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本編
暖かくなるとソワソワしちゃうんだよ
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山の雪も大分解け、下の方ではもうフキノトウが顔を見せ始める季節です。
ポカポカ暖かい日差しに照らされて、雪解け水のサラサラ流れる音を聴いていると「春だな~」と顔が弛んできます。
「うにゅ」
人より耳の良い三巳はそれが顕著に現れています。
ソワソワしているのを全く隠さず、耳も尻尾も落ち着きがありません。
「うにゅ」
口まで落ち着きなく意味のなさない言葉を漏らしています。
「うにゅ」
けれども顔はずっと一点を見ています。
それは南です。南国のある方角です。村からは見えませんがその先にはグランがあります。
三巳はふと温室を見ました。
そこにはグランから持ち帰ったカカオの木が順調に育っています。けれどもまだまだ山の民全員にあげれる程増えてはいません。
三巳は大義名分を思いました。
「うにゅ!今年もグランに行くんだよ!」
すっくと立ち上がった三巳は旅行の計画を話しに母獣とクロの元へと駆けて行きました。
居間に着くと母獣は直ぐに見つかりました。しかしクロはいません。
「うにゅ?父ちゃん仕事か?」
クロも今は山の民の一員です。働かざる者食うべからずです。という事で実はクロもちゃんと働いています。
『ああ、春だからの。クロもようやっと冬眠心から覚めたのじゃ』
クロが嬉しそうに出掛けて行くので母獣も嬉しそうに顔を穏やかにしています。
「そーかー。じゃー母ちゃんに先に言っとくかな」
三巳はとてとてと近寄り、母獣のモフモフの毛皮に顔を埋めます。
母獣はそんな三巳の耳の裏を舐めてグルーミングしてくれます。
『また行くのかえ?』
「うぬ!カカオ沢山買ってくるんだよ!」
『カカオ……のぅ……』
ドヤ顔で宣言する三巳に、母獣は含みのある笑みをたたえました。
三巳はニヤリとする母獣にドヤ顔が崩れてタジタジになります。
「な。何なんだよ」
『いや別に何ぞないわ。彼方に居る者にこの母が宜しく言うたと伝えて参るのじゃぞ』
ここでいう母獣の彼方に居る者はまだ見ぬレオを指しています。
三巳は言及されていないとはいえ何故か誤解されたと思いました。
「……レオは友達なんだよ」
『そうかの』
ジト目で口を尖らせ言う三巳に、母獣はクツクツと笑って全く信じた様子は有りません。
三巳は頬をピンクに染めて膨らませました。
「ぶー。皆何で信じない。レオはかっちょいーんだよ。恋愛とは何かこー遠い感じなんだよ」
三巳はクラスの人気者的存在だと言いたいのですが、上手い説明が出来ずにヤキモキしちゃいます。
『そうさの。もしも娘の番となる者であらば挨拶の一つもせねば成らぬであろうが、今はそうではないのであろ』
「ぬ?ぬぅ?うぬ。違うんだよ。母ちゃんわかってくれてたのか?」
『クックック。我にわからぬ筈がなかろう』
三巳は母獣がわかってくれてたと思いやっと一安心します。ニコパと笑うと尻尾をフワフワ振りました。
『しかしそうさのう。クロが三巳と里帰りを計画しておったが、それは我と2人だけで行くとするかの』
「うにゅ!?父ちゃんの実家!行きたいんだよ!?」
晴天の霹靂な情報にビックリして、三巳の耳と尻尾がピーン!と上に上がります。
「夏!夏にしよう!」
夏ならばグランに行ってもクロの実家にも行けると鼻息が荒くなっています。
しかし母獣はとっても良い笑顔で首を横に振りました。
『彼の地もまた秘境故、冬までに帰りたくば春には出たいところよのう』
少し意地悪っぽく言うので三巳はガーン!と背後に雷を背負ってしまいます。
「にゅ……。うにゅ……。母ちゃんと三巳の全力疾走でもダメなのか?」
『ほう?全力で走って良いのかえ?オーウェンに説教を受けたばかりと聞いておったがのう』
流石母獣です。普段のんべんだらりと寝転がっていても獣神です。村の情報はキチンと把握していました。
三巳は知られていた事に驚き、恥ずかしくなり、怒られるかもと恐怖します。
ピルピル震えだした三巳に母獣はクツクツと笑います。
『三巳はちゃんと反省しているであろう。反省し、改善しようと努力をする者に追い討ちを掛ける事はせぬ』
つまりは改善出来ていないならゆっくり行く事になる。と、母獣は言外に語っているのです。
三巳は「うっ」と息を詰め、そして肩を落としました。
「三巳は……三巳はまだ出来てないんだよ……」
『なれば行くのはグランかクロの里、何方かかのう』
母獣は目を細め、三巳に答えを求めます。
ここでクロを選ぶようならば恋はまだまだ先になる事でしょう。
しかしグランを選ぶならば……。その先の未来を思えばクロが悲しむだろうと思いますが、それを慰めるのもまた良しと思っています。
「三巳は、三巳は……」
葛藤の末に三巳が導き出した答えは……。
ポカポカ暖かい日差しに照らされて、雪解け水のサラサラ流れる音を聴いていると「春だな~」と顔が弛んできます。
「うにゅ」
人より耳の良い三巳はそれが顕著に現れています。
ソワソワしているのを全く隠さず、耳も尻尾も落ち着きがありません。
「うにゅ」
口まで落ち着きなく意味のなさない言葉を漏らしています。
「うにゅ」
けれども顔はずっと一点を見ています。
それは南です。南国のある方角です。村からは見えませんがその先にはグランがあります。
三巳はふと温室を見ました。
そこにはグランから持ち帰ったカカオの木が順調に育っています。けれどもまだまだ山の民全員にあげれる程増えてはいません。
三巳は大義名分を思いました。
「うにゅ!今年もグランに行くんだよ!」
すっくと立ち上がった三巳は旅行の計画を話しに母獣とクロの元へと駆けて行きました。
居間に着くと母獣は直ぐに見つかりました。しかしクロはいません。
「うにゅ?父ちゃん仕事か?」
クロも今は山の民の一員です。働かざる者食うべからずです。という事で実はクロもちゃんと働いています。
『ああ、春だからの。クロもようやっと冬眠心から覚めたのじゃ』
クロが嬉しそうに出掛けて行くので母獣も嬉しそうに顔を穏やかにしています。
「そーかー。じゃー母ちゃんに先に言っとくかな」
三巳はとてとてと近寄り、母獣のモフモフの毛皮に顔を埋めます。
母獣はそんな三巳の耳の裏を舐めてグルーミングしてくれます。
『また行くのかえ?』
「うぬ!カカオ沢山買ってくるんだよ!」
『カカオ……のぅ……』
ドヤ顔で宣言する三巳に、母獣は含みのある笑みをたたえました。
三巳はニヤリとする母獣にドヤ顔が崩れてタジタジになります。
「な。何なんだよ」
『いや別に何ぞないわ。彼方に居る者にこの母が宜しく言うたと伝えて参るのじゃぞ』
ここでいう母獣の彼方に居る者はまだ見ぬレオを指しています。
三巳は言及されていないとはいえ何故か誤解されたと思いました。
「……レオは友達なんだよ」
『そうかの』
ジト目で口を尖らせ言う三巳に、母獣はクツクツと笑って全く信じた様子は有りません。
三巳は頬をピンクに染めて膨らませました。
「ぶー。皆何で信じない。レオはかっちょいーんだよ。恋愛とは何かこー遠い感じなんだよ」
三巳はクラスの人気者的存在だと言いたいのですが、上手い説明が出来ずにヤキモキしちゃいます。
『そうさの。もしも娘の番となる者であらば挨拶の一つもせねば成らぬであろうが、今はそうではないのであろ』
「ぬ?ぬぅ?うぬ。違うんだよ。母ちゃんわかってくれてたのか?」
『クックック。我にわからぬ筈がなかろう』
三巳は母獣がわかってくれてたと思いやっと一安心します。ニコパと笑うと尻尾をフワフワ振りました。
『しかしそうさのう。クロが三巳と里帰りを計画しておったが、それは我と2人だけで行くとするかの』
「うにゅ!?父ちゃんの実家!行きたいんだよ!?」
晴天の霹靂な情報にビックリして、三巳の耳と尻尾がピーン!と上に上がります。
「夏!夏にしよう!」
夏ならばグランに行ってもクロの実家にも行けると鼻息が荒くなっています。
しかし母獣はとっても良い笑顔で首を横に振りました。
『彼の地もまた秘境故、冬までに帰りたくば春には出たいところよのう』
少し意地悪っぽく言うので三巳はガーン!と背後に雷を背負ってしまいます。
「にゅ……。うにゅ……。母ちゃんと三巳の全力疾走でもダメなのか?」
『ほう?全力で走って良いのかえ?オーウェンに説教を受けたばかりと聞いておったがのう』
流石母獣です。普段のんべんだらりと寝転がっていても獣神です。村の情報はキチンと把握していました。
三巳は知られていた事に驚き、恥ずかしくなり、怒られるかもと恐怖します。
ピルピル震えだした三巳に母獣はクツクツと笑います。
『三巳はちゃんと反省しているであろう。反省し、改善しようと努力をする者に追い討ちを掛ける事はせぬ』
つまりは改善出来ていないならゆっくり行く事になる。と、母獣は言外に語っているのです。
三巳は「うっ」と息を詰め、そして肩を落としました。
「三巳は……三巳はまだ出来てないんだよ……」
『なれば行くのはグランかクロの里、何方かかのう』
母獣は目を細め、三巳に答えを求めます。
ここでクロを選ぶようならば恋はまだまだ先になる事でしょう。
しかしグランを選ぶならば……。その先の未来を思えばクロが悲しむだろうと思いますが、それを慰めるのもまた良しと思っています。
「三巳は、三巳は……」
葛藤の末に三巳が導き出した答えは……。
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