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理由なんてわからないーー来る
しおりを挟む「中国では“夜中に知らない声から呼ばれたら振り向くな”っていう迷信があるんだよね」
「異形の物は呼ばれたら家に入れるとか、日本でもあるね」
“呼ぶ”というのは異界と自分をつなぐ一つの通り道ってことか。
週に3日、わたしは中国人の雨含とランゲージエクスチェンジをしていた。ランゲージエクスチェンジとはお互いの言語をタダで教え合うことだ。今回の話題はホラーだ。
「わたしは日本のホラー映画って他の国と違う部分があると思うんです。それは日本のホラーって、どうして狙われるかわからないんです。原因がわからないというか」
確かに『着信アリ』、『残穢』などのターゲットは原因がわからないと言えばそうだった。
それが怖いんですよねえ、誰が狙われるかわからないから。
「ああ無理無理、そういうのはわかんないです。そういう理屈みたいなの」
「わかりません。わかる必要もない。大事なのは“どうして”ではなく“どうするか”です」
人は何かわからないことが起こると、“何が原因なのか”、そこから対策を考えようとする。しかし、時に怪異は理屈や因果を超えて、あなたのところへ来るかも知れない。映画「来る」はそんな物語だ。
とにかく人のいるところで目立ちたい、いいカッコしたいという秀樹にところに時々「ぼぎわん」なる謎の妖怪がやってくる。「ぼぎわん」は秀樹の生まれ故郷の言い伝えに出てくる妖怪だ。
何故くるのか、それはわからない。けれど、呼ばれても決して応えてはいけない。連れて行かれてしまうから。
次第に秀樹の勝手気ままな性格と、妻・香奈の育児ノイローゼなどで家庭内に“溝“が出来てしまった。そうなると、「ぼぎわん」はさらに入りやすくなる。そこで秀樹は霊媒師キャバ嬢・真琴に対処をお願いするが…。
この「ぼぎわん」、力が圧倒的だ。そして、賢い。平気でその人の大切な人や信頼している人に成りすます。しかし、この物語に出てくる真琴の姉であり、沖縄のユタ(沖縄のシャーマン)の琴子もあっと驚かせるような術で、ぼぎわんに対抗する。琴子の華やかな儀式のようなお祓いと、それをものともしない、絶望的強さのぼぎわんとの攻防が見所だ。
しかも来るのはぼぎわんだけではない。悪意を持った人間も来る。そして、秀樹や妻香奈の中身はとても人間らしさを感じる。その怖さはある種、ぼぎわんよりももっとゾッとさせられる。
理由はわからない。けれどぼぎわんは「来る」。肝試しにぜひにの一本。
今回のお話:「来る」中島哲也監督
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