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本編
観光プランB
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三巳達一行は、地獄谷近くの高原ですっかり仲良しになったタウろんとまったり寛いでいます。
「いやあ、良い食べっぷりだったなー」
『村の草美味しかったモー』
「ぐおっ」
「そうかそうか、熊五郎も干し肉美味しかったかー」
ロダとタウろんと熊五郎はお互いの言葉が通じていませんが、そこは雰囲気で会話を成立させています。
「タウろんもすっかり人間に慣れた様で良かった。
もう人間怖くないか?」
『モー……。リリとロダなら大好きだモー……。
でも他の人間は怖いモー……』
三巳が聞くと、タウろんはポンポコリンになったお腹を摩りながら体を小さく丸めてしまいました。
様子のおかしいタウろんに、リリもロダもどうしたのか尋ねます。三巳が軽く説明すると、ガバッと両脇からタウろんに抱きつきます。
「一緒に行こう!皆には僕が説明するよ!」
「そうよっ、村の皆は良い人ばかりよ!
だって身元不確かな私を受け入れてくれたもの!」
リリもロダも熱心にタウろんを説得します。
言葉はわからなくてもその熱意だけは伝わったタウろんは、嬉しそうに相好を崩します。そこに三巳が通訳をすれば、感激の余りにリリとロダをギューっと抱きしめました。ちょっと誤算なのはタウろんは力が強いという事です。
リリとロダが危うく潰れそうになりましたが、寸前で三巳が身体強化の魔法を掛けてくれたので無事でした。
「うーにゅ、良い話の筈なのに締まらんなー。
ま、いいか。話も良い感じに纏まった所で次の場所に向かおう」
こうして旅のお供を一人……一頭?増やして三巳達は高原を後にしました。
(ホントはこの後サラちゃんとこ行きたかったけど……。
気配がまだ無いんだよなー。近付いては来てるみたいだし、プランAを止めてプランBに変更だな)
熊五郎に乗って最後尾でプランAと書かれた日程表を仕舞った三巳は、代わりにプランBの日程表を取り出しました。
熊五郎は三己の指示に従って、トットコトコトコ進んで行きます。
タウろんは隣をのっしのっしと歩きます。
三巳の通訳で会話を楽しんでいると、辺りは徐々に霧が立ち込めて来ました。まさかと思うリリですが、霧が濃くなるのと比例してその胸は期待で膨らんでいきます。
ドキドキする胸を押さえながらも、着いた先は期待通り霧の谷でした。
来れるとは思って無かったリリは、ポケ~っと大口を開けて驚いています。
驚いたのはリリだけではありません。ロダもタウろんもポカーンです。
「え?え?まさか入るの?」
『結界あるモー。入れないモー』
同じような動きで狼狽えるロダとタウろんは、勿論妖精の事を知っています。
まさか入れる訳無いと思っているだけに、困惑はひと押しです。
「このメンツなら大丈夫だと思うぞ?
熊五郎は動物だから良いとして、タウろんベジタリアンだし平和主義者だろ。
リリは元々好かれるタイプだし、ロダは何て言うか……うん。大丈夫だろ」
三巳は(ヘタレだし)という一言は声に出さずに飲み込んで、力強く親指を立てました。
そんな訳で三巳達は霧の中にズンズかズンと進んで行きます。
暫く進めばあちこちから妖精の視線を感じて来ました。そして何やらボソボソ妖精同士で話し合っています。
やっぱり無理なんじゃ無いかなぁと冷や汗を掻いたロダとタウろんでしたが、背後で楽しそうに三巳が尻尾を振った瞬間、霧はあっという間に晴れました。
果たして現れたのは妖精の世界です。
「はわー!!」
「うわー!!」
『モー!!』
「ぐあ!?」
一面に広がる夢の様な世界に、リリ達は心も体も前のめりに反応します。
大興奮のリリとロダが重心を逐一変えてくるので、対応仕切れなくて体制を崩しそうになった熊五郎が呻きました。
「ようこそー♪初めましての人♪」
「こんにちは♪初めましての……牛?」
「違うよう!ミノタウルスだよ♪」
「そっかー♪」
楽しそうにキャラキャラ笑いながらやって来たのは妖精達です。
三巳達の周りを飛び回る妖精達は、全身で色とりどりな光をピカピカ明滅させて歓迎してくれています。透明の羽根がパタパタ羽ばたく度に、光を受けてキラキラ輝いていてとても綺麗です。
「はうぅ、可愛い~綺麗~。
こんにちは妖精さん達、私はリリよ宜しくね」
「あたしは藍の妖精♪リリ宜しくね♪」
「宜しくリリ♪僕は緑の妖精、植物の事ならお任せさ♪」
「あちしは橙の妖精、ポカポカ陽だまりだーい好き♪」
リリが自己紹介をすると、妖精達も歌う様に自己紹介を始めました。
結構な数の妖精が集まっているので、いっぱい時間が掛かってまるで一つの歌の様になりました。
幻想的な空間で妖精達が歌うと、まるで別世界へ迷い込んだ様です。
リリも妖精達のリズムに合わせて一緒に踊り出しました。
三巳と熊五郎も一緒になって踊ります。
けれどロダとタウろんはキャラキャラしている妖精達の世界に飛び込めないでいます。だってヘタレだって男の子なんです。可愛いとは思うけれど、その輪に入るにはちょっぴり勇気がいる様です。
ロダはリリを見ているだけでも幸せそうですが、遊び好きの妖精達にはそうもいかなかった様です。
「むむー?僕達の輪に入らない子がいるよっ」
「むむむー?心外心外ー」
「このままじゃ妖精の名折れだねっ」
「やっちゃう?」
「やっちゃう!」
「「「よーし!それー♪」」」
妖精達はロダとタウろんにも楽しんで貰う為に、闘志を燃やして張り切ります。上空を旋回すると、キラキラ光る粉を振りかけました。
光る粉を一身に浴びた三巳達は、魔法を使って無いのにふわりふわりと浮き上がりました。光る粉は妖精の粉だったのです。
リリ達は驚く間もなく妖精達に誘導されて、妖精界をビューン!と飛んで行きました。
「いやあ、良い食べっぷりだったなー」
『村の草美味しかったモー』
「ぐおっ」
「そうかそうか、熊五郎も干し肉美味しかったかー」
ロダとタウろんと熊五郎はお互いの言葉が通じていませんが、そこは雰囲気で会話を成立させています。
「タウろんもすっかり人間に慣れた様で良かった。
もう人間怖くないか?」
『モー……。リリとロダなら大好きだモー……。
でも他の人間は怖いモー……』
三巳が聞くと、タウろんはポンポコリンになったお腹を摩りながら体を小さく丸めてしまいました。
様子のおかしいタウろんに、リリもロダもどうしたのか尋ねます。三巳が軽く説明すると、ガバッと両脇からタウろんに抱きつきます。
「一緒に行こう!皆には僕が説明するよ!」
「そうよっ、村の皆は良い人ばかりよ!
だって身元不確かな私を受け入れてくれたもの!」
リリもロダも熱心にタウろんを説得します。
言葉はわからなくてもその熱意だけは伝わったタウろんは、嬉しそうに相好を崩します。そこに三巳が通訳をすれば、感激の余りにリリとロダをギューっと抱きしめました。ちょっと誤算なのはタウろんは力が強いという事です。
リリとロダが危うく潰れそうになりましたが、寸前で三巳が身体強化の魔法を掛けてくれたので無事でした。
「うーにゅ、良い話の筈なのに締まらんなー。
ま、いいか。話も良い感じに纏まった所で次の場所に向かおう」
こうして旅のお供を一人……一頭?増やして三巳達は高原を後にしました。
(ホントはこの後サラちゃんとこ行きたかったけど……。
気配がまだ無いんだよなー。近付いては来てるみたいだし、プランAを止めてプランBに変更だな)
熊五郎に乗って最後尾でプランAと書かれた日程表を仕舞った三巳は、代わりにプランBの日程表を取り出しました。
熊五郎は三己の指示に従って、トットコトコトコ進んで行きます。
タウろんは隣をのっしのっしと歩きます。
三巳の通訳で会話を楽しんでいると、辺りは徐々に霧が立ち込めて来ました。まさかと思うリリですが、霧が濃くなるのと比例してその胸は期待で膨らんでいきます。
ドキドキする胸を押さえながらも、着いた先は期待通り霧の谷でした。
来れるとは思って無かったリリは、ポケ~っと大口を開けて驚いています。
驚いたのはリリだけではありません。ロダもタウろんもポカーンです。
「え?え?まさか入るの?」
『結界あるモー。入れないモー』
同じような動きで狼狽えるロダとタウろんは、勿論妖精の事を知っています。
まさか入れる訳無いと思っているだけに、困惑はひと押しです。
「このメンツなら大丈夫だと思うぞ?
熊五郎は動物だから良いとして、タウろんベジタリアンだし平和主義者だろ。
リリは元々好かれるタイプだし、ロダは何て言うか……うん。大丈夫だろ」
三巳は(ヘタレだし)という一言は声に出さずに飲み込んで、力強く親指を立てました。
そんな訳で三巳達は霧の中にズンズかズンと進んで行きます。
暫く進めばあちこちから妖精の視線を感じて来ました。そして何やらボソボソ妖精同士で話し合っています。
やっぱり無理なんじゃ無いかなぁと冷や汗を掻いたロダとタウろんでしたが、背後で楽しそうに三巳が尻尾を振った瞬間、霧はあっという間に晴れました。
果たして現れたのは妖精の世界です。
「はわー!!」
「うわー!!」
『モー!!』
「ぐあ!?」
一面に広がる夢の様な世界に、リリ達は心も体も前のめりに反応します。
大興奮のリリとロダが重心を逐一変えてくるので、対応仕切れなくて体制を崩しそうになった熊五郎が呻きました。
「ようこそー♪初めましての人♪」
「こんにちは♪初めましての……牛?」
「違うよう!ミノタウルスだよ♪」
「そっかー♪」
楽しそうにキャラキャラ笑いながらやって来たのは妖精達です。
三巳達の周りを飛び回る妖精達は、全身で色とりどりな光をピカピカ明滅させて歓迎してくれています。透明の羽根がパタパタ羽ばたく度に、光を受けてキラキラ輝いていてとても綺麗です。
「はうぅ、可愛い~綺麗~。
こんにちは妖精さん達、私はリリよ宜しくね」
「あたしは藍の妖精♪リリ宜しくね♪」
「宜しくリリ♪僕は緑の妖精、植物の事ならお任せさ♪」
「あちしは橙の妖精、ポカポカ陽だまりだーい好き♪」
リリが自己紹介をすると、妖精達も歌う様に自己紹介を始めました。
結構な数の妖精が集まっているので、いっぱい時間が掛かってまるで一つの歌の様になりました。
幻想的な空間で妖精達が歌うと、まるで別世界へ迷い込んだ様です。
リリも妖精達のリズムに合わせて一緒に踊り出しました。
三巳と熊五郎も一緒になって踊ります。
けれどロダとタウろんはキャラキャラしている妖精達の世界に飛び込めないでいます。だってヘタレだって男の子なんです。可愛いとは思うけれど、その輪に入るにはちょっぴり勇気がいる様です。
ロダはリリを見ているだけでも幸せそうですが、遊び好きの妖精達にはそうもいかなかった様です。
「むむー?僕達の輪に入らない子がいるよっ」
「むむむー?心外心外ー」
「このままじゃ妖精の名折れだねっ」
「やっちゃう?」
「やっちゃう!」
「「「よーし!それー♪」」」
妖精達はロダとタウろんにも楽しんで貰う為に、闘志を燃やして張り切ります。上空を旋回すると、キラキラ光る粉を振りかけました。
光る粉を一身に浴びた三巳達は、魔法を使って無いのにふわりふわりと浮き上がりました。光る粉は妖精の粉だったのです。
リリ達は驚く間もなく妖精達に誘導されて、妖精界をビューン!と飛んで行きました。
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