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『白き妖狐は甘い夢を見るか』

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 優祈は、膝に乗る小春を抱きしめながら、器用に着物の前面をくつろげた。屹立きつりつしたものが露わになり、小春はぎょっとして、慌てて目を擦った。やはり、夢にしてははっきり見えすぎている。

「あれ……?」
「どうしたの?」
「これ、夢じゃないんですか?」
「……ふふ。寝ぼけてるの? 夢じゃないよ」
「えっ」

 そんなはずはない。小春は空中を漂ってここに来た。現実では、そんなことはできない。それに、優祈が自分を抱こうとしているのは、夢の中だからだ。小春は優祈の頬と腕に触れ、その体温を確かめた。

「本物、ですか?」
「そうだよ。怖くなった?」
「……いえ。信じられなくて……」

 ぽかんと口を開ける小春に対し、優祈は微笑んだ。しかしすぐに、小春の唇は優祈によって塞がれる。

「んっ……んんっ!」

 優祈は、焦れたように自身のものを小春の蜜口へと宛てがい、挿入し始めた。解されたとはいえ、初めて大きいものを受けれる小春のそこは、ぎゅうぎゅうに締めつけながら追い返そうとしてしまう。

「はぁっ……小春……力、抜ける?」
「あっ……ま、待ってください……」

 無意識のうちに、身体が力んで硬直していたようだ。小春は息を吐いて、優祈の肩を掴んだ。しかし、優祈が腰を進めるとまた力んでしまう。

 どうしたらいいか思案した直後、小春は突如閃いた。名案だとでも言いたげに、目を輝かせる。

「優祈さま、私に術をかけてください」
「術?」
「身体の力が抜けて、リラックスできる術、です」
「……分かった」

 優祈は小春と額を合わせ、何やらぼそぼそと呟いた。すぐに、小春の腕や脚から力が抜ける。崩れ落ちそうになる小春を優祈が抱き寄せ、ぐぐっと腰を押しつけた。

「あっ……ああっ……」
「やっと……全部、はいった……」
「優祈さまっ」
「可愛いよ、小春。愛してる」
「ひゃっ」

 愛の言葉が小春の耳から脳に伝わり、全身に甘い痺れをもたらした。優祈は抽挿ちゅうそうを開始し、小春のいいところを探る。

「あんっ、あっ……あっ……」
「どこが一番気持ちいい? 教えて?」
「分からなっ……ぜんぶっ……」
「全部気持ちいいの?」

 小春は答える余裕もなく、頷いて返事した。優祈が目元を赤らめ、何度も小春の名前を呼びながら、中を擦る。たまに奥を突かれると、小春は白い喉元を見せながら喘いだ。

「ひっ、あっ、も……だめっ」
「……うん。僕も……」
「あっ……あぁぁぁっ!」
「……く」

 ぐちゃぐちゃにとろけながら、二人は心も身体も繋がった。小春が背中を反らせて痙攣すると、優祈は自身を引き抜いて、白濁の欲を小春の腹に放った。

「優祈、さま……大好き……」
「うん。僕もだよ」

 小春は目を閉じ、温かな腕の中で微睡まどろみながら、甘い甘い夢の終わりを迎えた。
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