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亜貴の本性…理央のホント

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「はぁ……」

「最近ため息ばかりだね。
亜貴くんと何かあったの?」

「わっ!翔にぃ!!」

いつの間にか後ろに立っていた兄貴に、心臓が飛び出るかと思った。

てか、なんで亜貴のことだって……

「あ、亜貴とは何も……」

「あれ?付き合ってないの?」

ふと出て来た元にぃまでもが、ちゃっかり話に入っていた。

「付き合ってない!てか、色々あったというか……好きな人と付き合って……ていうか……」

「は!?どういう意味だよそれ」

どもっていると、いつの間にか龍にぃまで。

「はいはい、龍にぃは黙って聞こうか。
で、説明してくれる?
亜貴くんと何かあったんじゃないの?」

「う………」

3人に囲まれて、仕方なく口を開いた。
亜貴とのこと(さすがにヤッたことは言えないけど)、あの後のことも……。


***


『理央先輩とは、もう付き合えません』

ああ告げた後、理央先輩から笑顔が消えたのが分かった。

『亜貴に、何か言われたの?』

『え……?』

『脅された?何か、弱味でも握られた?』

『いえ、そんなことは……!?』

ドンっと壁に押されて、理央先輩と顔を向き合わせる。

理央先輩は眉を寄せ、傷付いた顔をしていた。

う……。

その表情に、胸が痛くなる。

あんなに、いつも笑顔を見せてくれる人なのに。

こんな顔、させて……。

『……僕が嫌いになった?』

『い、いえ……!』

『……純ちゃんは、亜貴のこと好きだもんね』

『っ………!!』

先輩、気づいてたんだ……。
オレが分かりやすいのか?

『でも、僕を選んでくれた時、凄く嬉しかった。
僕はずっと、純ちゃんのこと好きだったから』

『先輩……!』

オレは、そんな前から、理央先輩に想われてたのか……!
その時は、両想いだったのか……?
もし、もっと早くに、自分から行動出来ていれば……。
でも、行動に移したのも、自分の気持ちに素直になったのも、全部……亜貴と出会ってからだ。

亜貴がいなければ、今は無い。
先輩との関係も、こんな気持ちも……。

『亜貴には、渡せない』

『え………?』

グッと顔が近づいて来たかと思えば、理央先輩の唇が私のそれを塞いだ。

ここ!病院の廊下なのに……!

『り……!?』

押し返そうとする手首を掴まれ、舌が入って来る。
いつになく強引で、止まってくれない。

『んっ……!』

抵抗が、出来ない。
オレから、裏切ろうとしてるのに。
後ろめたさで、先輩を拒めない。

『あ!武田せ……って、ええー!純!?』
『!?』

ハッと声の方に視線を向けると、黄色い声を出すバスケ部男女。

み、見られた!!
しかも、見られたく無い人達に!!

顔を離した理央先輩は、クスッと笑う。

『バレちゃったね』
『っ………!』

もしかして、知ってたのか?
みんなが、ここに来ること……

『これが純ちゃんの荷物?』

『あ、え、はい!』

『じゃ、僕たち先に失礼します』

流れるように歩き出す理央先輩。
みんなは目を点にしてオレ達を見送っていった。

『理央先輩!なんで……!』

『僕、純ちゃんと別れるつもり無いから』

エレベーターに乗り込んだところで、理央先輩はまた顔を覗き込んだ。

『亜貴に、純ちゃんは幸せに出来ない。
だから、もうちょっと付き合ってよ』

『っ……理央先輩』

真面目な顔で、オレを見つめながら。
それが少し、寂しくも思った。

『亜貴への気持ちが、勘違いだって、教えてあげる』

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