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第2部 青春の続き篇
第2話 レイニーデイズ【2】
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しばらく天地と共に繁華街を歩き、父の日らしい贈り物を模索していたのだが、相変わらず納得のいくというか、御眼鏡に叶うようなものが見つからず、時間だけが徒に過ぎて行き、気づけばお昼時となってしまっていた。
そろそろ歩き疲れてきたと思った丁度その時に、俺と天地の視界の先にテラスのあるカフェが目に入って来た。
「岡崎君、あのカフェでひとまず、作戦会議兼休憩をとりましょう」
「ああ、俺もそう思っていたところだ」
双方意見一致。迷う事無く、カフェの方へと足を進めていく。
さすがは昼時という事もあり、外が今にも雨が降り出しそうなほど曇っているという事もあり、テラスには人っ子一人と居なかったのに対し、店内はガヤガヤと賑わっていた。
「何でカフェって、サイズの表記が他の飲食店と違うところがあるんだろうな?」
そんな頻繁にカフェに来る事は無いのだが、時々来た時にいつも思う事だった。
ファストフードやほとんどの飲食店ではS、M、Lのサイズ表記を扱っているのに対し、一部のカフェではショート、トール、グランデと表記されている場所もある。(ちなみに今、俺達の居るカフェはショート、トール、グランデの表記を扱ってるようだ)
何故統一しないのだろうか?俺の場合、S、M、Lの表記に慣れ過ぎてしまってるせいか、時折ショート、トール、グランデのサイズ表記に困惑してしまう時があるのだ。
「岡崎君、そもそもドリンクのサイズ表記に関して決まりなんて無いから、別にS、M、Lだろうと、ショート、トール、グランデだろうと、大、中、小であろうと、甲、乙、丙であろうとなんでもいいのよ。ただ、その店の特徴を出したいっていう事なんじゃないのかしら?」
「はあ……なるほどな」
「それよりわたしが気になるのはショート、トールは英語なのに、何でグランデ以降のサイズがイタリア語なのかが分からないわ。噂ではエスプレッソがイタリアタイプの飲み方だから、それに敬意を表してそうなったとか聞いた事があるけど……」
そもそもグランデがイタリア語だったという事すら知らなかった俺には、干渉する余地の無い、口出しの出来ない会話。
今の会話で俺が思った事と言えば、甲乙丙の十干を扱ってる店があるのなら、是非一度それを見てみたいというくらいなものだった。
さて……そんな事はさておき、ついに俺達の注文する番となり、俺は先程天地がエスプレッソがどうとか言っていたので、エスプレッソとサンドウィッチを注文する。
対する天地は、フラペチーノという、アイスコーヒーか何かの上にホイップクリームを乗せたものと、スコーンを一つ頼んでいた。
なんだろう……今更ながら初めて、天地が女子高生らしい事をしている、そんな瞬間に立ち会えたような、そんな気がした。
「支払いはわたしがするわ、さっき臨時収入が入ったし」
「臨時収入ってか、それさっきの俺の罰金じゃねえか」
「今はわたしのお金だから、岡崎君はわたしに奢られたという事になるのよ。せめてゴチになりますくらい言って欲しいものだわ」
「……ゴチになります」
「よろしい」
なんか言わされた感はあったし、そもそも俺のお金だしで、腑に落ちない所はあったが……まあどちらにしろ俺が払うつもりだったし、俺の所持金を消費するという事態については寸分違わないわけであり、つまりはそんなに突き詰めるような話でも無かった。
それから間もなくして、注文した商品が出てくるまでの、俺と天地の会話。
「ねえ岡崎君、中は人で溢れているし、外のテラスで食べない?」
「ええ……だって今にも雨が降り出しそうな天気だぜ?」
外は相変わらず薄墨色の雲に覆われており、曇天から雨天に変わる一歩手前だと、わざわざ知らせてくれているほどに暗い。そんな中で、誰が外のテラスで食べ物を食べるという能天気で、楽観的な事を成し遂げるというのだろうか。
「居るわよ、ほら、あそこ」
天地が指差す先に、本当に居た。能天気で、楽観的な人物だそこに。
女性のようだった。しかし、その見た目からは年齢の区別どころか、老若の判断もつかない。顏は張りのある若者のような、綺麗な肌をしているように見えるが、頭のショートヘアの白髪に近いような鼠色の髪が、まるで老婆を連想させる。
更に際立つのが、服の色が全て黒単色。漆黒のスーツ、下に着用しているワイシャツも黒、スカートもストッキングも靴までもが黒々としており、存在感を異常なまでに引き立てている。
能天気や楽観的とは程遠い、奇妙奇天烈、ミステリアスな雰囲気を醸し出している。行動と容姿が全く伴っていない、そんな人物のように俺には見えた。
「……なんかあの人と同種になりたくないわ」
先に言ったのは俺じゃなく、外で食べる事を提案してきた天地の方だった。気持ちは分からなくもないが。
「でも頼んでいた物もそろそろ揃いそうだし、何といっても席が空きそうに無いわよね……」
カフェとは人によって使用用途は変わってくるのだが、例えば普通の飲食店のように、そのものを食して帰るという、いわば回転率というものは余り重視されているようには思えず、むしろコーヒーや食べ物を飲食するだけで帰るという人間は少数派であるだろう。
その中には本を読んだり、団欒したり、学生だと勉強をしている奴なんかも見当たる。つまりそれは、座席を長時間独占するという事でもあり、俺達の居るこのカフェも、外が曇天であるという事もあってか、人が座席から離れる気配が皆無だったのである。
つまるところの、長時間満席状態。食べる物が来ても、食べる場所が無ければ意味がない。
「まあ、考える事はみんな一緒か……仕方ない、雨が降り出す前に外で食っちまうか」
「ええ、ゆっくりカフェでお話ししたかったけど、背に腹はかえられないわね」
「その意味だと、俺とゆっくり話すより、飯を優先したいように聞こえるが……」
「そういう意味で言ったのよ」
「……そうですか」
本日この時は、欲求に忠実な天地であった。それだけ腹が減ってるのだろう、仕方がない。
そろそろ歩き疲れてきたと思った丁度その時に、俺と天地の視界の先にテラスのあるカフェが目に入って来た。
「岡崎君、あのカフェでひとまず、作戦会議兼休憩をとりましょう」
「ああ、俺もそう思っていたところだ」
双方意見一致。迷う事無く、カフェの方へと足を進めていく。
さすがは昼時という事もあり、外が今にも雨が降り出しそうなほど曇っているという事もあり、テラスには人っ子一人と居なかったのに対し、店内はガヤガヤと賑わっていた。
「何でカフェって、サイズの表記が他の飲食店と違うところがあるんだろうな?」
そんな頻繁にカフェに来る事は無いのだが、時々来た時にいつも思う事だった。
ファストフードやほとんどの飲食店ではS、M、Lのサイズ表記を扱っているのに対し、一部のカフェではショート、トール、グランデと表記されている場所もある。(ちなみに今、俺達の居るカフェはショート、トール、グランデの表記を扱ってるようだ)
何故統一しないのだろうか?俺の場合、S、M、Lの表記に慣れ過ぎてしまってるせいか、時折ショート、トール、グランデのサイズ表記に困惑してしまう時があるのだ。
「岡崎君、そもそもドリンクのサイズ表記に関して決まりなんて無いから、別にS、M、Lだろうと、ショート、トール、グランデだろうと、大、中、小であろうと、甲、乙、丙であろうとなんでもいいのよ。ただ、その店の特徴を出したいっていう事なんじゃないのかしら?」
「はあ……なるほどな」
「それよりわたしが気になるのはショート、トールは英語なのに、何でグランデ以降のサイズがイタリア語なのかが分からないわ。噂ではエスプレッソがイタリアタイプの飲み方だから、それに敬意を表してそうなったとか聞いた事があるけど……」
そもそもグランデがイタリア語だったという事すら知らなかった俺には、干渉する余地の無い、口出しの出来ない会話。
今の会話で俺が思った事と言えば、甲乙丙の十干を扱ってる店があるのなら、是非一度それを見てみたいというくらいなものだった。
さて……そんな事はさておき、ついに俺達の注文する番となり、俺は先程天地がエスプレッソがどうとか言っていたので、エスプレッソとサンドウィッチを注文する。
対する天地は、フラペチーノという、アイスコーヒーか何かの上にホイップクリームを乗せたものと、スコーンを一つ頼んでいた。
なんだろう……今更ながら初めて、天地が女子高生らしい事をしている、そんな瞬間に立ち会えたような、そんな気がした。
「支払いはわたしがするわ、さっき臨時収入が入ったし」
「臨時収入ってか、それさっきの俺の罰金じゃねえか」
「今はわたしのお金だから、岡崎君はわたしに奢られたという事になるのよ。せめてゴチになりますくらい言って欲しいものだわ」
「……ゴチになります」
「よろしい」
なんか言わされた感はあったし、そもそも俺のお金だしで、腑に落ちない所はあったが……まあどちらにしろ俺が払うつもりだったし、俺の所持金を消費するという事態については寸分違わないわけであり、つまりはそんなに突き詰めるような話でも無かった。
それから間もなくして、注文した商品が出てくるまでの、俺と天地の会話。
「ねえ岡崎君、中は人で溢れているし、外のテラスで食べない?」
「ええ……だって今にも雨が降り出しそうな天気だぜ?」
外は相変わらず薄墨色の雲に覆われており、曇天から雨天に変わる一歩手前だと、わざわざ知らせてくれているほどに暗い。そんな中で、誰が外のテラスで食べ物を食べるという能天気で、楽観的な事を成し遂げるというのだろうか。
「居るわよ、ほら、あそこ」
天地が指差す先に、本当に居た。能天気で、楽観的な人物だそこに。
女性のようだった。しかし、その見た目からは年齢の区別どころか、老若の判断もつかない。顏は張りのある若者のような、綺麗な肌をしているように見えるが、頭のショートヘアの白髪に近いような鼠色の髪が、まるで老婆を連想させる。
更に際立つのが、服の色が全て黒単色。漆黒のスーツ、下に着用しているワイシャツも黒、スカートもストッキングも靴までもが黒々としており、存在感を異常なまでに引き立てている。
能天気や楽観的とは程遠い、奇妙奇天烈、ミステリアスな雰囲気を醸し出している。行動と容姿が全く伴っていない、そんな人物のように俺には見えた。
「……なんかあの人と同種になりたくないわ」
先に言ったのは俺じゃなく、外で食べる事を提案してきた天地の方だった。気持ちは分からなくもないが。
「でも頼んでいた物もそろそろ揃いそうだし、何といっても席が空きそうに無いわよね……」
カフェとは人によって使用用途は変わってくるのだが、例えば普通の飲食店のように、そのものを食して帰るという、いわば回転率というものは余り重視されているようには思えず、むしろコーヒーや食べ物を飲食するだけで帰るという人間は少数派であるだろう。
その中には本を読んだり、団欒したり、学生だと勉強をしている奴なんかも見当たる。つまりそれは、座席を長時間独占するという事でもあり、俺達の居るこのカフェも、外が曇天であるという事もあってか、人が座席から離れる気配が皆無だったのである。
つまるところの、長時間満席状態。食べる物が来ても、食べる場所が無ければ意味がない。
「まあ、考える事はみんな一緒か……仕方ない、雨が降り出す前に外で食っちまうか」
「ええ、ゆっくりカフェでお話ししたかったけど、背に腹はかえられないわね」
「その意味だと、俺とゆっくり話すより、飯を優先したいように聞こえるが……」
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