9 / 28
その先には何がある
しおりを挟む
気づいたときには嘉武を付け回す気配はもう無い。当たり前のように注意看板を踏み越えたからだろう。何かのテリトリーにでも入ったのだろうか。
(なんだろう、大きな気配だ。体の内からゾクゾクと力を感じる・・・)
力の感じる方へ踏み進んでいく嘉武。そこには、洞窟があった。
「絶対、オークじゃない、何かが居るよな・・・」
嘉武は苦笑いする。
「最悪逃げればいいし、洞窟の中じゃ不利だな。おびき出してやみるか」
嘉武は洞窟の入口に立ち、奥へと向けて手を翳す。
「ファイアボール」
いとも簡単に火球が洞窟の奥へと飛んで行く。そう経たないうちにドォン!と大きな音がする。
きっと奥には何かあるのだろうと火球を連発する。
すっかり、洞窟からは煙が立ち上り、もはや内部を視認することはできない。それでも気配はブレること無くそこに存在している。
「こんなんじゃ出てこないか・・・?大層図太いヤツがいたもんだ」
それから嘉武は水魔法、ハイドロを洞窟内へ打ち込み、雷魔法スパークを出すことに成功しそれらを流し込む。もはや、洞窟内部に生命が残ることは厳しいような状況ではあるのだが、気配は一向に変わることはない。そのまま何度も何度も自分の中の感覚を研ぎ澄ませ連打していく。気づけば、無詠唱で発動ができるほどに。それでも、様子は変わることがない。
きっと、この洞窟には得体の知れないナニカかが潜んでいることに間違いない。嘉武はそう確信した。
(中に何があるのか気になるけど・・・流石にまだ早そうだ。こんなすぐ死んでしまったら駄女神風に何て言われるか・・・)
「あと、怖いし」と呟く嘉武。
そして、大方の力を使い果たした嘉武はオルディスへ帰って行く。その帰り道に遭遇したオーク数匹はとりあえず葬った。その時レベルアップしたようだったが、特別な変化はなかった。
(もっとだ・・・こんなものじゃない・・・もっと力をつけなくちゃ・・・)
ーーーそして、イヴはずっと嘉武の後をつけていた。ただ、嘉武は微塵もその気配を察することはできない。それはプロのマンハンターの実力が並ではないことを意味する。まだ、年齢も若く十六で、経験もベテランと比べて少ない。だからこそ大小つけずに仕事をしているが、実力だけで言えばかなり秀でている。オルディス周辺に居ては存在が浮き彫りになるほどに。
場所は先程の危険範囲の洞窟。ずっと嘉武がちょっかい出していた洞窟だ。
(それにしても、あいつ魔法使えるんじゃない。しかも結構な火力してたわね。いろんな魔法をめちゃくちゃに打ち込んでいたし、<MP>も相当あるようね。ただ、結構ガサツね~。精度がまるで無いわ)
今まで嘉武の言っていることはずっと嘘だと思っていたイヴ。あのときの大爆発時からずっと怪しいとは思っていた。どう考えてもあの現場には魔力の痕跡が残っていた。
「何をそこまで隠す必要があるんだか」とイヴはグシャグシャに荒らされた洞窟の中へと侵入する。
「ブライナー」
イヴは暗視魔法を使い、奥へと進んでいく。そして、嘉武が攻撃していたものは大きな石版の扉だったことを確認する。その石版に手を当て「こんなに手を出していたらいくらあたしでもキツかったかもね・・・」、と珍しく曖昧な小言をこぼすイヴ。きっと、彼女でも自信をなくすような強い気配が中に待ち受けているのだろう。そんな事が合ったとは嘉武には知る由もない。
洞窟を後にしたイヴは急いで嘉武の監視へと戻る。道中、オークが数匹蹴散らされていたが、きっと嘉武がやったのだろうとイヴは推測する。
これだけスムーズにオークを蹴散らせるのならば、きっと今回囮になったのにも理由がある。冒険者だとしたならば、軽くシルバーランク以上の実力は有るはず。そのくらいの実力者が名前も知らないような田舎の出身?どうしてそんなに悠長にしていたのか。
そもそも、同世代の大した力もなさそうな男がただ殴っただけで獣人の血が混じった男が地に伏すようなことがあるか。とてつもない力でねじ伏せたに決まっている。それはもう、あの会議に出ていた者ならば言われなくてもわかっている。
イヴはずっと考えていた。だが、先程の魔法の連打を見て確信に変わった。下手くそな魔法に反してあの火力、あの魔力保有量。オルディスからこの森目掛けてフレアで加速しようとする無鉄砲さ。明らかに知識が足りていない。
あの美濃嘉武という男は人には言いたくない秘め事があるはず。それはきっと自分のまだ見たことの無い不可解な謎である。そんな思いがイヴの中に満ちるのだ。
そのような思考を経て、そろそろ、自分の守るべき囮様に追いつく。そんな囮様の背中を視界に捉えたイヴはインビジブルを唱え、姿を隠し気配を殺す。
そして「美濃、嘉武ね。なんだか、面白くなりそうじゃん」とイヴは言った。
(なんだろう、大きな気配だ。体の内からゾクゾクと力を感じる・・・)
力の感じる方へ踏み進んでいく嘉武。そこには、洞窟があった。
「絶対、オークじゃない、何かが居るよな・・・」
嘉武は苦笑いする。
「最悪逃げればいいし、洞窟の中じゃ不利だな。おびき出してやみるか」
嘉武は洞窟の入口に立ち、奥へと向けて手を翳す。
「ファイアボール」
いとも簡単に火球が洞窟の奥へと飛んで行く。そう経たないうちにドォン!と大きな音がする。
きっと奥には何かあるのだろうと火球を連発する。
すっかり、洞窟からは煙が立ち上り、もはや内部を視認することはできない。それでも気配はブレること無くそこに存在している。
「こんなんじゃ出てこないか・・・?大層図太いヤツがいたもんだ」
それから嘉武は水魔法、ハイドロを洞窟内へ打ち込み、雷魔法スパークを出すことに成功しそれらを流し込む。もはや、洞窟内部に生命が残ることは厳しいような状況ではあるのだが、気配は一向に変わることはない。そのまま何度も何度も自分の中の感覚を研ぎ澄ませ連打していく。気づけば、無詠唱で発動ができるほどに。それでも、様子は変わることがない。
きっと、この洞窟には得体の知れないナニカかが潜んでいることに間違いない。嘉武はそう確信した。
(中に何があるのか気になるけど・・・流石にまだ早そうだ。こんなすぐ死んでしまったら駄女神風に何て言われるか・・・)
「あと、怖いし」と呟く嘉武。
そして、大方の力を使い果たした嘉武はオルディスへ帰って行く。その帰り道に遭遇したオーク数匹はとりあえず葬った。その時レベルアップしたようだったが、特別な変化はなかった。
(もっとだ・・・こんなものじゃない・・・もっと力をつけなくちゃ・・・)
ーーーそして、イヴはずっと嘉武の後をつけていた。ただ、嘉武は微塵もその気配を察することはできない。それはプロのマンハンターの実力が並ではないことを意味する。まだ、年齢も若く十六で、経験もベテランと比べて少ない。だからこそ大小つけずに仕事をしているが、実力だけで言えばかなり秀でている。オルディス周辺に居ては存在が浮き彫りになるほどに。
場所は先程の危険範囲の洞窟。ずっと嘉武がちょっかい出していた洞窟だ。
(それにしても、あいつ魔法使えるんじゃない。しかも結構な火力してたわね。いろんな魔法をめちゃくちゃに打ち込んでいたし、<MP>も相当あるようね。ただ、結構ガサツね~。精度がまるで無いわ)
今まで嘉武の言っていることはずっと嘘だと思っていたイヴ。あのときの大爆発時からずっと怪しいとは思っていた。どう考えてもあの現場には魔力の痕跡が残っていた。
「何をそこまで隠す必要があるんだか」とイヴはグシャグシャに荒らされた洞窟の中へと侵入する。
「ブライナー」
イヴは暗視魔法を使い、奥へと進んでいく。そして、嘉武が攻撃していたものは大きな石版の扉だったことを確認する。その石版に手を当て「こんなに手を出していたらいくらあたしでもキツかったかもね・・・」、と珍しく曖昧な小言をこぼすイヴ。きっと、彼女でも自信をなくすような強い気配が中に待ち受けているのだろう。そんな事が合ったとは嘉武には知る由もない。
洞窟を後にしたイヴは急いで嘉武の監視へと戻る。道中、オークが数匹蹴散らされていたが、きっと嘉武がやったのだろうとイヴは推測する。
これだけスムーズにオークを蹴散らせるのならば、きっと今回囮になったのにも理由がある。冒険者だとしたならば、軽くシルバーランク以上の実力は有るはず。そのくらいの実力者が名前も知らないような田舎の出身?どうしてそんなに悠長にしていたのか。
そもそも、同世代の大した力もなさそうな男がただ殴っただけで獣人の血が混じった男が地に伏すようなことがあるか。とてつもない力でねじ伏せたに決まっている。それはもう、あの会議に出ていた者ならば言われなくてもわかっている。
イヴはずっと考えていた。だが、先程の魔法の連打を見て確信に変わった。下手くそな魔法に反してあの火力、あの魔力保有量。オルディスからこの森目掛けてフレアで加速しようとする無鉄砲さ。明らかに知識が足りていない。
あの美濃嘉武という男は人には言いたくない秘め事があるはず。それはきっと自分のまだ見たことの無い不可解な謎である。そんな思いがイヴの中に満ちるのだ。
そのような思考を経て、そろそろ、自分の守るべき囮様に追いつく。そんな囮様の背中を視界に捉えたイヴはインビジブルを唱え、姿を隠し気配を殺す。
そして「美濃、嘉武ね。なんだか、面白くなりそうじゃん」とイヴは言った。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる