【完結】身勝手な婚約破棄をされたのですから復讐する道理はあるでしょう

asami

文字の大きさ
12 / 21

第十二話

しおりを挟む
 とりあえず現状では問題はないとのことだったので今日はゆっくり休んで明日からまた訓練に励むことになるそうだ。正直かなり疲れていたので助かったと思っている。ちなみにラティ姉さんとは先程別れを済ませて今は一人自室に戻っているところである。明日に備えてしっかり体を休めるつもりなのだが…………

コンッ コツン ドンガラガッシャーン!!(何かが崩れ落ちた音)

『キャハハッ!』

部屋に入るなりいきなりベッドの下へと潜り込んだ何者かがいたのである。よく見てみればそれは幼女化したサリアであった。一体何をしているのかと思って声を掛けようとしたところで突然僕の足元に矢のようなものが迫ってきてギリギリの所で回避に成功した。

危ないな!危うく刺さるところだったぞ!? その後も立て続けに飛んでくるものの全てを回避しながら何とか落ち着かせようと説得を試みる。

「ちょっ!ちょっと落ち着いてください!!」

必死に声をかけるが一向に止める気配がないどころかさらに激しさを増していった。

(これって完全に遊ばれてるよな?)

こうなった以上あまり時間をかける訳にはいかないと判断して強行手段を取ることにする。素早く近づくとそのまま抱き上げて捕獲することに成功したのである。しかし暴れまわるため落っことしそうになったので慌てて抱え直したところ、今度は胸に顔を埋めながらすり寄ってくるという予想外の行動に出た。

(えぇー……この状況ってどういう反応すればいいんだ?)

困惑しながらもどうにか引き剥がそうとするも離れようとせず、さらには尻尾まで巻き付けてきておりますます混乱してしまう。

「おぉ……我が息子よ。ついに童貞を卒業したか……」

その様子を見ていた父が憐れむような目でこちらを見ており、母に至ってはもはや言葉すら出ず唖然としていたのだった。……っておいこら待てい!!!

「父上!いったい何を言い出しているんですか!」

「隠さずとも分かっておる……男なら誰でも通る道じゃ。何も恥じることではない!」

「そういう事じゃないですよ!そもそも何でここに居るんですか!?」

「ん?もちろんお前に会いに来たんじゃよ」……そんな満面の笑みで言われても全然嬉しくないしむしろ迷惑極まりないのですが……。

とにかくこのまま放置しておく訳にもいかなかったので仕方なく客室に案内することにしたのだった。すると最初は渋っていたのだが観念したらしく大人しくついてきたのでひとまず安心することが出来た。

それからしばらく話をしてみたが結局この人が何のために来たのか分からなかった。一応目的を聞いてみると意外な答えが返ってきたので驚いたものである。

なんと彼女は僕に剣を教えてくれるためにわざわざここまで来てくれたのだった! 聞けば以前から興味があったようで機会があればぜひ教えてほしいと頼まれていたらしい。

「でも何故今頃になって急に剣術を学びたいと思ったのですか?」

ふと疑問に思い尋ねてみると少し困った表情を浮かべて話してくれたのだがその内容というのがとても信じられないものばかりであり僕は驚愕することになる。……どうやら彼女曰く最近巷で有名な魔導剣士に憧れを抱いたようで自分もあんな風になりたいと思い始めたのだというのだ。そしてその方法について考えていた時にちょうど良く今回の事件が起きたためそれを利用して実力を付けることにしたとの事でした。

「なるほど、事情は分かりました。ただ一つだけ確認させてください」……正直言って不安しかなかったのですが聞かずには居られなかったので尋ねることにしました。

「あなたは自分の立場を理解していますよね?つまり王族の一員であるという自覚はありますよね?だから仮に怪我をすることがあった場合最悪命に関わることもあり得るんですよ?」

はっきり言えば余計なことはしないで欲しいという思いがあり嫌味を込めて言ったつもりだったが何故か逆に褒められてしまった。しかも笑顔付きである。意味が分からないがなぜか怒られることはなかった為ホッとした反面戸惑うことになったのだった。

---翌日、訓練場にてルシア様の指導を受けることになった私は緊張しつつも気合いを入れていました。というのも指導を受けるにあたり私以外の方々は別の場所で行うことになっているためここには二人きりという状況になっているからです。本来ならばもっと大勢いるはずなのですが今回は特別ということで許可を頂き二人で特訓することになった次第です。それにしてもまさかこんな日が来るなんて夢みたいだなぁ~っと感動に浸っているとその視線に気付いた彼女が優しく微笑んでくれて思わず胸の奥がきゅぅ~っと締め付けられる感覚に襲われた。

(あぁ~やっぱり素敵だなぁ~)

「どうしたの?」……っといけない。見惚れすぎて変な態度を取ってしまったかもしれない。

慌てて誤魔化そうとしたけどうまく言い繕える自信がなくなってきた。だってしょうがないじゃん。本当に綺麗なんだもん! そうこうしているうちに時間がきたので早速訓練が始まった。

「よし、始める前にいくつか質問があるんだけどいいかな?」

「はい!何でも聞いてください!」

「ありがとう。じゃあさっそくだけど君は魔法を使う時はどうやって発動させているのかい?」…………あれ?普通に考えてみれば分かることだった。私が今まで使っていた魔法の使い方といえば詠唱によるイメージの構築と魔力コントロールによって発生させるというものだった。でもこれはあくまでも一般的なやり方であって個人差があるとはいえ必ずしも当てはまるとは限らないと思う。だからこそ試しに自分がいつも使っている方法でやってみることにした。

「えーっとですね。基本的に私の場合は体の中で循環させた後に外に放出するようにしていますね」

「へぇーそうなんだ!ちなみにどうしてそれが一番やりやすいと感じたのか理由とかはあるの?」……うん、これってもしかしなくても馬鹿にされてるわけじゃないよね?まあいっか。別に気にすることじゃないか。

「それは多分慣れているからだと思いますよ?」

「えっ、それだけ?」

「はい。それ以外に特に理由はありませんよ。というより他に何かあるんですか?」

「いや……ごめん。ちょっと意地悪だったかも……」

すると申し訳なさそうにしている姿を見た途端心の底から罪悪感のようなものを感じた。

「あの!もしかして今のって私のことを思ってわざと聞いたんですか!?」

「んーどうかしら?さっきの言い方だとよく分からなかったから勝手に解釈しただけだよ」……もうずるいなぁ。そんなこと言われたらますます好きになってしまうじゃないですか!

「じゃあそろそろいいかなって思ったところで本題に入ろうか」

「あっ!はい!」

……いよいよ始まるんだ。頑張らないと!!

「まず最初に聞くけれど君って自分の才能についてはどの程度把握できているの?」……突然何を言っているのだろう?そんなの考えたことも無かったので答えようがなかった。

「……すみません、全く分かりませんでした」

「謝る必要は無いよ。むしろ当然のことだと思うから……」

どういうことなのか分からず首を傾げていると詳しく説明してくれたのだがそれによると普通の人というのはそもそも適性というものが存在しないらしい。そしてその人の素質に応じて最適な属性が決まるとのことだが稀に例外が存在するらしいのだ。例えば僕の場合は全属性持ちなのだがそのせいで逆に判断が難しいらしく場合によっては複数の適正を持っている可能性もあるそうだ。……正直あまりピンと来ない話だったのでいまいち理解できなかったが要するに適性のあるものが無い代わりにあらゆるものを使える可能性があるということだけは分かった気がします。

「そういう事ならとりあえず君の得意なものを見つけるところから始めましょうかね」

そして始まったのですが結果は散々たるものになってしまいました。というのもまず最初の段階で失敗してしまったのです。

「ねえ、あなたは何が得意なの?」……いきなり聞かれても困ります。でも何も答えられないのは駄目ですよね……。

仕方がないので手当たり次第に色々とやって見たのですがやはり上手くいきませんでした。結局この日は何の成果もなく終わってしまいましたが、それでも彼女は諦めずに何度も教えてくれると言ってくれたことが嬉しかったです。

------次の日もまた訓練場で彼女と会う約束をしていましたが昨日のこともあって少し不安になりながらも足を運ぶことにしたのです。

------結果から言えばこの日以降毎日のように彼女の元に通い続けることとなり徐々にではありますが上達していくことができ最終的には自分なりの戦い方を確立させることにも成功しました。

その結果として今では模擬戦形式の試合を行っていますが何度挑んでみても彼女には勝てる見込みが全くありませんでした。それどころか一度も攻撃を当てることすらできない始末です。もちろん悔しく無いと言えば嘘になるでしょう。ですが初めて会った時の彼女に比べるとだいぶ成長できたと思っており今はそのことを素直に喜ぶことにしています。

また同時に思うことがあります。何故これほどまでに強いのかという疑問についてなのですが今となっては考えるまでも無いことです。なぜなら彼女が誰よりも努力してきたことは傍から見ていても明らかだからです。だからこそ私は少しでも追いつきたいと思い今日も明日もこれからもずっと練習に励むつもりでいるのです 。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~

スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」 王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。 伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。 婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。 それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。 ――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。 「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」 リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。 彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。 絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。 彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

婚約者の命令により魔法で醜くなっていた私は、婚約破棄を言い渡されたので魔法を解きました

天宮有
恋愛
「貴様のような醜い者とは婚約を破棄する!」  婚約者バハムスにそんなことを言われて、侯爵令嬢の私ルーミエは唖然としていた。  婚約が決まった際に、バハムスは「お前の見た目は弱々しい。なんとかしろ」と私に言っていた。  私は独自に作成した魔法により太ることで解決したのに、その後バハムスは婚約破棄を言い渡してくる。  もう太る魔法を使い続ける必要はないと考えた私は――魔法を解くことにしていた。

どうぞお好きになさってください

みおな
恋愛
学園に入学して一ヶ月。 婚約者の第一王子殿下は言った。 「学園にいる間くらい自由にさせてくれないか。君が王太子妃になることは決定事項だ。だから、せめて学園に通う二年間は、僕は恋がしたい」 公爵令嬢はその綺麗な顔に冷酷な笑みを浮かべる。 「好きになさればよろしいわ」

さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~

阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」 婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。 けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。 セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。 「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。 ――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。

救国の代償で白髪になった聖女、一度のミスを理由に「無能の戦犯」として追放される ~隣国の覇王に拾われ、愛され、奇跡の力を見せつける~

スカッと文庫
ファンタジー
聖女アリシアは、百年に一度の大氾濫から国を守るため、禁忌の魔力全解放を行い、単身で数万の魔物を殲滅した。その代償として、彼女の美しい金髪は真っ白な「白雪色」に染まり、魔力は一時的に枯渇してしまう。 しかし、その功績はすべて現場にいなかった「偽聖女セシリア」に奪われ、アリシアは「結界を一部損壊させた戦犯」「魔力を失った役立たず」として、婚約者の王太子ギルバートから国外追放を言い渡される。 「失敗したゴミに、この国の空気は吸わせない」 泥の中に捨てられたアリシア。しかし、彼女を拾ったのは、敵対国として恐れられていた帝国の「武徳皇帝」ラグナールだった。彼はアリシアの白髪が「高純度の神聖魔力による変質」であることを瞬時に見抜き、彼女を帝国の宝として迎える。 数ヶ月後。アリシアが帝国の守護聖女として輝きを取り戻した頃、王国では「一度きりの奇跡」だったセシリアの魔力が尽き、本当の滅亡が始まっていた。 「今さら結界が解けたと泣きつかれても、もう私の魔力は一滴も残っていません」

処理中です...