獣神娘と山の民

蒼穹月

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本編

リファラに戻ります

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 「リファラに戻る?」

 今日も今日とて山に遊びに行っていた三巳は、リリからの一言に目をパチクリさせています。
 リリはロキ医師から分けて貰った薬類をリュックに詰め込んでいます。

 「ええ、今回は一時帰宅のつもりだったから皆に帰るって伝えてあるのよ」
 「あー、それもそうなんだよ」

 あまりにも山が開放的で三巳は全てを忘れていました。天井を仰いで「あちゃー」とオデコをペシリと叩きます。

 「三巳は残っても良いのよ?元々三巳はこの山の神様なのだし」
 「うんにゃ、三巳も行くよー。獣型で走れば1日掛からないしな」

 三巳は飛行機を超える気持ちで言いました。
 今回山に帰るにあたって、三巳はリファラの民と交流を深める事も考えていました。そうなると気になるのは交通経路です。前世と違い、この世界には新幹線も飛行機もありません。普通の人達は徒歩か馬車になる事でしょう。

 「今回は経路と他の街の下見と必要日数を見るのに歩いて帰って来たけど、そんなに早く着くものなの?」

 リリは最短で来た道程を思い出して言います。確認の為に、街ではお泊まりと必要な物資の買い足し以外はしませんでした。それでもひと月程も掛かりました。

 「うぬ。行きはウィンブルドン迄とそこからリファラ迄を足しても1日掛かってなかったろ」

 言われてみればその通りです。
 リリはウィンブルドン領へ寄った日の事を思い出しました。

 「ウィンブルドン伯爵様とお嬢様元気かしら」
 「今回は寄らずに来たからなー。でも手紙は出したんだろ?」
 「ええ、でもやっぱり直接会いたいわ。寄ってからリファラへ行こうかしら」
 「そだなー。お世話になったし、報告がてら寄ってくか」

 三巳は大きく頷くとリリの隣でリュックを広げました。中には山のお友達がくれたプレゼントが入っています。

 「ぬふー。食べ物は持ってくとしてー、ドングリにー、松ぼっくりにー、綺麗な石は置いて行かなきゃかなー。あ、でもドングリは食べ物か?」

 日本人だった時には食べなかった木の実も、獣としての味覚なのか今生は大変美味しくいただけます。ただ単に他に美味しいものがいっぱいあるので中々食べる機会がないだけです。
 ムニムニ悩む三巳を見て、リリは微笑ましく笑みを漏らしました。

 「三巳なら全部持って行けそうだけどね」

 三巳はリリに言われてハッとします。そうです。三巳には便利な尻尾収納があるのです。

 「よーし!全部持ってこー!」

 問題が解決した三巳は、意気揚々とリュックごと尻尾に収納するのでした。
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