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プロローグ
獣神娘の誕生
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昔々あるところに、都会生活に疲れ切っていたいい年をした女性がいました。
女性の名は山上 三巳といった、どこにでもいる様な平凡な人間でした。
普通では無いことといえば、三巳は都会の生活に疲れ切っていました。
上司の叱責。新人女子社員の嫌味。パワハラ、モラハラ、セクハラ、そんなものは毎日当たり前。
休日には気分転換にドライブに出かけることもありましたが、煽り運転にパッシング、クラクション何て鳴らされた日には肝が冷えます。
ショッピングに出れば、買う気もないのにあれこれ勧めてくる店員に辟易してしまいます。
それでも普通に生活を続ける心の強い女性でもありました。
そんなある日三巳は目覚めると一匹の獣の赤ちゃんになっていたのです。
もちろんそんなあり得ない状況に困惑し、狼狽え、絶叫を上げる、なんてことにはならなかったのです。
心の強い三巳は一瞬で状況を理解し、
「やった―――――!」
と両手を挙げて叫べませんでした。赤ちゃんなのでそれは「ぷきゅ」という何とも可愛らしい鳴き声になったのです。もちろん獣で赤ちゃんなので手も上げられません。
それでも心の中では感謝感激雨あられ、世界の見たこともない神様ありがとう!いるかもわかんないけど!と小躍りを繰り返していました。
人間としての一生も定年を迎えるほどには長生きをしていた彼女は、まったく人間としての未練はなかったのです。そうして人間社会に疲れ切っていた三巳は、人間に係わらない獣の一生を送ることを固く決意したのでした。
順調に一人で駆けずり回れるほどに成長し、親離れを迎える頃には今の体で出来る事を把握していました。
なんと魔法が使えたのです。あれやこれや試行錯誤を繰り返し、様々な魔法を生み出していく様を母獣は暖かく見守っていました。
そうして親離れをする日に自分達は神に属する存在だからむやみに世界を脅かしてはいけないよと優しく諭しました。
これには三巳もビックリです。そりゃ体も丈夫な訳です。色々な魔法が使い放題な筈です。
ビックリしましたが、だからと言って何が変わるわけでもないのですんなり納得して終わりました。
親元を離れた三巳はとことこ気の向くままに進みます。
この世界には所謂モンスターもいましたが、神である三巳には関係ありません。絶対なる強者である三巳に牙を向ける命知らずはモンスターにはいないのです。
だからのんびりとことこ、三巳は進みます。山越え谷超え海超えて。
途中視界に人間社会だろうと思われる集落を発見しましたが安定のスルーです。むしろ近づきません、離れます。こんなにも、ふさふさもふもふの可愛い獣です。捕まっても面倒なだけです。
だからとことこ進みます。
そうして三巳は山の奥の奥に周囲を山に囲まれた山を発見するのです。
近くに人間の集落も無く、またそうそう人間が近寄りそうもないその場所を気に入った三巳はそこを安住の地と定めました。
山に邪なる者が近寄れない様に、また邪なる者が生まれない様に、厳重で頑固な結界を全力全開で山に張り巡らしました。
こうして三巳は安住の地にて、自由気ままなスローライフを堪能していました。
そんな幾年月が過ぎたある日山に人間達が入り込みました。三巳が張った結界に入れるのです。邪なる者ではありません。
しかし、人間に嫌気をさしていた三巳は警戒を顕わにしました。今のスローライフを壊されるのではないかと不安になったのです。
恐る恐る近寄ってみると、その人間達は三巳を見て、
「神聖なる神の場を汚してしまい申し訳ありません」
と平身低頭で謝ってきました。
流石に土下座をされたい訳ではない三巳は困ってしまい、話を聞く事にします。
しかしここで困ったことが起きました。人間の言葉は判るのに、喋れなかったのです。
当たり前ですよね、だって三巳の口は獣の口なのですから。複雑な言葉を紡げる喉は持ち合わせていません。
困った三巳は気付きます。「人型になれば喋れるんじゃない?」と。
即興で人型になる魔法を編み出し変身をします。変身は年相応の姿になるらしく、神としては若輩の三巳はケモ耳姿の可愛らしい少女になりました。後ろでふかふかもふもふのしっぽが不安げに揺れています。
神の知識なのか、人間の言葉は判りましたが前世の言葉とは違います。きちんと喋れるかは物の試しです。
「何しに来たの?」
どうやらきちんと喋れました。安堵した三巳は話を続けます。
「土下座されても困るから立って」
しかし人間達は立ちません。
それどころか恐縮してさらに深く頭を地面にめり込ませる始末です。
その状態で恐らく代表者と思われる男性が事情を説明します。
どうやら人間社会では戦争が勃発し、小さな村落にいた彼らも巻き込まれたようです。
むやみに抵抗しても無意味に血を流すだけですし、国家におもねたとしても碌な事にはならない事など想像できた村人達です。さっさと村を捨て、国家の手が伸びないような地を求めてここまで辿り着いたのです。
神の収める地は清廉なる気に満ちるものです。それを感じ取った村人は許可を頂けるのならここに住もうと満場一致で三巳にお願いをする為平身低頭を貫いているのでした。
彼らの望みもスローライフであり、三巳の望みと同じであった為、また土下座に辟易した為、普通にすることと三巳の結界により邪なる者は生まれないので出生率が下がるだろう事を了承することを条件に認める事にしました。
こうして、獣神娘と山の民は誕生しました。
これはそんな彼女達のある日の日常の物語です。
女性の名は山上 三巳といった、どこにでもいる様な平凡な人間でした。
普通では無いことといえば、三巳は都会の生活に疲れ切っていました。
上司の叱責。新人女子社員の嫌味。パワハラ、モラハラ、セクハラ、そんなものは毎日当たり前。
休日には気分転換にドライブに出かけることもありましたが、煽り運転にパッシング、クラクション何て鳴らされた日には肝が冷えます。
ショッピングに出れば、買う気もないのにあれこれ勧めてくる店員に辟易してしまいます。
それでも普通に生活を続ける心の強い女性でもありました。
そんなある日三巳は目覚めると一匹の獣の赤ちゃんになっていたのです。
もちろんそんなあり得ない状況に困惑し、狼狽え、絶叫を上げる、なんてことにはならなかったのです。
心の強い三巳は一瞬で状況を理解し、
「やった―――――!」
と両手を挙げて叫べませんでした。赤ちゃんなのでそれは「ぷきゅ」という何とも可愛らしい鳴き声になったのです。もちろん獣で赤ちゃんなので手も上げられません。
それでも心の中では感謝感激雨あられ、世界の見たこともない神様ありがとう!いるかもわかんないけど!と小躍りを繰り返していました。
人間としての一生も定年を迎えるほどには長生きをしていた彼女は、まったく人間としての未練はなかったのです。そうして人間社会に疲れ切っていた三巳は、人間に係わらない獣の一生を送ることを固く決意したのでした。
順調に一人で駆けずり回れるほどに成長し、親離れを迎える頃には今の体で出来る事を把握していました。
なんと魔法が使えたのです。あれやこれや試行錯誤を繰り返し、様々な魔法を生み出していく様を母獣は暖かく見守っていました。
そうして親離れをする日に自分達は神に属する存在だからむやみに世界を脅かしてはいけないよと優しく諭しました。
これには三巳もビックリです。そりゃ体も丈夫な訳です。色々な魔法が使い放題な筈です。
ビックリしましたが、だからと言って何が変わるわけでもないのですんなり納得して終わりました。
親元を離れた三巳はとことこ気の向くままに進みます。
この世界には所謂モンスターもいましたが、神である三巳には関係ありません。絶対なる強者である三巳に牙を向ける命知らずはモンスターにはいないのです。
だからのんびりとことこ、三巳は進みます。山越え谷超え海超えて。
途中視界に人間社会だろうと思われる集落を発見しましたが安定のスルーです。むしろ近づきません、離れます。こんなにも、ふさふさもふもふの可愛い獣です。捕まっても面倒なだけです。
だからとことこ進みます。
そうして三巳は山の奥の奥に周囲を山に囲まれた山を発見するのです。
近くに人間の集落も無く、またそうそう人間が近寄りそうもないその場所を気に入った三巳はそこを安住の地と定めました。
山に邪なる者が近寄れない様に、また邪なる者が生まれない様に、厳重で頑固な結界を全力全開で山に張り巡らしました。
こうして三巳は安住の地にて、自由気ままなスローライフを堪能していました。
そんな幾年月が過ぎたある日山に人間達が入り込みました。三巳が張った結界に入れるのです。邪なる者ではありません。
しかし、人間に嫌気をさしていた三巳は警戒を顕わにしました。今のスローライフを壊されるのではないかと不安になったのです。
恐る恐る近寄ってみると、その人間達は三巳を見て、
「神聖なる神の場を汚してしまい申し訳ありません」
と平身低頭で謝ってきました。
流石に土下座をされたい訳ではない三巳は困ってしまい、話を聞く事にします。
しかしここで困ったことが起きました。人間の言葉は判るのに、喋れなかったのです。
当たり前ですよね、だって三巳の口は獣の口なのですから。複雑な言葉を紡げる喉は持ち合わせていません。
困った三巳は気付きます。「人型になれば喋れるんじゃない?」と。
即興で人型になる魔法を編み出し変身をします。変身は年相応の姿になるらしく、神としては若輩の三巳はケモ耳姿の可愛らしい少女になりました。後ろでふかふかもふもふのしっぽが不安げに揺れています。
神の知識なのか、人間の言葉は判りましたが前世の言葉とは違います。きちんと喋れるかは物の試しです。
「何しに来たの?」
どうやらきちんと喋れました。安堵した三巳は話を続けます。
「土下座されても困るから立って」
しかし人間達は立ちません。
それどころか恐縮してさらに深く頭を地面にめり込ませる始末です。
その状態で恐らく代表者と思われる男性が事情を説明します。
どうやら人間社会では戦争が勃発し、小さな村落にいた彼らも巻き込まれたようです。
むやみに抵抗しても無意味に血を流すだけですし、国家におもねたとしても碌な事にはならない事など想像できた村人達です。さっさと村を捨て、国家の手が伸びないような地を求めてここまで辿り着いたのです。
神の収める地は清廉なる気に満ちるものです。それを感じ取った村人は許可を頂けるのならここに住もうと満場一致で三巳にお願いをする為平身低頭を貫いているのでした。
彼らの望みもスローライフであり、三巳の望みと同じであった為、また土下座に辟易した為、普通にすることと三巳の結界により邪なる者は生まれないので出生率が下がるだろう事を了承することを条件に認める事にしました。
こうして、獣神娘と山の民は誕生しました。
これはそんな彼女達のある日の日常の物語です。
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