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第26話 ご好評賜りました
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モリス氏が職業イケメンなら、バーティ氏は、素人イケメンじゃないかしら。
両者とも、顔面偏差値から言うと、女性側から呼び込んだと疑いをかけられても、言い訳しにくいわ。
私はキラキラしたヘンリー・バーティ氏のご尊顔を拝しながら考えた。
お茶は配膳係のはずのアンは、ヘンリー氏にうっとり見入っていた。ちょっとウザい。
やっぱり世間への評判は考慮せねばいけないと思うの。
それに、私にはイケメン感知装置がついていない。
イケメンが嬉しいわけではないの。
さりとて、今すぐ出ていけとも言いにくい。
さっきのモリス氏も出来るだけ早くご退出願ったのだけど、本人が自分語りを始めてしまったもので、半時間ほども粘られたかしら?
でも、今すぐ出て行けとも言いにくいので、一応、ヘンリー・バーティ氏の言い分も聞くことにした。
なんでも、モリス氏は夏と冬はそれぞれリゾート地などへパトロン女性に連れられて赴き、それ以外のシーズンはオペラハウスやダンスパーティなどに顔を出して、女性を物色しているのだと言う。
私とアンは顔を見合わせた。
やっぱり……。でも、どうして一介の騎士の妻にすぎない私のところになんか来たのかしら? お金なんかなさそうなのに。
「そりゃ、今をときめくマクスジャージー侯爵夫人の親友ですしね。それに、個人的な趣味として、世間知らずで、夢見がちで物おじするような若い女性が好物だそうで……」
「うちの奥様のどこが夢見がちで物おじするって……世間知らずはそうかも知れませんが」
アンが大きな声でつぶやいた。
「いかにも社交界には不慣れだけれど、一生懸命あいさつしていたとうちの上司のモンゴメリ卿が言ってました。その様子がかわいらしいと評判でした」
「な、何かのお間違いでは……」
「それにね、お金の有無は問題じゃないんです。男性に言い負かされ、勢いに飲まれてしまうような女性に迫りまくって夢中にさせるのが、ヤツの常套手段なんです」
「しゃべりまくって? うちの奥様を言いまかす……?」
…………。
本気で人を見る目がないっていうか……。どうして、そんな誤解したのかしら?
「新婚夫婦なのに、無理はありませんか? それ?」
「え? でも、ファーラー様はゴツいので嫌われているらしい、きっともっと女性ウケする方と結婚したかったに違いないと、もっぱら騎士団の中では噂でして。まあ、夫婦仲のうまくいかない家は狙い目ですよね?……」
私は思わず頭を抱えた。
「なぜ、そのような噂が蔓延しているのですか?」
いや、理由はわかるのよ? わかるけど、世の中でそう言われる理由がね?
彼は大きくうなずいた。よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりだ。
「それと言うのも、新婚だと言うのに、毎日、早朝から出勤、夕方まで勤め上げられ、ちっとも嬉しそうではなかったし、見かねた騎士団長の奥様がオペラハウスのチケットを贈って、ようやく外出されたとかで」
冷たい顔立ちと肉感的な唇、人懐こい笑顔のヘンリー・バーティ氏は答えた。
この容貌にもかかわらず、徹底的に噂好きなのか。
「旦那様がそこまで人気ないとは思えないのですが?」
アンが不安そうに言い出した。
女中に発言は許していないわよ!
それにそれは私のセリフよ!
ヘンリー・バーティ氏は飄々と答える。
「ですけど、人には好みがありますしね。ゲテモノ喰いもいるでしょうけど、一般的にはキレイな方が好まれます」
ヘンリー・バーティ氏は胸を張った。
私は死んだ魚の目になって、美貌極まりないヘンリー・バーティ氏に目をやった。
うん。
旦那様の方が千倍マシ。
私はゲテモノ喰いなのかしら……
それと旦那様はゲテモノ喰いの方に入るんだろうな、きっと。
「あのオペラハウスでは、私の上司のモンゴメリ卿によると、あなたは大変な注目を集めていたそうで」
ヘンリー・バーティ氏は言葉を続けた。目が楽し気に踊っている。
「あのファーラー様が探しまくっていた天使が、実際にオペラハウスに降臨したんですからね!」
あのファーラー様が探しまくっていた天使が実際に降臨した……?
私は死んだ魚の目を通り越して、ガラスの目玉になったような気がした。
アンが驚きまくって、ヘンリーの顔を凝視している。
「僕、絶対にお会いしたいと思っていたんです! 騎士団でも、噂になりました。実は、僕には姉が五人いまして!」
……五人……。それはまた数が多いですね。
現実逃避して、余計な感想を持ってしまった。
全員が社交界デビューしたら、ヘンリー氏のご実家、破産しそう。
「姉たちが教えてくれるのですよ! 滅多に社交界に顔を出さない夫人は多いけど、妙齢の令嬢で出てこない方は珍しいと。なにしろ結婚できなくなりますからね! きっとものすごいブスに違いない……」
あああー。
まあ、当たらずとも遠からずだ。
「あるいは余程変人か」
だんだん事実に近づいてきた……
「それがですよ? フッツーにかわいい、フッツーにけなげじゃないですか。かなりの噂になりました」
「そ、そうなんですの~?」
「見逃してた、しまったと言う声も多くて」
いやいやいやいや。それ、見逃しじゃないから。居なかったから、見えなかっただけで……。
「貧乏とは言え伯爵家令嬢、公爵令嬢も通う有名花嫁学校に優秀な成績で通っていた美人嫁です!」
私の他、アンも大きく目を見張っていた。
「リサーチ力至らずの後悔の声が多かったそうで。一方また、あの嫁で脇を固めたファーラー様は、抜け目がないと名声を高めました」
脇を固めた?
「そ、そうなんですか……」
強くうなずき、同意すると、この見た目と話ぶりが完全に乖離している男は、さらに話し続けた。
「この結婚で、ラムゼイ伯爵位をゲットしたと言われています。爵位があれば、騎士団長レースには圧倒的に有利です。しかも、トンデモ嫁ではないですし」
トンデモ嫁とは例のアレか。噂の飲み屋の女性か。ここまで悪い例に引かれているのを聞くと、なんだか気の毒になってきたわ。
姉が五人もいると、こういう種類の情報通になるのか。
でも、私、結婚て、そんな問題だけじゃないと思ってたの。
確かに釣り合いの取れた良縁って言葉があるのは知ってる。
都合で結婚する夫婦が圧倒的に多いことも、この辺が手の打ちどころで合意の結婚の方が、トラブルがない分、幸せになる確率が高いことも。
制限の多い高位貴族になればなるほど、選択の余地が狭まって無理が出てきて、さっきのモリス氏みたいなジゴロが暗躍する余地が出てきてしまうことも。
でも、好きな気持ちって大事じゃない?
恋人なんていたことないくせに、私、何を考えているんだろう?
「奥様、意外に評判良くて、まあ良かったじゃないですか」
嵐のように二人の男が帰った後、自室で(というか、未だに自分の元の部屋には戻れないので、相変わらず旦那様の部屋でだが)お茶を飲んでいると、アンが意地悪そうに言った。
「難しいわね。いい評判があれば、きっと悪い評判もあるのね」
「そんなこと言ってたら、キリがないですよ。マクスジャージー夫人のおかげで社交界に乗り出せたじゃありませんか」
私は、ハッとした。
そうだ。その通りだ。
あの二人の来訪は、その証拠だ。
「奥様」
メアリが重そうに階段を上がってきた。
「お手紙が来ております。招待状みたいです」
それから、アンの方を見ると、カッと目を見開いた。
「アン! あんた、何してるの。掃除も皿洗いもやってないで、面白いからって、奥様の事情に口突っ込んでるんじゃないわよ。仕事しなさいよ!」
両者とも、顔面偏差値から言うと、女性側から呼び込んだと疑いをかけられても、言い訳しにくいわ。
私はキラキラしたヘンリー・バーティ氏のご尊顔を拝しながら考えた。
お茶は配膳係のはずのアンは、ヘンリー氏にうっとり見入っていた。ちょっとウザい。
やっぱり世間への評判は考慮せねばいけないと思うの。
それに、私にはイケメン感知装置がついていない。
イケメンが嬉しいわけではないの。
さりとて、今すぐ出ていけとも言いにくい。
さっきのモリス氏も出来るだけ早くご退出願ったのだけど、本人が自分語りを始めてしまったもので、半時間ほども粘られたかしら?
でも、今すぐ出て行けとも言いにくいので、一応、ヘンリー・バーティ氏の言い分も聞くことにした。
なんでも、モリス氏は夏と冬はそれぞれリゾート地などへパトロン女性に連れられて赴き、それ以外のシーズンはオペラハウスやダンスパーティなどに顔を出して、女性を物色しているのだと言う。
私とアンは顔を見合わせた。
やっぱり……。でも、どうして一介の騎士の妻にすぎない私のところになんか来たのかしら? お金なんかなさそうなのに。
「そりゃ、今をときめくマクスジャージー侯爵夫人の親友ですしね。それに、個人的な趣味として、世間知らずで、夢見がちで物おじするような若い女性が好物だそうで……」
「うちの奥様のどこが夢見がちで物おじするって……世間知らずはそうかも知れませんが」
アンが大きな声でつぶやいた。
「いかにも社交界には不慣れだけれど、一生懸命あいさつしていたとうちの上司のモンゴメリ卿が言ってました。その様子がかわいらしいと評判でした」
「な、何かのお間違いでは……」
「それにね、お金の有無は問題じゃないんです。男性に言い負かされ、勢いに飲まれてしまうような女性に迫りまくって夢中にさせるのが、ヤツの常套手段なんです」
「しゃべりまくって? うちの奥様を言いまかす……?」
…………。
本気で人を見る目がないっていうか……。どうして、そんな誤解したのかしら?
「新婚夫婦なのに、無理はありませんか? それ?」
「え? でも、ファーラー様はゴツいので嫌われているらしい、きっともっと女性ウケする方と結婚したかったに違いないと、もっぱら騎士団の中では噂でして。まあ、夫婦仲のうまくいかない家は狙い目ですよね?……」
私は思わず頭を抱えた。
「なぜ、そのような噂が蔓延しているのですか?」
いや、理由はわかるのよ? わかるけど、世の中でそう言われる理由がね?
彼は大きくうなずいた。よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりだ。
「それと言うのも、新婚だと言うのに、毎日、早朝から出勤、夕方まで勤め上げられ、ちっとも嬉しそうではなかったし、見かねた騎士団長の奥様がオペラハウスのチケットを贈って、ようやく外出されたとかで」
冷たい顔立ちと肉感的な唇、人懐こい笑顔のヘンリー・バーティ氏は答えた。
この容貌にもかかわらず、徹底的に噂好きなのか。
「旦那様がそこまで人気ないとは思えないのですが?」
アンが不安そうに言い出した。
女中に発言は許していないわよ!
それにそれは私のセリフよ!
ヘンリー・バーティ氏は飄々と答える。
「ですけど、人には好みがありますしね。ゲテモノ喰いもいるでしょうけど、一般的にはキレイな方が好まれます」
ヘンリー・バーティ氏は胸を張った。
私は死んだ魚の目になって、美貌極まりないヘンリー・バーティ氏に目をやった。
うん。
旦那様の方が千倍マシ。
私はゲテモノ喰いなのかしら……
それと旦那様はゲテモノ喰いの方に入るんだろうな、きっと。
「あのオペラハウスでは、私の上司のモンゴメリ卿によると、あなたは大変な注目を集めていたそうで」
ヘンリー・バーティ氏は言葉を続けた。目が楽し気に踊っている。
「あのファーラー様が探しまくっていた天使が、実際にオペラハウスに降臨したんですからね!」
あのファーラー様が探しまくっていた天使が実際に降臨した……?
私は死んだ魚の目を通り越して、ガラスの目玉になったような気がした。
アンが驚きまくって、ヘンリーの顔を凝視している。
「僕、絶対にお会いしたいと思っていたんです! 騎士団でも、噂になりました。実は、僕には姉が五人いまして!」
……五人……。それはまた数が多いですね。
現実逃避して、余計な感想を持ってしまった。
全員が社交界デビューしたら、ヘンリー氏のご実家、破産しそう。
「姉たちが教えてくれるのですよ! 滅多に社交界に顔を出さない夫人は多いけど、妙齢の令嬢で出てこない方は珍しいと。なにしろ結婚できなくなりますからね! きっとものすごいブスに違いない……」
あああー。
まあ、当たらずとも遠からずだ。
「あるいは余程変人か」
だんだん事実に近づいてきた……
「それがですよ? フッツーにかわいい、フッツーにけなげじゃないですか。かなりの噂になりました」
「そ、そうなんですの~?」
「見逃してた、しまったと言う声も多くて」
いやいやいやいや。それ、見逃しじゃないから。居なかったから、見えなかっただけで……。
「貧乏とは言え伯爵家令嬢、公爵令嬢も通う有名花嫁学校に優秀な成績で通っていた美人嫁です!」
私の他、アンも大きく目を見張っていた。
「リサーチ力至らずの後悔の声が多かったそうで。一方また、あの嫁で脇を固めたファーラー様は、抜け目がないと名声を高めました」
脇を固めた?
「そ、そうなんですか……」
強くうなずき、同意すると、この見た目と話ぶりが完全に乖離している男は、さらに話し続けた。
「この結婚で、ラムゼイ伯爵位をゲットしたと言われています。爵位があれば、騎士団長レースには圧倒的に有利です。しかも、トンデモ嫁ではないですし」
トンデモ嫁とは例のアレか。噂の飲み屋の女性か。ここまで悪い例に引かれているのを聞くと、なんだか気の毒になってきたわ。
姉が五人もいると、こういう種類の情報通になるのか。
でも、私、結婚て、そんな問題だけじゃないと思ってたの。
確かに釣り合いの取れた良縁って言葉があるのは知ってる。
都合で結婚する夫婦が圧倒的に多いことも、この辺が手の打ちどころで合意の結婚の方が、トラブルがない分、幸せになる確率が高いことも。
制限の多い高位貴族になればなるほど、選択の余地が狭まって無理が出てきて、さっきのモリス氏みたいなジゴロが暗躍する余地が出てきてしまうことも。
でも、好きな気持ちって大事じゃない?
恋人なんていたことないくせに、私、何を考えているんだろう?
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嵐のように二人の男が帰った後、自室で(というか、未だに自分の元の部屋には戻れないので、相変わらず旦那様の部屋でだが)お茶を飲んでいると、アンが意地悪そうに言った。
「難しいわね。いい評判があれば、きっと悪い評判もあるのね」
「そんなこと言ってたら、キリがないですよ。マクスジャージー夫人のおかげで社交界に乗り出せたじゃありませんか」
私は、ハッとした。
そうだ。その通りだ。
あの二人の来訪は、その証拠だ。
「奥様」
メアリが重そうに階段を上がってきた。
「お手紙が来ております。招待状みたいです」
それから、アンの方を見ると、カッと目を見開いた。
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