49 / 372
本編
リリの大好き
しおりを挟む
今日のリリは機嫌が良いです。
三巳の事が前よりは知る事が出来て仲良くなれた気がするからです。
三巳には心身共に助けて貰った恩があります。
心が挫かれていた時に優しく受け入れてくれた三巳。しかも大好きなモフモフ。
これで好きにならない理由はありません。
「三巳だ~い好きよ」
触り心地の良いフワフワ尻尾と耳をうっとり撫で撫でしながらつい言葉にしてしまう位には大好きになっていました。
「三巳もリリが大好きだぞー」
恍惚と撫で撫でされながら三巳が返してくれたものですから、リリは嬉しくて嬉しくてモフモフムギューと抱きしめました。その光景をついうっかり見てしまったロダが、物陰からショックを受けて立ち尽くしているのも気付かずに。
撫で撫でタイムが終われば朝の薬草摘みです。
最近は独り立ちしてロキ医師無しで摘みに来ます。勿論帰ったらしっかり選別してもらいますが。
「うふふ。好き。だ~い好き」
リリは軽くメロディを口遊みながら軽快なスキップで散策に向かいます。
「リリっ、山はモンスターがいるから1人は危険だよっ」
これ以上リリの好きを三巳に取られたく無いロダは、必死でリリを追い掛けます。
「あら、ロダおはよう」
「はうっ!」
ロダの呼び声に、薬草を入れる籠を両手で持ってくるりと振り返るリリです。
スカートも髪もくるりと翻って一枚の絵の様です。
ロダは余りの可愛らしさに心臓を撃ち抜かれました。
真っ赤に茹るロダの脳内では、今のシーンがリフレインしています。
「?ロダ?大丈夫?顔が赤いわ」
ロダの内心なんて全く気付かないリリは、様子のおかしいロダに近付くとおデコに手のひらをピトっとつけます。
「はっ!?はひゃっ!?」
ロダはリリの心地良い手の感触を感じ、ビックリして高く飛び上がりました。
そんなロダの様子にリリの方がビックリします。
「やっぱり何かの病気なんじゃ」
「だだだだっ、大丈夫!超元気!凄く元気!人生で一番元気だから!」
心配するリリに、ロダはワタワタしながら『元気』をアピールします。
余りの勢いにリリは若干引き気味です。
「そ、そう?無理はしないでね?」
「う、うん」
少し後退しつつ言われたロダは、ショックと己の情けなさに涙目で頷きました。
「それじゃ私は薬草取りに行くから」
「待ってっ、子供は一人で山に入らないんだ」
「?そうなの?」
一人でひょいひょい山の天辺から底辺まで遊びに行く三巳を知っているリリです。首を傾げるのも無理はありません。
(でも生きた年数自体は誰よりも年長だから良いのかしら)
傾げましたが直ぐに思い至って納得しました。
獣人の寿命は種族によって違います。そしてまだ知られていない種族も多いです。
お陰でリリはちっとも三巳に対して何の疑問も抱いていません。
「でも危険な場所なら三巳一人なのはやっぱり心配だわ」
「え?何で今三巳なの?」
三巳の事を考え過ぎてつい口に出して心配してしまうリリに、脈絡を見出せないロダは首を捻ります。嫉妬もします。
「だって三巳みたいなモフモフでフワフワの可愛い獣人、きっと誰だって放って置かないわ」
肉食獣に食べられちゃう哀れな三巳ワンコを想像するだけで、リリは涙目です。
多くを失ったリリは、もう大切な者達を失いたくありません。
「うう~ん?モフモフでフワフワは確かだけど……。
三巳はああ見えて山の誰より強いから、寧ろ理不尽に強すぎて一番怒らせたくない獣神だから」
悲しそうなリリに、ロダの方が胸を締め付けられて、三巳への嫉妬心なんて簡単に吹き飛びました。
兎に角安心させようとリリの肩をポンと掴んで、リリの目をしっかり見つめて真顔で三巳の強さを伝えます。
そんなロダの心は、
(うきゃああっ、リリの肩に触れちゃった!リリと見つめ合っちゃってるよ!うきゃあああ!!)
という嬉し恥ずかしに悶える心と、
(ああ、あの時の三巳はヤバかった!本当の姿も家よりデカイし!そういえばあの時も!)
という三巳の理不尽な強さを思い出して身震いする心がせめぎ合っていました。
尤も一応アレでも神様の一員です。大抵相手が平伏するか近寄らないので滅多にその凄さは見れませんが。
「ふわ~三巳って凄いのね!」
何がどう凄いのかわかりませんが、ロダの真剣な表情から兎に角凄い事だけは伝わって、リリは尊敬と敬愛の眼差しでキラキラと輝いています。
お陰で更に三巳が好きになったリリですが、ロダの事は今までと一緒です。山の民の子供達の年長さんで、リリを保護してくれた人の一人で、最近は良く薬草取りに一緒に来る人。それだけです。
残念ながらまだ、ロダの想いは届いていません。あれで届く訳も無いかもしれませんが。
「リっリリリリリリの事は僕が守りましゅ!」
涙目で対抗心を燃やしたロダは格好付けようとして、どもった挙句最後に噛みました。
更に涙目になるロダに、リリはキョトンと瞬きをしてからクスリと笑いました。
「ふふ。ありがとうロダ。
貴方って優しくて面白い人ね」
「はわっ!」
思い掛けず花が咲き乱れる様な天使の微笑み(ロダ視点)でお礼を言われ、更に褒められた事で、ロダは天にも登る気持ちで舞い上がりました。
(リリ可愛い!!絶対に僕が守ってみせるからね!)
その日のロダの張り切りようは、動物達でさえ遠巻きにするレベルでしたとさ。
三巳の事が前よりは知る事が出来て仲良くなれた気がするからです。
三巳には心身共に助けて貰った恩があります。
心が挫かれていた時に優しく受け入れてくれた三巳。しかも大好きなモフモフ。
これで好きにならない理由はありません。
「三巳だ~い好きよ」
触り心地の良いフワフワ尻尾と耳をうっとり撫で撫でしながらつい言葉にしてしまう位には大好きになっていました。
「三巳もリリが大好きだぞー」
恍惚と撫で撫でされながら三巳が返してくれたものですから、リリは嬉しくて嬉しくてモフモフムギューと抱きしめました。その光景をついうっかり見てしまったロダが、物陰からショックを受けて立ち尽くしているのも気付かずに。
撫で撫でタイムが終われば朝の薬草摘みです。
最近は独り立ちしてロキ医師無しで摘みに来ます。勿論帰ったらしっかり選別してもらいますが。
「うふふ。好き。だ~い好き」
リリは軽くメロディを口遊みながら軽快なスキップで散策に向かいます。
「リリっ、山はモンスターがいるから1人は危険だよっ」
これ以上リリの好きを三巳に取られたく無いロダは、必死でリリを追い掛けます。
「あら、ロダおはよう」
「はうっ!」
ロダの呼び声に、薬草を入れる籠を両手で持ってくるりと振り返るリリです。
スカートも髪もくるりと翻って一枚の絵の様です。
ロダは余りの可愛らしさに心臓を撃ち抜かれました。
真っ赤に茹るロダの脳内では、今のシーンがリフレインしています。
「?ロダ?大丈夫?顔が赤いわ」
ロダの内心なんて全く気付かないリリは、様子のおかしいロダに近付くとおデコに手のひらをピトっとつけます。
「はっ!?はひゃっ!?」
ロダはリリの心地良い手の感触を感じ、ビックリして高く飛び上がりました。
そんなロダの様子にリリの方がビックリします。
「やっぱり何かの病気なんじゃ」
「だだだだっ、大丈夫!超元気!凄く元気!人生で一番元気だから!」
心配するリリに、ロダはワタワタしながら『元気』をアピールします。
余りの勢いにリリは若干引き気味です。
「そ、そう?無理はしないでね?」
「う、うん」
少し後退しつつ言われたロダは、ショックと己の情けなさに涙目で頷きました。
「それじゃ私は薬草取りに行くから」
「待ってっ、子供は一人で山に入らないんだ」
「?そうなの?」
一人でひょいひょい山の天辺から底辺まで遊びに行く三巳を知っているリリです。首を傾げるのも無理はありません。
(でも生きた年数自体は誰よりも年長だから良いのかしら)
傾げましたが直ぐに思い至って納得しました。
獣人の寿命は種族によって違います。そしてまだ知られていない種族も多いです。
お陰でリリはちっとも三巳に対して何の疑問も抱いていません。
「でも危険な場所なら三巳一人なのはやっぱり心配だわ」
「え?何で今三巳なの?」
三巳の事を考え過ぎてつい口に出して心配してしまうリリに、脈絡を見出せないロダは首を捻ります。嫉妬もします。
「だって三巳みたいなモフモフでフワフワの可愛い獣人、きっと誰だって放って置かないわ」
肉食獣に食べられちゃう哀れな三巳ワンコを想像するだけで、リリは涙目です。
多くを失ったリリは、もう大切な者達を失いたくありません。
「うう~ん?モフモフでフワフワは確かだけど……。
三巳はああ見えて山の誰より強いから、寧ろ理不尽に強すぎて一番怒らせたくない獣神だから」
悲しそうなリリに、ロダの方が胸を締め付けられて、三巳への嫉妬心なんて簡単に吹き飛びました。
兎に角安心させようとリリの肩をポンと掴んで、リリの目をしっかり見つめて真顔で三巳の強さを伝えます。
そんなロダの心は、
(うきゃああっ、リリの肩に触れちゃった!リリと見つめ合っちゃってるよ!うきゃあああ!!)
という嬉し恥ずかしに悶える心と、
(ああ、あの時の三巳はヤバかった!本当の姿も家よりデカイし!そういえばあの時も!)
という三巳の理不尽な強さを思い出して身震いする心がせめぎ合っていました。
尤も一応アレでも神様の一員です。大抵相手が平伏するか近寄らないので滅多にその凄さは見れませんが。
「ふわ~三巳って凄いのね!」
何がどう凄いのかわかりませんが、ロダの真剣な表情から兎に角凄い事だけは伝わって、リリは尊敬と敬愛の眼差しでキラキラと輝いています。
お陰で更に三巳が好きになったリリですが、ロダの事は今までと一緒です。山の民の子供達の年長さんで、リリを保護してくれた人の一人で、最近は良く薬草取りに一緒に来る人。それだけです。
残念ながらまだ、ロダの想いは届いていません。あれで届く訳も無いかもしれませんが。
「リっリリリリリリの事は僕が守りましゅ!」
涙目で対抗心を燃やしたロダは格好付けようとして、どもった挙句最後に噛みました。
更に涙目になるロダに、リリはキョトンと瞬きをしてからクスリと笑いました。
「ふふ。ありがとうロダ。
貴方って優しくて面白い人ね」
「はわっ!」
思い掛けず花が咲き乱れる様な天使の微笑み(ロダ視点)でお礼を言われ、更に褒められた事で、ロダは天にも登る気持ちで舞い上がりました。
(リリ可愛い!!絶対に僕が守ってみせるからね!)
その日のロダの張り切りようは、動物達でさえ遠巻きにするレベルでしたとさ。
22
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
犬の散歩中に異世界召喚されました
おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。
何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。
カミサマの許可はもらいました。
精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~
舞
ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。
異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。
夢は優しい国づくり。
『くに、つくりますか?』
『あめのぬぼこ、ぐるぐる』
『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』
いや、それはもう過ぎてますから。
王宮メイドは今日も夫を「観察」する
kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」
王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。
ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。
だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……?
※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる