまった。

どうしよう。
プレゼント攻勢は特に困る。
基本食べ物は口にしない。なぜなら、先週、うっかり食べた友人のケビンがおなかを壊したから。

お手紙も困る。
返事を書くのに難渋する。向こうはジェラルドの顔をよく知っているらしいが、ジェラルドは誰だかわからない。返事なんか書きようがない。でも、返事を書かないと、無視されたと言われそう。
ルイス王子は側近に書かせているらしいが、ジェラルドにそんな真似はできない。
先輩のアランは、花を一本返すことにしていた。持っていくのは、アランに付けられた下級生バディである。騎士学校ではバディ制と言って、上級生に下級生が付いて、雑用を下級生がこなす代わりに上級生からいろいろなことを教えてもらうと言う仕組みがあった。
アランはイケメンだが、下級生バディのマイケルはイケメンと呼ぶにはいささか問題がある。そんなわけで、大ごとにならなかったのだが、ジェラルドには下級生バディがまだいない。むしろ自分が下級生バディの身の上なのだ。もし彼が花を持参したら、相手は絶対大喜びだ。余計まずい。

手紙の量が増えた。
花をもらえると嬉しいらしい。あこがれるような熱い瞳で見つめられても、ジェラルドは困ってしまう。彼女たちは、自分のどこにそんなに熱心なんだろう。別にいいところがあるわけでもないんだけどな!

学校側に対策を取ってくれるよう要望を出したが、学校は渋い顔をしていた。どうも、令嬢軍団と貴顕のご婦人方には強く言えないらしい。

「せめて、おさわり禁止とか」

握手を求められることも多い。正直、もう嫌。鍛錬後で汗まみれである。臭い男だとか言われそう。

ジェラルドは、誠心誠意、困っていたけれど、ある日、寮に母から手紙が来た。

『あなたの婚約が決まりました』

「えっ?」

ジェラルドは、びっくり仰天した。唐突すぎる。










しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

大好きなあなたが「嫌い」と言うから「私もです」と微笑みました。

桗梛葉 (たなは)
恋愛
私はずっと、貴方のことが好きなのです。 でも貴方は私を嫌っています。 だから、私は命を懸けて今日も嘘を吐くのです。 貴方が心置きなく私を嫌っていられるように。 貴方を「嫌い」なのだと告げるのです。

妻を蔑ろにしていた結果。

下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。 主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。 小説家になろう様でも投稿しています。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

幼馴染、幼馴染、そんなに彼女のことが大切ですか。――いいでしょう、ならば、婚約破棄をしましょう。~病弱な幼馴染の彼女は、実は……~

銀灰
恋愛
テリシアの婚約者セシルは、病弱だという幼馴染にばかりかまけていた。 自身で稼ぐこともせず、幼馴染を庇護するため、テシリアに金を無心する毎日を送るセシル。 そんな関係に限界を感じ、テリシアはセシルに婚約破棄を突き付けた。 テリシアに見捨てられたセシルは、てっきりその幼馴染と添い遂げると思われたが――。 その幼馴染は、道化のようなとんでもない秘密を抱えていた!? はたして、物語の結末は――?

あなたでなくては

月樹《つき》
恋愛
私の恋人はとても女性に人気がある人です。いつも周りには美しい人達が彼を取り囲んでいます。でも良いのです。だって彼だけが私の大切な…。

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

【完結】好きでもない私とは婚約解消してください

里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。 そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。 婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。

私の夫は妹の元婚約者

テンテン
恋愛
私の夫ミラーは、かつて妹マリッサの婚約者だった。 そんなミラーとの日々は穏やかで、幸せなもののはずだった。 けれどマリッサは、どこか意味ありげな態度で私に言葉を投げかけてくる。 「ミラーさんには、もっと活発な女性の方が合うんじゃない?」 挑発ともとれるその言動に、心がざわつく。けれど私も負けていられない。 最近、彼女が婚約者以外の男性と一緒にいたことをそっと伝えると、マリッサは少しだけ表情を揺らした。 それでもお互い、最後には笑顔を見せ合った。 まるで何もなかったかのように。

処理中です...