140字小説

夏梅

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咳をしても

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 私が熱で魘される時、いつも側には誰かが居た。
小学生の頃には、上の兄弟が。
中学生の頃には、両親が。
高校生の頃には、大好きなあの人が。
そして、大学生になった現在、両親は仕事で忙しく、上の兄弟は自立して家に帰ることは少ない。大好きなあの人もういない。毛布を深く被って呟く。
「…側にいて」
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