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魔界の章
20 アスモデウスの館 (パブロの視点)
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アスモデウスの館に入った俺は、サキュバスのお姉さんたちに誘導されるまま、店の奥のボックス席についていた。
コの字型のソファーの真ん中にテーブルがあって、隣のボックス席とはカーテンで仕切られている。
「わあ。お兄さん、人間だったの?」
「かわいい~」
両脇に座るサキュバスのお姉さんたちに、俺が身を隠すために被っていた怪物の毛皮もはがされて、顔を露わにされていた。
「……」
(なにやってるんだろ、俺)
店中を甘い香りが漂っていて、俺はふわふわする思考と、ピンク色のフィルターがかかったような視界に違和感を感じながらも、どうすることもできないでいた。
「素敵な渦巻きね~」
「こんな立派な剣、見たことな~い」
「えへへ。照れるなあ」
そしてなぜか、渦巻き型の剣……こと、クロムも俺と一緒のボックス席にいた。
「いや、なんで居るんだよ!」
と、俺はクロムを見やる。
「いやさ、兄ちゃんっぽい人影がこの店に入っていくのを見かけて、とっさに付いてきちゃったんだよ」
と、若干怒った感じのクロムは、いつもよりピカピカできれいだ。
「あ。ダンタリオンの旦那、道端に置いてきちゃった。どうしよ、おいら迷子扱いされちゃうかな」
そう言うクロムを見て、なぜかクロムが可愛い女の子に見えてきた俺は、なぜかクロムを抱きしめようとした。
「おい。剣を抱きしめるとか、正気か!」
と、クロムが剣の柄で俺を思いっきり頭つく。
かなり力強く。
「……ぐはっ!!」
と、衝撃でソファ―に打ち付けられた俺は、それで正気に返った。
視界のピンク色フィルターが外れて、ちゃんとクロムがただの剣に見えた。
「ただの剣じゃねーか!」
「いや、だからそうだし?!」
と、茶番をして一息つく。
「……俺こんなとこで何やってんだ?」
と、起き上がると、クロムが安心したように溜息をつく。
「目が覚めたかよ」
「うん」
サキュバスのお姉さんたちは相変わらずセクシーに見えるけど、今はそういう場合じゃないことを考えられる理性を取り戻した。
「俺、なんか変だったよな」
「ああ。この店、たぶん人間をエロい気持ちにさせる香りがただよってるな。
魔界にいる人間は兄ちゃんしかいないから、完全に狙われてるぜ」
クロムがそう言って、席の傍に置いてあった香炉を見付けて壊した。
「…そうみたいだな」
(はやくこの店から出ないと)
そう思って立ち上がった時だった。
「ようこそ、アスモデウスの館へ」
そう言った誰かが、有無を言わせない力強さで俺の肩を抱き、再びソファーに座らせた。
それはスラリとしたピンク色のスーツに身を包んだ、スタイリッシュで綺麗な感じのお兄さんだった。
サキュバスのお姉さんたちが「アスモデウス様!」と黄色い声を上げている感じからすると、普段は顔を見せない有名人らしい。
……この店の経営者か何かか。
顔の上半分はシカの顔の骨で覆っていて見えないけど、その仮面の下には綺麗な鼻筋と口が覗いていて、美形であることが感じ取れた。
「私はアスモデウス。7つの大罪のひとりだ。お見知りおきを」
(アスモデウス……、7つの大罪?)
俺が頭をはてなマークでいっぱいにしていると、隣に座ったクロムが小声で教えてくれる。
「7つの大罪ってのは、魔界のトップ7のことだ。
つまり、自分が偉いって自慢してるんだよ」
「なるほどな」
そんなこしょこしょ話をしているうちに、アスモデウスはサキュバスのお姉さんたちをボックス席の外へ出してしまっていた。
……若干残念だった。
「さて。ようやく会えたね、勇者くん」
アスモデウスは、俺とクロムの正面に座るとニッコリとほほ笑んだ。
「このアスモデウスの館は、魔界に分館がたくさんあるから。どこかに君が引っかかってくれないかなって待っていたんだよね」
「……何が目的だ」
俺は魔界では懸賞金がついてるらしい。
このままじゃ、何をされるか分かったもんじゃない。
コの字型のソファーの真ん中にテーブルがあって、隣のボックス席とはカーテンで仕切られている。
「わあ。お兄さん、人間だったの?」
「かわいい~」
両脇に座るサキュバスのお姉さんたちに、俺が身を隠すために被っていた怪物の毛皮もはがされて、顔を露わにされていた。
「……」
(なにやってるんだろ、俺)
店中を甘い香りが漂っていて、俺はふわふわする思考と、ピンク色のフィルターがかかったような視界に違和感を感じながらも、どうすることもできないでいた。
「素敵な渦巻きね~」
「こんな立派な剣、見たことな~い」
「えへへ。照れるなあ」
そしてなぜか、渦巻き型の剣……こと、クロムも俺と一緒のボックス席にいた。
「いや、なんで居るんだよ!」
と、俺はクロムを見やる。
「いやさ、兄ちゃんっぽい人影がこの店に入っていくのを見かけて、とっさに付いてきちゃったんだよ」
と、若干怒った感じのクロムは、いつもよりピカピカできれいだ。
「あ。ダンタリオンの旦那、道端に置いてきちゃった。どうしよ、おいら迷子扱いされちゃうかな」
そう言うクロムを見て、なぜかクロムが可愛い女の子に見えてきた俺は、なぜかクロムを抱きしめようとした。
「おい。剣を抱きしめるとか、正気か!」
と、クロムが剣の柄で俺を思いっきり頭つく。
かなり力強く。
「……ぐはっ!!」
と、衝撃でソファ―に打ち付けられた俺は、それで正気に返った。
視界のピンク色フィルターが外れて、ちゃんとクロムがただの剣に見えた。
「ただの剣じゃねーか!」
「いや、だからそうだし?!」
と、茶番をして一息つく。
「……俺こんなとこで何やってんだ?」
と、起き上がると、クロムが安心したように溜息をつく。
「目が覚めたかよ」
「うん」
サキュバスのお姉さんたちは相変わらずセクシーに見えるけど、今はそういう場合じゃないことを考えられる理性を取り戻した。
「俺、なんか変だったよな」
「ああ。この店、たぶん人間をエロい気持ちにさせる香りがただよってるな。
魔界にいる人間は兄ちゃんしかいないから、完全に狙われてるぜ」
クロムがそう言って、席の傍に置いてあった香炉を見付けて壊した。
「…そうみたいだな」
(はやくこの店から出ないと)
そう思って立ち上がった時だった。
「ようこそ、アスモデウスの館へ」
そう言った誰かが、有無を言わせない力強さで俺の肩を抱き、再びソファーに座らせた。
それはスラリとしたピンク色のスーツに身を包んだ、スタイリッシュで綺麗な感じのお兄さんだった。
サキュバスのお姉さんたちが「アスモデウス様!」と黄色い声を上げている感じからすると、普段は顔を見せない有名人らしい。
……この店の経営者か何かか。
顔の上半分はシカの顔の骨で覆っていて見えないけど、その仮面の下には綺麗な鼻筋と口が覗いていて、美形であることが感じ取れた。
「私はアスモデウス。7つの大罪のひとりだ。お見知りおきを」
(アスモデウス……、7つの大罪?)
俺が頭をはてなマークでいっぱいにしていると、隣に座ったクロムが小声で教えてくれる。
「7つの大罪ってのは、魔界のトップ7のことだ。
つまり、自分が偉いって自慢してるんだよ」
「なるほどな」
そんなこしょこしょ話をしているうちに、アスモデウスはサキュバスのお姉さんたちをボックス席の外へ出してしまっていた。
……若干残念だった。
「さて。ようやく会えたね、勇者くん」
アスモデウスは、俺とクロムの正面に座るとニッコリとほほ笑んだ。
「このアスモデウスの館は、魔界に分館がたくさんあるから。どこかに君が引っかかってくれないかなって待っていたんだよね」
「……何が目的だ」
俺は魔界では懸賞金がついてるらしい。
このままじゃ、何をされるか分かったもんじゃない。
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