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オズワルド王国の章
52 襲来
しおりを挟む「くく……っ」
オルオンは不気味な笑い声をあげた。
「何がおかしい?」
眉一つ動かさずにカイザーはオルオンを見下ろした。
「なるほど。精霊使いどもでも、恥ずかしげもなく群がれば、
ようやくシジルの力を封じることができると……」
オルオンは封じられている左手のシジル――レヴィアタンの紋章を一瞥すると、わざとらしく、感心したような声を上げた。
それは宰相ネロの喋り口を思わせる。
「しかし……やはり浅はかだ」
そう言い捨てたオルオンが、べーっと舌を出す。
そこには新たなシジル――ルシファーの紋章――が光っている。
「……なっ!?」
「他にシジルが…!?」
周りを固める騎士たちに動揺が起こる。
「シジルが一つだけだと、誰が決めた?」
ニタリと笑うオルオンの舌に、カイザーが剣を振りあげる。
「光を――!」
エレナたち聖職者は、白い光を浴びせようとした。
しかしいずれも、既に手遅れである。
オルオンの舌に刻まれたシジルの先に魔方陣が浮かび、
そこから召喚された骸骨の戦士が進軍を始めた。
「無駄だ、愚か者どもめ!」
オルオンがその失明した瞳を開くと、その左目にもまた別のシジル――ベルゼブブの紋章――が浮かぶ。
発動したベルゼブブの悪魔能力により、骸骨の戦士が「巨大化」していく。
こうなると、状況は一転した。
「うわああああっ」
「ぐあああ!」
10メートルにも伸びた骸骨の戦士たちが次々と魔法騎士団と聖職者たちを蹴り飛ばし、血が舞い、悲劇が始まる。
国王カイザーを守る騎士たちは、辛うじて主君を守り抜いていた。
既に民衆を避難させ始めていた城下町には、それでも民たちが残っており、巨大な骸骨たちから逃げ惑う悲惨な光景が広がる。
圧倒的な力の差に恐れをなして、逃げだす騎士たちも散見された。
オルオンはこの残酷な光景を観賞しながら、精霊魔法の拘束具をゆっくりと拭い落とす。
100体ほどの骸骨を進軍させればもう充分だと判断した彼は、そこまでで彼の魔方陣の召喚を閉じた。
そして意識を失っているユリウスを連れ、一瞬のうちに魔界へと去っていく。
「待っ…て!」
エレナが手を伸ばすも、巨大な骸骨の戦士が彼女を阻む。
「うっ……」
悔しさに歯を食いしばる彼女の身を、骸骨が振りかざした巨大な剣が突き刺そうとしていた。
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