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87.縛り日
──…
────……
「あー…相原のやつ寝ちまったよ」
「今日はオールだって言ったのにな!」
「野郎だけで飲んでてもつまらんだろ。
やっぱ女は適度に呼ばねーとなぁ…」
「明日休みだから野郎飲み会しようって言い出したくせによく言うわ」
買い出しから部屋に戻ると、殺風景な部屋にある小さなテーブルを囲んで4人の男が酒を交わしている。
灰皿が満杯なだけあって、タバコの臭いが充満している。
部屋の主である相原自身も喫煙者だが、ここに来ている6人のうち4人が喫煙者なのだ。
1人はすでに突っ伏して眠っていたが、他の3人は俺が来た事で煙を吹かしながら追加の酒を期待し顔を上げた。
「お、サンキュー澤田」
「つまみもあんじゃん!
俺これ好きなんだよね」
「まだ食えんのかよ俺はもう水っぱら」
「酒っぱらだろ俺らの場合」
面々はハハッと気さくに笑いながら袋を漁り、淡々とテーブルの中央に並べていき、空になった袋には空き缶を投下していった。
飲んでばかりで特に男達の間では上下関係もほとんど存在しないこの緩いサークルならではの会話ではあるが、見ていて飽きはしない。
会話に参加する事はほとんどないが、だからこそくだらない会話を聞いて持て余した暇を活用しているようなものだ。
こうした縛られた日は。
珍しくテキパキとした動作をする男達を横目に見ながら、パーカーのフードを上げることなく1人で少し離れた窓際のソファーへ腰掛けた。
カーテンの隙間から月が煌々と顔を覗かせている。
『夜行きます』
先程非表示にしたラインのメッセージを思い出す。
あの連絡の意味くらい分かってる。
既に4時近い。
もう既に朝方と捉えての夜なのだろう。
だから今夜、あいつは家に来る。
そしてただ会うのとは違う。
ここ1週間、自宅に来た形跡は無かった。
あいつの性格上そうなるとは思っていたが、部屋を貸そうと思ったのは単に逃げ場として提供しようと考えたからだ。
ヤる口実ではなく、純粋に利用して欲しい、と。
そんな事、俺が思うことすらおかしな話だが。
「あ~彼女に会いてぇ…」
ピクッと、思わず視線を上げた。
机に頬をぶつけるようにそう嘆いたのは、他でもないあの浅井だったからだ。
始まったか……。
「え、お前彼女出来たの!?」
「えぇいつの間にー!」
残りの2人も浅井の声に響めく。
それもそのはずだ。
浅井をある程度監視していたが、これまで他の誰かにあいつとの関係を吐露した事は無かった。
近しい奴が浅井の話をする事もない程、徹底的に隠し通していた。
独占欲が強いことも理由だが、ハルを警戒してのことだろう。
そして行為に至ったことで、よからぬ自信がついているのも原因の一つだ。
口の軽いこいつにしては、よく耐えていた方だと言いたいところだ。
ここまで都合よく泥酔させられていなければの話だが。
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「あー…相原のやつ寝ちまったよ」
「今日はオールだって言ったのにな!」
「野郎だけで飲んでてもつまらんだろ。
やっぱ女は適度に呼ばねーとなぁ…」
「明日休みだから野郎飲み会しようって言い出したくせによく言うわ」
買い出しから部屋に戻ると、殺風景な部屋にある小さなテーブルを囲んで4人の男が酒を交わしている。
灰皿が満杯なだけあって、タバコの臭いが充満している。
部屋の主である相原自身も喫煙者だが、ここに来ている6人のうち4人が喫煙者なのだ。
1人はすでに突っ伏して眠っていたが、他の3人は俺が来た事で煙を吹かしながら追加の酒を期待し顔を上げた。
「お、サンキュー澤田」
「つまみもあんじゃん!
俺これ好きなんだよね」
「まだ食えんのかよ俺はもう水っぱら」
「酒っぱらだろ俺らの場合」
面々はハハッと気さくに笑いながら袋を漁り、淡々とテーブルの中央に並べていき、空になった袋には空き缶を投下していった。
飲んでばかりで特に男達の間では上下関係もほとんど存在しないこの緩いサークルならではの会話ではあるが、見ていて飽きはしない。
会話に参加する事はほとんどないが、だからこそくだらない会話を聞いて持て余した暇を活用しているようなものだ。
こうした縛られた日は。
珍しくテキパキとした動作をする男達を横目に見ながら、パーカーのフードを上げることなく1人で少し離れた窓際のソファーへ腰掛けた。
カーテンの隙間から月が煌々と顔を覗かせている。
『夜行きます』
先程非表示にしたラインのメッセージを思い出す。
あの連絡の意味くらい分かってる。
既に4時近い。
もう既に朝方と捉えての夜なのだろう。
だから今夜、あいつは家に来る。
そしてただ会うのとは違う。
ここ1週間、自宅に来た形跡は無かった。
あいつの性格上そうなるとは思っていたが、部屋を貸そうと思ったのは単に逃げ場として提供しようと考えたからだ。
ヤる口実ではなく、純粋に利用して欲しい、と。
そんな事、俺が思うことすらおかしな話だが。
「あ~彼女に会いてぇ…」
ピクッと、思わず視線を上げた。
机に頬をぶつけるようにそう嘆いたのは、他でもないあの浅井だったからだ。
始まったか……。
「え、お前彼女出来たの!?」
「えぇいつの間にー!」
残りの2人も浅井の声に響めく。
それもそのはずだ。
浅井をある程度監視していたが、これまで他の誰かにあいつとの関係を吐露した事は無かった。
近しい奴が浅井の話をする事もない程、徹底的に隠し通していた。
独占欲が強いことも理由だが、ハルを警戒してのことだろう。
そして行為に至ったことで、よからぬ自信がついているのも原因の一つだ。
口の軽いこいつにしては、よく耐えていた方だと言いたいところだ。
ここまで都合よく泥酔させられていなければの話だが。
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