旅への手順

蒼穹月

文字の大きさ
4 / 10
第1歩-魔物退治

-4-

しおりを挟む
「こ、これはいったい⁉長老!」
「うむ。きっと魔物が暴れたんじゃ!」
「グルアアァァア‼」
「うわあぁ!でたあ!」
外では、崩れた岩から魔物がでたらしい。町の人達の叫び声が聞こえる。
僕は今、岩の下敷きになっている。とっさにティルが、防御魔法を唱えてくれたみたいで、なんとか怪我は一つも無い。でも、岩は重く、岩に押し付けられて、字が書けないから龍術も使えない。出るに出られなくて、遠く、町の人達の悲鳴をただただ聞いていた。しくしく(泣)。
ずしゃっ。
「う・・・。重ひ」
どうやら。魔物は歩き出して、ちょうど僕の真上に乗ったらしい。
う~ん。この重さから言って、デーモン、かな?って、何で僕こんなに落着いてるんだろう。
「あ~。過去あったことが、次々に頭の中を駆け巡る~」
「それってヤバイわよ。トニーもう直ぐ死ぬってことよ」
ピクッ。
「嫌だあ!
風龍上天―!」
ドウッ!
無我夢中で放った一撃は、上にいた魔物ごと、岩を吹飛ばした。魔物が乗った時に、岩がずれて、字が書けるようになってたんだ。
「やったあ。でれたー」
両腕振り上げて喜ぶ僕は、やっとティルに気付いた。
「そういえばティル。どうして僕のところに?」
「私は妖精だもの。少し隙間があれば、通れるわよ」
そっか。
「小さいって便利だネ」
「一言多い(怒)」
思いっきり殴られちゃった。褒めたのに。
「ライ君とルック君は?」
ティルは下を指差した。
あ。なるほど。まだ下敷きになってるんだ。
下を見ると、そこにはライ君がいた。僕の足の真下に・・・(汗)。
血が出そうなほど青筋浮かべ起き上がるライ君に、思いっきり殴られ、足蹴にされ、怒られた。
ついてないよう(泣)。
ふぅ。ルック君は、と。
探していると上から降りてきた。ルック君の召喚獣、ニック君に助けてもらったみたい。
 ニック君は巨鳥にドラゴンを足したような姿をしてるとっても可愛い獣なんだ。相変わらず気持ち良さそうな羽毛だなぁ(ウットリ)。
「皆無事だ・・・」
「ウグオウ!」
ザクッ!
ライ君の言葉は中断された。デーモンにいきなり攻撃されて。
とっさに避けたものの、ライ君は右腕に引っ掻き傷を付けられ血を流している。
プチッ。と、音がした。そしてライ君が。
「トニー。炎龍爆獄衝をやれ」
「えっ⁉で、でもあれは・・・」
「い・い・か・ら・やれ(怒)」
う。ら・ライ君が・・・怖い。
「うー。どうなっても知らないよぉ?」
僕はライ君の剣幕に負けて、しぶしぶ空中に【炎】って書いた。
「炎龍爆獄衝!」
どぐおおおおおんんっ!
僕の放った一撃は僕達と町人達を除いて、見事直径1キロ程の森を炎上し吹飛ばした。もちろん魔物も。
後には、僕達と、町の人達と、焦げた地面だけが残った。
「だから使いたくなかったのにぃ」
「ふんっ。俺に傷を付けた罰だ」
あううー。ライ君ってば、それ位であの龍術わせなくてもぉ。使ったのは僕だけどさ。
「な。何て事をしてくれたんじゃ!森を。ワシ等の森をっ!」
あうっ(汗)。
使う前からこう言われるの、予想してたけど・・・。実際こうなると。
「ふん。テメェ等が言ってた魔物も、ついでに倒せたろうし、いーじゃねぇか」
まだ気が晴れないのか、ティルに傷を治してもらいながらライ君が言った。
そういう問題じゃないと思うんだけどなぁ。でも、怖くて言えないや。龍術使ったの僕だから、精神石状態。
「いや、だろう。じゃなくて、今、目の前で倒して頂いたのですが」
・・・。
『へっ?』
ルック君以外、見事にはもっちゃた。
そして始めに口を開いたのはライ君。
「オイ。まさか・・・さっきのデーモンがそう、ってんじゃねーよな?」
体を振るわせて言う。
『まったくもって、そのとおり』
「ですじゃ」
町の人達のはもりに僕達は、揃ってだんまりー太君になっちゃった。
だいたい考えてること、分からないでもないけど。
ライ君は、
たかがデーモンごときで、こんな事すんじゃねーよ。
ティルは、
まあ、普通の人から見れば、デーモンは怖いだろうケド・・・。
ルック君は、
怖いのか・・・。
そんな感じかな。
僕は、
どうしてデーモン怖いんだろう?可愛いと思うけど。って考えてる。
そんな僕達に、長老さんが、
「それより、森を何とかしてもらわにゃ、困るんじゃが」
と、言った。
反論する力を無くした僕達は、とりあえず僕とティルの合成龍魔法で地上に命を吹き込み、少なくなってた依頼料を貰うと、そのまま次の町へ向かった。

かくて、僕達の苦労とは裏腹に、虚しい戦いは終った。
それから着いた次の町では魔物園というのがあって、そこのデーモンが抜け出してドフィルに向かったと聞いた。しかもドフィルで貰った依頼料より、多い懸賞金が懸けられていた。
「もしかして、この前のデーモン」
「言うなトニー。虚しくなるだけだ」
と、魔物園の前で、風に吹かれて僕達は立っていた。
そして最後に堅く誓った。

山はもういい。今度は港町に行こう・・・と。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

処理中です...