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第5話 ジェラルド、オカンになる
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ついに学校側にもマズいと思い始めたらしい。ジェラルドは、伯爵家の御曹司でもある。わざわざ最も出来の悪いバディをつけるのって、どうなの?
バディ変更を持ち掛けられたが、ジェラルドは、なぜか、このままでいいですと答えてしまった。自分でもどうしてかわからない。
「でも、アーネスト君、あんまり役に立たないよね?」
まさに正論。しかしジェラルドは、よどみなく答えた。
「ですから、別の上級生だと、酷い目に合うかもしれませんから」
そう言ってから、ジェラルドはなんとなくゾッとした。
アーネストはかわいい。
見学日以外は完全男子校なわけで、そこに見学日の意義があった。見学日にはそれこそ大勢の女子がやって来る。
しかしだ。
アーネストは、ジェラルドの目が腐っていないと仮定すると、どの女子よりかわええ。
ものすごく手間がかかるが、ひたむきなところがある。あと、顔がかわええ。
現在、洗濯物を届けるのも、朝食を運ぶのもジェラルドがやっている。部屋の掃除もだ。
アーネストにやらせるとロクなことにならないからだ。
ひっくり返したり、ぶっちゃけたり、モノがなくなったり、彼自身が行方不明になったこともある。行方を捜索したり、後始末をするのは全部ジェラルドだ。手間がかかる。情けない。しかし、全く腹が立たない。
アーネストの部屋も結構悲惨だった。
彼はお片づけが出来ない系らしく、なんでも完璧なジェラルドにとっては、目に余る有様だった。
仕方ない。ジェラルドは、アーネストの部屋を片付け、掃除して、朝食を運んだ。放っておいたら、アーネストはご飯を食べるのも忘れる。どっちが下級生バディだか、わからない。まあ、いいか。
ただ、決闘騒ぎを起こした時は困った。
「なぜ、ピーターソンと決闘することになった?」
黒髪に灰色の鋭い目つきのジェラルドが、金髪で薄紫のような青の目というはかなげな容姿のアーネストに詰め寄った。まるでジェラルドが、気弱そうな下級生バディをいびっているようにしか見えないけど。
アーネストは、決闘向けではない。そんな血なまぐさい性格でもない。一方のピーターソンは留年しているせいで学生のくせに髭もじゃで、素行が悪いことで有名だ。下級生をからかったのだろう。かわいらしいアーネストは格好のターゲットだ。
アーネストは落ち着いた様子で答えた。
「新式の大砲の優位点について、意見があわなかったんです」
「……なんて?」
ジェラルドは聞き返した。
「新式の大砲には、ライフリングが施されています。命中精度に格段の差が出る。ピーターソン先輩は手間がかかるだけだと言うのです」
何の話だか見当がつかなかったジェラルドだったが、一つだけアーネストより確かな情報を知っていた。それはつまり、その理屈、ピーターソンには、絶対全くサッパリ理解できていないと言うことだ。
「ピーターソンはバカだ。頭の中には、パンが詰まっているだけだ。しかも腐っているパンだ。そんな奴にまともな議論なんか無理だ。計算だってできない。止めておけ」
「いやですね」
アーネストは本気らしかった。
「私をバカにするのはいいですが、最新式の優秀な大砲が受け入れられないことは軍にとって損失です」
ちょっと、ジェラルドは混乱した。決闘の理由って、意見が合わなかった感情論が理由じゃないのか。
「どうでもいいですね。新式の大砲を広めたいです」
「ケガするぞ?」
「ケガで注目されれば、新式の大砲の有用性が広まるかもしれません。あの大砲が採用されれば、これまでより容易に戦に勝てます」
ジェラルドはスーと頭の芯が冷えていくような気がした。
アーネスト、やべえ。そんなことの為に、決闘する気か。
バディ変更を持ち掛けられたが、ジェラルドは、なぜか、このままでいいですと答えてしまった。自分でもどうしてかわからない。
「でも、アーネスト君、あんまり役に立たないよね?」
まさに正論。しかしジェラルドは、よどみなく答えた。
「ですから、別の上級生だと、酷い目に合うかもしれませんから」
そう言ってから、ジェラルドはなんとなくゾッとした。
アーネストはかわいい。
見学日以外は完全男子校なわけで、そこに見学日の意義があった。見学日にはそれこそ大勢の女子がやって来る。
しかしだ。
アーネストは、ジェラルドの目が腐っていないと仮定すると、どの女子よりかわええ。
ものすごく手間がかかるが、ひたむきなところがある。あと、顔がかわええ。
現在、洗濯物を届けるのも、朝食を運ぶのもジェラルドがやっている。部屋の掃除もだ。
アーネストにやらせるとロクなことにならないからだ。
ひっくり返したり、ぶっちゃけたり、モノがなくなったり、彼自身が行方不明になったこともある。行方を捜索したり、後始末をするのは全部ジェラルドだ。手間がかかる。情けない。しかし、全く腹が立たない。
アーネストの部屋も結構悲惨だった。
彼はお片づけが出来ない系らしく、なんでも完璧なジェラルドにとっては、目に余る有様だった。
仕方ない。ジェラルドは、アーネストの部屋を片付け、掃除して、朝食を運んだ。放っておいたら、アーネストはご飯を食べるのも忘れる。どっちが下級生バディだか、わからない。まあ、いいか。
ただ、決闘騒ぎを起こした時は困った。
「なぜ、ピーターソンと決闘することになった?」
黒髪に灰色の鋭い目つきのジェラルドが、金髪で薄紫のような青の目というはかなげな容姿のアーネストに詰め寄った。まるでジェラルドが、気弱そうな下級生バディをいびっているようにしか見えないけど。
アーネストは、決闘向けではない。そんな血なまぐさい性格でもない。一方のピーターソンは留年しているせいで学生のくせに髭もじゃで、素行が悪いことで有名だ。下級生をからかったのだろう。かわいらしいアーネストは格好のターゲットだ。
アーネストは落ち着いた様子で答えた。
「新式の大砲の優位点について、意見があわなかったんです」
「……なんて?」
ジェラルドは聞き返した。
「新式の大砲には、ライフリングが施されています。命中精度に格段の差が出る。ピーターソン先輩は手間がかかるだけだと言うのです」
何の話だか見当がつかなかったジェラルドだったが、一つだけアーネストより確かな情報を知っていた。それはつまり、その理屈、ピーターソンには、絶対全くサッパリ理解できていないと言うことだ。
「ピーターソンはバカだ。頭の中には、パンが詰まっているだけだ。しかも腐っているパンだ。そんな奴にまともな議論なんか無理だ。計算だってできない。止めておけ」
「いやですね」
アーネストは本気らしかった。
「私をバカにするのはいいですが、最新式の優秀な大砲が受け入れられないことは軍にとって損失です」
ちょっと、ジェラルドは混乱した。決闘の理由って、意見が合わなかった感情論が理由じゃないのか。
「どうでもいいですね。新式の大砲を広めたいです」
「ケガするぞ?」
「ケガで注目されれば、新式の大砲の有用性が広まるかもしれません。あの大砲が採用されれば、これまでより容易に戦に勝てます」
ジェラルドはスーと頭の芯が冷えていくような気がした。
アーネスト、やべえ。そんなことの為に、決闘する気か。
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