アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家

文字の大きさ
20 / 121

レッスン19「薪 (4/6)」

しおりを挟む
「ちょっと寄るところがあるから、お前さんは先に宿へお帰り」

 城塞都市、冒険者ギルドへの道すがらでお師匠様が言った。

「あ、僕もついて行きます」

 お師匠様がニヤリと笑い、

「来てもいいが……買い物だよ? ――女の日用品の」

「し、ししし失礼致しました!」


   ■ ◆ ■ ◆


「よぉ、クリス」

 通りを歩いていると、嫌というほど見知った顔が、行き先をふさいだ。

「…………オーギュス」

 短い茶髪頭、そばかすだらけの顔。
 背丈は僕より頭ひとつ分大きい。
 同じ孤児院出身で、同い年の嫌な奴。

 ……忘れもしない、僕がエンゾたちのパーティーから追放されたときに、

『パーティー追放100目、おめでとう』

 と拍手をしてくれやがり、あの場を盛大に盛り上げてくれやがった相手だ。

「な、何の用だよ……」

 こいつとの因縁は長い。
 僕とこいつとシャーロッテは3人して同い年で、物心ついたころにはもう、孤児院にいた。
 こいつは何かにつけて僕をイジメてきて、それをシャーロッテが止めてくれるというのがお決まりのパターンだった。

「何の用、とは連れないなぁ」

 オーギュスが目の前にまで迫って来て、僕を見下ろす。
 ……これをやられると、僕は体が硬直してしまう。
 さんざんに殴られ、蹴られ、踏みつけられてきた記憶がよみがえる。

「知ってるんだぜ……お前、『銀河亭』で寝泊まりしてるんだろ?」

 それは、お師匠様が僕の部屋を借りてくれている高級宿の名前だった。

「あのキレイな姉ちゃんに金出してもらってんのか、ん?」

「お、お、お前には、関係ない、だろ……」

「まぁまぁそう邪件にするなって! 俺ぁお前をねぎらいに来たんだよ」

「労いに……?」

「そう。お前、今朝、薪の伐採任務を受注したんだってな? 冒険者ギルドはこの通りをずぅっと行った先にある。けど、お前が寝泊まりしている『銀河亭』は内壁の向こう側の、『内南地区』にある。冒険者ギルドで薪を納品して、入り組んだ内壁の中をぐる~りぐるりと『内南地区』まで行くのは骨だ」

 オーギュスが向かって右側を指差蹴られ
「けどいま、ここで曲がれば、壁の外からすぐに『内南地区』へと入れる」

「けど、納品しないわけにはいかないだろ」

「だから、俺の出番ってわけだ」

 オーギュスが笑う。人をバカにしたような嫌らしい笑み、嫌いな笑みだ。

「俺が代わりに納品して来てやるよ」

「…………何が目的さ」

「報酬の1割をくれ」

 ――――暴利だ。……けれど、

「な、構わねぇだろう?」

 至近距離で見下ろされ、オーギュスが腰につけた剣のツバをカチン、カチンと鳴らす音を聞いていると、冷や汗が出て来て泣きたくなった。

「…………わ、わかったよ」

「へへっ、まいどあり」


   ■ ◆ ■ ◆


「それで、まんまと薪を奪い取られたってわけかい」

『銀河亭』の食堂にて。
 お師匠様がテーブルに頬杖ついて盛大な溜息を吐く。

「すみません……」

 謝りつつも、僕は極上の食事をひっきりなしに口へ運び込む。
 食べているのは僕だけだ。
 お師匠様はと言うと、僕の景気の悪い顔つきを見るなり、『食欲が失せたさね』って言った。
 そしていましがた、顔色が悪かった理由を説明したところってわけだ。

「……おや、ウワサをすれば、さね」

 食堂の入り口を見れば、オーギュスが立っていた。

「あれ、お師匠様ってあいつの顔知ってましたっけ?」

「【念話テレパシー】で思念が流れ込んできたときに、ね。読もうと思ったわけじゃあないんだが、嫌な記憶ってのは想起されやすいからねぇ……」

 気まずそうに目を逸らすお師匠様。

「あ、あはは……お気になさらず」

「おい、クリス」

 オーギュスがずかずかと食堂に入って来て、テーブルにどしんっと麻袋を置いた。

「ほら、約束通り納品して来てやったぜ。じゃあな――」

 オーギュスが背を向けようとして、

「――お待ち」

 お師匠様が声をかけた。

「なんだよ姉ちゃん?」

「儂らが金を数え終わるまでは、ここにいるんだ」

「俺が信用できないってのか?」

「儂にとっちゃあ初対面の相手だからねぇ」

「けっ――」

 依頼書によれば薪は1たば数ルキ。
 それが200束以上あったんだから、600~800ルキは固いはず。
 しかもあの薪は水分を完全に抜いた一級品。
 乾燥の手間賃を省いた分、何割り増しかの1,000ルキくらいになるものと期待していたんだ。
 ……だというのに。

「【収納アイテム空間・ボックス】、【目録カタログ】」

【収納】してから枚数を確認して、僕は愕然となる。

「たったの180ルキだって!?」

 どしんっと大きな音がしたのは、粗末な麻袋に入っていた硬貨を、小銀貨18枚ではなくわざわざ大銅貨180枚にしていたからだった。

「オーギュス、これはどういうことだよ!?」

「どうもこうも、買い取り額から俺の取り分を取った額がそれさ」

「そんなわけないだろ!?」

「……あぁッ!? 俺がちょろまかしたとでもいうのか?」

 オーギュスが胸倉をつかもうとしてきたので、お師匠様の前で多少気が大きくなっていた僕は、急激に気持ちが小さくなる。

「わ、わかったよ……」

「わかったんなら、言うことがあるだろうが」

「わ、悪かったよ……」

「けっ」

 最悪の雰囲気を残して、オーギュスは去って行った。


   ■ ◆ ■ ◆


「気に食わないさねぇ……」

 ぼそぼそと食事を再開した僕に向かって、お師匠様が言った。

「お前さん、さっさと食い終えな。――行くよ」

「どこへ?」

「冒険者ギルドへ、さ」



***********************
 引き続きご覧下さり、誠にありがとうございます!
 本作は『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』応募作品です。
 毎日最新話を更新し続け、同カップの最終日である5月15日をもって完結の予定です!
 極上の『ざまぁ』体験と、驚きのどんでん返しをご提供致します。
 何卒最後までお付き合い下さいませ!

 次回、憎らしいオーギュス相手にひと泡吹かせる!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』 誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。 辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。 だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。 学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

処理中です...