グッバイ現世、僕は異世界で最強になる。〜才能が全ての世界をヘタレ冒険者が押し通ります〜

アキタ

文字の大きさ
7 / 28

作戦会議

しおりを挟む
 穏やかな風が、全ての土煙を洗い流し、爆発跡が顕になる。
(地面に向かって放った訳でも無かったのにとんでもない威力だな・・・。ここから更に強くなっていったら一体どうなってしまうのだろう)

 嘉武は大穴を見つめながら思考していた。

「うーっわ!しっかしとんでもない穴空けたわね?その辺で変に言い掛かりつけられても面倒臭いし埋めちゃいましょうか」

「ははは、そうですね」と嘉武は空返事する。

 ちょっと離れてて、と少女は言うので嘉武は大穴から距離をあける。

「ウィンド!」と少女は魔法詠唱をする。それも手馴れた様子で複数の風を操り土砂を掻き集め大穴へと落とし込んでゆく。

(操作力や精度、感覚的な事ばかりはチートに頼れなさそうだな・・・)
 嘉武は少し、気が遠くなる。元々器用ではなかったからだ。それでも本気を出して器用に努めようとしたことは無い。自分の伸び代を信じている嘉武でも、気持ちは多少陰る。それほど素晴らしい魔法コントロールだったのだ。

 嘉武が見蕩れていると少女は言った。

「どうよ?あたしの天才っぷりは?」
「凄いよ、正直感動してる」
「ふふん、このあたしの魔法を見れて光栄に思う事ね」

 少女がどこまで勘違いしているかは分からないが、嘉武は素直に感動している。

「もし良ければ少し教えてくれないか?」
「それはあんたが強くなってからにした方が良いわよ。時として魔法は身を滅ぼすの、そんな事も知らなかったりするわけ?」
「つい先日田舎から・・・」

 嘉武はいつもの創作話をした。真面目に話していると言うものの、少女は終始田舎者とバカにしていた。

「まあ、事情はわかったけど、私が教えられることはないわ。天才過ぎて独学で使える様になっただけだし、何より感覚を誰かに教えるなんてやったことないもの」

「だったら先にそう言えよ・・・」と漏らす嘉武。結局天才と言いたいだけ何じゃないかと思う。

「何よ、そもそも人に聞いて何とかしようってのが傲慢な考えなのよ。それじゃあたしはオルディスに用事があるからそれじゃあね」

 少女は何かを呟くと風を身に纏う。それから急加速、嵐のように過ぎ去っていった。

「・・・・・・僕も帰るか・・・・・・」

 夕刻。オルディスの街を歩く嘉武。今日の晩はどんな物を食べようかと考えていた。

(和食なんて無いんだろうな・・・もっと食っておけば良かったな)
 と後悔混じりにギルドへと向かう。夕方にまた顔を出して欲しいと言われていたからだった。

 嘉武は扉を開き、シルフィの元へ行く。

「夕方、もう一度顔を出せと言われていたのですが」
「ええ、書留を預かっております。どうぞ」
「ありがとうございます、それでは」

 書留を受け取り、そのまま食堂へいく。ガヤガヤとした中、食事を摂りながら封書を開ける。

(ん、例の作戦のことだ・・・)

「これはギルドからの司令だ。明朝、シルフィを通じギルド3階の会議室へ来い」

 封書は端的に書かれていた。そして明日から忙しくなりそうだ、と嘉武は水を一気に飲み干した。

 そして、会議室にて。
 嘉武が到着する頃には何人かの冒険者、エルガーが待っていた。
「待ってたぜ、お前が噂のガヴァルド殺しだろ?」
 陽気そうな冒険者が声を掛ける。
「そうかもしれないですね・・・」
(殺しちゃいないけど・・・)と嘉武は頭を搔く。

「てなことで、エルガーさん。キーマンも来た所だし、さっさと始めましょうや」
 陽気そうな冒険者がエルガーへと提案する。エルガーも少し考えながら言った。
「時間も惜しい、イヴ・イシュタラストには遅刻癖があると聞いている。まあ良いだろう、会議を始める」

 初対面の者が多く、まずは簡単な自己紹介から始まる。初めは今回の招集を企画したエルガーからだった。名前はエルガー・ゲイル、元冒険者。現職はオルディス冒険者ギルド長。今回の作戦に置いては指揮を執る。
 次にエルガーの側近の騎士の様な出で立ちの男、ユーリ・アラスト。物静かそうではあるがかなり切れ者と見受けられる。現職は護衛。
 そして陽気そうな男、ハイン・ドラッド。現職は冒険者である。オルディスの街に滞在している冒険者の中ではかなりの実力者で、階級はシルバーランクらしい。
 そして、ハインの隣に座る男はイーミル。彼も同じシルバーランクの冒険者らしい。必要以上の事は語らず、この場でもほとんど静観している。
 最後に美濃嘉武、現在無職。今回、作戦上囮として参加した後、冒険者の予定である。
 その他にも協力する冒険者は居るみたいだが、今回はトップでの会議になるらしい。
 今回、遅れてくるのは女性で名をイヴ・イシュタラスト。フリーで活動するマンハンターだとエルガーより補足される。

(マ、マンハンター・・・)と嘉武は物騒な肩書きに驚きを隠せない。

 そして、今回はこの会議によってガヴァルド拘束作戦での役割を与えるために集まった次第である。元より決まっているのはユーリがギルド周辺を管轄、指揮官エルガーと通じる伝令を兼ねる事だけ。
 ハインは街の表を、イーミルは裏路地に潜む事が決まった。そして、消去法ではあるが嘉武の護衛に着くのはイヴに決まる。

「ヨシタケも、俺らみたいな男より女の子と一緒に居た方が良いっしょ」と短絡的な考えに引っ張られて確定してしまった。 それでも意義のある者は少ない。実際イヴはかなりの実力者。マンハンターをやっているだけあって人の気配には敏感だろうと囮の護衛にはかなり向いていると思われたからだ。

 決議を取り、満場一致の異議なしとなった所で会議室の扉が勢いよく開かれる。


「すっいませーん!遅れましたー!!」

 聞き覚えのある声が嘉武の耳に入る。昨日に続いて、今日まで・・・?いや、これから・・・?嘘だろ、見覚えのある金髪に所々映えるピンク色。

(あいつだーーーーーっ!!昨日の自称天才女ーー!!)

 嘉武は顔を背ける。だがもう避けようが何をしようが意味を成さない。嘉武の護衛は彼女、イヴで ・イシュタラストで決まってしまったのだから。「遅れすぎだろ、もう会議終わっちまったぞ」とハインが反応する。

「えーっと、じゃあエルダーさん、それで、私は何をする感じになったんです?」
「エルガーだ、イヴ・イシュタラスト。遅れてきた事はいい、そして今回貴女に依頼したいのは囮である美濃嘉武の守護だ。絶対に死なせてはならない」
「ありゃ、エルガーさん、ね。ま、それくらいならお安いもんよ!で、その囮は何処にいるのよ?」

 こいつこいつ、とハインが指を指す。その先にいたのは昨日の大爆発を起こした鈍臭そうな田舎者。

「プススス!!チンピラにまで目をつけられてる鈍臭ってあんただったのね!?本当に鈍臭かったのねー」とケラケラと笑うイヴ。
「なーんだ、お前ら知り合いだったなら話は早いよな、んじゃ解散解散!」と手を叩くハイン。
「知り合いという程では・・・」

「それじゃあ、作戦開始まで現場視察してくるよ」とイーミル。
「二人が知り合いで助かった。俺は次の打ち合わせに出るからあとは任せたぞ」とエルガーに続き、ユーリも静かに着いていく。
「だから、決して知り合いでは」

 ・・・・・・。
(これからこの煩い子が僕のボディガード?男が女に護られるなんてダサすぎやしないか・・・?)

 じゃじゃ馬と共に取り残される嘉武。誰一人嘉武の意見なんて聞きやしなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...