盲目王子はまた君と出会えたら

桜町琴音

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 シュティーアと過ごす日々は穏やかに流れて行った。

 出会ってから数年が過ぎていた。僕たちは14歳になった。

 そして、シュティーアの元へ名門校の魔法学園への入学許可書が届いた。

「シュティーアおめでとう。これで晴れて名門校の一員じゃないか。」
 僕は自分のことのように嬉しくなったが、当の本人である彼女はあまり嬉しそうではなかった。
「ありがとうございます殿下。嬉しいのですが殿下をお一人にすることがとても気がかりなのですよ。」
 と困ったような声色でため息をついていた。

「そんなに僕って心配?」
「はい。かなり心配ですね。殿下放っておくとすぐに運動やら学者様のところへ行ってお食事や睡眠をまともに取らなくなるじゃないですか。」
 ぎくり。かなり心当たりのあることばかりで何も言い返せない。
 シュティーアに夜空を見せてもらってから盲目でも出来ることはあるのではないかと王城いてる学者を捕まえては質問して知識を蓄えていた。
 運動は走るのが楽しく安全面を考慮した運動なので大丈夫なはず。

 しかし、シュティーアはさらに小言を続けていく。
「最近だって、学者様から教えてもらったことで実験をしようとして失敗していたのではないですか。」
「……だって君に見せたいものが」
 とごにょごにょ僕が言ったらクスリと笑い声が聞こえた。

「それに私が殿下と会えなくなるのが寂しいのですよ。」
 急な不意打ちで僕は絶対顔を赤くさせているのに違いない。
「僕だってシュティーアに会えなくなるのは寂しい……」
「だからね、殿下。私が魔法学校を卒業したら殿下と夫婦になりたいのです。」
「えっ! 僕なんかでいいの? 本当に後悔しない?」
「しませんよ。どれだけ一緒にいてると思っているのですか。私が何年縁談を断り続けているの知っています? 私はずっと殿下の隣を歩く準備をしているですよ。殿下が嫌でしたら良いですけど」
 少し拗ねた声で言った彼女も可愛いと思いつつ、僕はその言葉を聞いて嬉しくなった。
 好きだったのは自分だけではなかったのだと。

 すると、彼女は僕の手を握り彼女の頬へ持っていった。
「私がどんなに緊張したかわかりますか?」
 と少し笑っている彼女の顔はとても暑かった。そして少し濡れていたのできっと泣いているのだろう。

 今どんなにこの目が見れたら良いのにと思ったことは多分この日以上に思うことはあるのだろうか。

 僕はきっとこの世界一番の幸せ者だろう。お互いの両親にシュティーアが卒業した時点で結婚したいと伝えた。
 両方の親から許しが出て婚約が成立をした。
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