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本編
ロダのいる場所
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「リファラに戻るわ」
そう言われた瞬間。ロダは寂しそうに目を瞑りました。
(やっぱり。リリは故郷に帰りたいよね)
ロダはある程度覚悟を決めていました。リリは元とはいえお姫様です。今のリファラは王政ではないけれど、それでも街に住む人達にとってリリは永遠にお姫様です。
数年の時を過ごして理解していたからこそ、ロダはこうなると思っていたのです。
「わかった。僕も一緒に行くよ」
ロダはキリリと覚悟を決めた男の顔で言いました。
「本当!?嬉しい!」
リリは両手を合わせて立ち上がると、花を咲かせる笑顔で喜びます。
ロダはその顔だけで村から移住する覚悟も報われた気がしました。
「それじゃあ出るのは村のみんなにお別れの挨拶をしてからでも良いかな?」
「お別れ?今回は直ぐに村に帰る予定だけど……。でもそうね、何があるかわからないものね。
うん、私も挨拶回り一緒して良いかしら?」
不思議そうな顔をしたリリに、ロダは鳩が豆鉄砲を食ったような顔でポカンとしました。
「え?直ぐ?」
「あら、今から挨拶に行く?」
2人の会話は噛み合いませんでした。お互いの顔を見合わせてキョトンとしています。
「あの……リファラに帰るって、そこに住むって事じゃ……?」
ロダは回らない頭で何とかそれだけを聞きました。
「??私の今の家はお義祖父様の家よ?」
リリはロダが何を言っているのかわからず、首を傾げました。
「リファラには、お父さんとお母さんが眠っているでしょ。それに国の皆はリリにいて欲しいんじゃないかな?」
眉毛を下げて言うロダに、リリは「ああ」と得心がいきました。
「そうね。お墓参りには毎年行きたいわ。その時はロダも一緒に行ってくれるかしら?」
「も、勿論だよ!」
くすりと微笑むリリに、ロダは勢いよく頷きます。
「リファラの皆には帰ったら話すつもり。皆快く送ってくれるかしら」
「如何だろ……。皆リリを大事にしているから」
きっと皆渋り、引き留める事だろうと想像に難くありません。それでもリリの意思はもう既にロキ医師の所にありました。
「ふふふ、そうね。とっても嬉しい事に皆良くしてくれてるわ。実際にハンナに話した時にも反対されたもの」
リリはこそばゆい気持ちで身をすくめました。
ロダはもう既にハンナに話していた事に目を見張ります。
「その様子じゃ説得は出来たんだね」
「ええ。私の思いを話したら渋々だけど、しょうがないですねって苦笑いで頷いてくれたわ」
「そっか。それじゃあリファラの皆を説得する時は僕も一緒にいるよ」
「本当?ありがとう、とっても心強いわ」
2人の間に穏やかだ優しい空気が満ちています。
お互いに微笑み、はにかみ、視線を合わせているとドキドキしてきて落ち着かなくなってきました。
「あ、あ、それじゃあリファラの皆にお土産選ぼうかっ」
「そうねっ、それってとっても素敵!」
そしてお互いに熱い顔を仰いでそそくさと立ち上がり、そわそわしながら肩を並べてお出掛けするのでした。
そう言われた瞬間。ロダは寂しそうに目を瞑りました。
(やっぱり。リリは故郷に帰りたいよね)
ロダはある程度覚悟を決めていました。リリは元とはいえお姫様です。今のリファラは王政ではないけれど、それでも街に住む人達にとってリリは永遠にお姫様です。
数年の時を過ごして理解していたからこそ、ロダはこうなると思っていたのです。
「わかった。僕も一緒に行くよ」
ロダはキリリと覚悟を決めた男の顔で言いました。
「本当!?嬉しい!」
リリは両手を合わせて立ち上がると、花を咲かせる笑顔で喜びます。
ロダはその顔だけで村から移住する覚悟も報われた気がしました。
「それじゃあ出るのは村のみんなにお別れの挨拶をしてからでも良いかな?」
「お別れ?今回は直ぐに村に帰る予定だけど……。でもそうね、何があるかわからないものね。
うん、私も挨拶回り一緒して良いかしら?」
不思議そうな顔をしたリリに、ロダは鳩が豆鉄砲を食ったような顔でポカンとしました。
「え?直ぐ?」
「あら、今から挨拶に行く?」
2人の会話は噛み合いませんでした。お互いの顔を見合わせてキョトンとしています。
「あの……リファラに帰るって、そこに住むって事じゃ……?」
ロダは回らない頭で何とかそれだけを聞きました。
「??私の今の家はお義祖父様の家よ?」
リリはロダが何を言っているのかわからず、首を傾げました。
「リファラには、お父さんとお母さんが眠っているでしょ。それに国の皆はリリにいて欲しいんじゃないかな?」
眉毛を下げて言うロダに、リリは「ああ」と得心がいきました。
「そうね。お墓参りには毎年行きたいわ。その時はロダも一緒に行ってくれるかしら?」
「も、勿論だよ!」
くすりと微笑むリリに、ロダは勢いよく頷きます。
「リファラの皆には帰ったら話すつもり。皆快く送ってくれるかしら」
「如何だろ……。皆リリを大事にしているから」
きっと皆渋り、引き留める事だろうと想像に難くありません。それでもリリの意思はもう既にロキ医師の所にありました。
「ふふふ、そうね。とっても嬉しい事に皆良くしてくれてるわ。実際にハンナに話した時にも反対されたもの」
リリはこそばゆい気持ちで身をすくめました。
ロダはもう既にハンナに話していた事に目を見張ります。
「その様子じゃ説得は出来たんだね」
「ええ。私の思いを話したら渋々だけど、しょうがないですねって苦笑いで頷いてくれたわ」
「そっか。それじゃあリファラの皆を説得する時は僕も一緒にいるよ」
「本当?ありがとう、とっても心強いわ」
2人の間に穏やかだ優しい空気が満ちています。
お互いに微笑み、はにかみ、視線を合わせているとドキドキしてきて落ち着かなくなってきました。
「あ、あ、それじゃあリファラの皆にお土産選ぼうかっ」
「そうねっ、それってとっても素敵!」
そしてお互いに熱い顔を仰いでそそくさと立ち上がり、そわそわしながら肩を並べてお出掛けするのでした。
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