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第十八話
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「はいはいすぐ行きますよ」
私達は現在森の中を歩き回っていた。というのも例の化け物について色々と調べるためだ。ちなみにアイリ達にはここで待機してもらっておりもしもの場合はすぐに逃げられるようにしてある。
(それにしても本当にどこにいるんだろう?)
いくら探してみても一向に見つかる気配がなく途方に暮れていると不意に声をかけられた。
「お兄様?どうなされたんですか?」
「ちょっと考え事をね……」
「もしかしてあの女のこと考えてたんですか?」
「あの女?あぁ違うよ。ほら前に話した魔物の事だよ」
「なんだ、そうなのですか……」
「もう、ユナってばまた拗ねてるの?」
「だってぇ~」
「全く仕方ない妹だなお前は」
そう言いながら頭を撫でると気持ち良さそうに目を細めておりその姿はとても愛くるしかった。思わず抱き締めたくなって手を伸ばしかけたその時……
『グォオオオッ!!』
突如大きな雄叫びのようなものが聞こえ慌ててそちらの方を見ると巨大な熊のような姿をしたものがいたのだ。
私は咄嵯に逃げようとしたが足が震え動けなくなってしまいその場に座り込んでしまった。すると二人は慌てもせずに平然としておりむしろ嬉しそうな表情をしていたのである。
「あ、やっと見つかったみたいですね!」
「うんそうだね!じゃあさっそく……」
アイリは手に持っていた杖をかざすと私達の周りを囲むように魔法陣が現れそこから無数の鎖が現れた。それはまるで生き物のように動き回りあっという間に拘束されてしまったのだった。
「よしこれで大丈夫かな。それでは早速始めようか!!」
彼女は元気よく宣言すると同時に私の方を向いた。しかしその瞳は明らかに獲物を狙う肉食獣の目をしており本能的に危険を感じ取り体がガタガタと激しく震えだす。「いやいやいや待ってください!!流石にこんな状態で戦うなんて無理ですって!!」
全力で抗議したが聞き入れてもらえずゆっくりと近づいてきたかと思うとその手が頬に触れてきたので驚いてビクッとするとクスっと小さく笑い声がしたので恥ずかしくなってしまった。
「ふふっ、ごめんなさい驚かせちゃいましたよね?」
「うぅ~~~~~~!!!(赤面)」
何も言えず俯いていると今度は反対の手が伸びてきて優しく包み込むような感じで触れられたのである。
「でもこうしないとお兄様に怪我させてしまうかもしれませんし……だから我慢してくださいね?」
「そっか……分かったよ。だけど絶対に危なくなったら止めに入るからね?」
「はいっ!ありがとうございます♪」
(まぁ今回は完全に油断していた私が悪かったわけだしここは大人しくしておくか……)
内心溜息を吐きながら諦めて力を抜くとそれに気付いたのか微笑んできたのである。そしてそのまま顔を近づけてくるのを見てまさかと思った瞬間、唇に柔らかいものが触れてきたのだった。
突然の出来事に呆気に取られていたがハッとなり急いで引き剥がそうとしたが何故か力が入らずそのまま受け入れてしまったのである。
(なっ……何これ!?全然体に力入らないんだけど!!)
困惑している間にもどんどん深くなっていき口内に舌を入れられてしまい蹂躙されていった。やがて満足するまで堪能したあとようやく解放されたのだが、その際糸を引きつつ銀に輝くものが見えてしまい羞恥で顔から火が出そうになった。
一方アイリちゃんの方はと言うとこちらも同様にキスしてきたのだがこちらは触れるだけの軽いものだったのでホッとしたのだが、しばらくして離した後見せつけるかのように自分の口に付いたものを舐める姿を見て再びドキッとしてしまいそんな自分に嫌気がさしたのである。
「んん?どうされたんですかお兄様?」
わざとらしく聞いてくる彼女に若干イラッとしたがあえて無視することにした。すると今度は反対側からユナが甘えるように腕に絡みついてきて上目遣いをしながら見つめてきたのである。
「ねぇお兄様……あたしもして欲しい……」
その言葉を聞いてさらに頭が痛くなったがなんとか堪えて苦笑しながら宥めたのであった。
その後もしばらく二人による激しい戦いが繰り広げられたが何とか勝つことができたようでほっとしていた。そしてとどめとして放った二人の合体技により相手は跡形もなく消し飛んでしまったのである。
「やったー!!ついに倒したよ!!」
「えへへ、やりましたね!!」
二人は喜び合っていたがその光景を見た私はただただ唖然とすることしか出来なかった。
(いやいやいやいや!!おかしいだろこれは!!!いくら何でも強すぎないか?)
そう思いながらも疑問を口にしようとした時急に強い眠気に襲われ意識を失いその場に倒れ込んだ。
「あれ?お兄様どうされ……」
「ちょっとしっかりして!!」
二人が心配そうに声をかけてきたが反応できず瞼が落ちていき視界が完全に真っ暗になったあとそこで記憶も途切れたのだった。
次に目が覚めて最初に目に入ってきたものは見知らぬ天井だった。一瞬何処にいるのだろうと戸惑ったがすぐに思い出した。
その後ゆっくり起き上がり周りを見渡すとやはり先程まで居たところとは違い綺麗に整えられていたのだった。
「やっぱり夢じゃなかったんだな……」
はぁっと深いため息をつくとお腹がぐぅ~となったことに驚き時計を見ると既に昼を過ぎており時間的にもちょうどいい頃合いだったのでとりあえず何か食べようと部屋を出てリビングに向かった。
ドアを開けるといい匂いが漂ってきておりキッチンの方を見るとそこにはエプロン姿の三人が料理を作っていた。
「あ、やっと起きたみたいだね!」
「おはようございます、旦那さま!」
「やっとって事はずっと寝てたんですか?」
「うん、そうだよ。あ、でも安心してくれて良いよ!別に変なこととかはしていないから!!」
「そうですか、なら良かったです!」
そう言って安堵のため息をついた私はテーブルにつくと早速出された食事を食べ始めた。どれもとても美味しかったのだが特に卵焼きが一番お気に入りだった。
「あの、ところでここに住んでる人っているんですか?」
「いえ、今は誰も住んでいないはずですよ。ここは昔アリさんのお父様が住んでいたところらしいのですけど病気で亡くなられた後、空き家になってしまっていたのをお母様が譲り受けたので私達が暮らしているんですよ」
「ちなみに私達の親ってどんな人達なんでしょうか……?全く知らないので教えて欲しいなと思って」
するとみんな一斉に黙り込んでしまい重苦しい空気が流れてきたのである。それを感じ取った私は慌てて謝った。
「す、すみません余計な事聞いちゃいましたよね?」
「いやいや違うんだよ!!むしろ逆なんだ!!あまりにも君が可愛すぎて僕達どう接すれば良いのか分からなくて悩んでいるだけなんだよ!!」
「はい……それに今まで男性とあまり関わってこなかったのでどのように振る舞えばよいのか分からないんです」
「そうなんですか……でもそんな風に思ってくれてるなんて嬉しいです!ありがとうございます♪」
そう言うと何故かみな頬を赤く染めながら俯いていたので不思議に思ったがまぁ気にしないことにした。
(ふむ、しかしこの子達は本当に可愛いよな。見た目はもちろんだが性格もいいし、将来間違いなく美人になるだろう)
などと考えているうちにいつの間にかたべ終わっていたようなので再びお礼を言い自室に戻るとベッドの上で横になり考え事をしていた。
(さっきの話を聞く限りだと多分この世界では一夫一妻制じゃないようだな。しかも全員俺のことを好いているという始末……)
そこまで考えた所で頭を抱えてしまったのである。
(うわっ……マジかこれ。ハーレムルートまっしぐらじゃないか。てことはいずれ誰か一人を選ばないといけないわけだよな?どうしよう、まだ全然実感湧かないんだけど……あっ、そういえば昨日キスされたんだった。やばいめっちゃ恥ずかしくなってきた!!よし、もう忘れよう!!今すぐ脳内から抹消するんだ!!あんなこと二度とあってたまるか!!とにかく今日は疲れているから何もせずに早く休まないと…………zZZ 翌朝起きると見慣れない天井が目に入り一瞬混乱したがすぐに自分が異世界に来たことを思い出して納得したのである。そして軽く伸びをしてそのまま体を起こし洗面所に向かうとその途中で廊下でばったりユナと遭遇したのであった。
「お兄様おはようございます!」
元気よく挨拶してきたのを見て微笑みつつ頭を撫でると嬉しくなったようで抱きついてきたのである。
「んん?お兄様なんか雰囲気変わりました?」
「え!?そ、そうかな?」
まさか気付かれるとは思ってもいなかった為動揺してしまったのだがなんとか誤魔化そうとした。しかしそこでさらに追い討ちをかけるようにアイリちゃんが現れこう言ってきたのである。
「確かに言われてみると少し違いますね?具体的には何か分かりませんけど……」
「き、きっと気のせいだと思うよ!!それよりもほら、急がないと学校に遅れてしまうんじゃないかい?」
二人共首を傾げていたがこれ以上追求されるとボロが出そうだったので話を切り上げてその場を離れようとした。するとその時後ろから声をかけられたのである。
「あー!!ずるい!!あたしも混ぜて!!」
その言葉と同時に勢い良く飛び付いてきたので何とか受け止めたがバランスを崩してしまいその場で尻餅をついて倒れこんでしまったのだった。
「ちょ、いきなり何をしているんだ君は!!」
「だってあたしもお兄様に甘えたかったんだもん!!」
「だからと言って普通こんな事はしないだろう!!」
「嫌だ!絶対に離れないぞ!!このままずっと一緒にいるんだ!!」
まさに駄々っ子のような状態だったのである。
結局それからしばらく説得を試みたが全く効果はなく困り果てていたのだがそこで救世主が現れたのである。
「あら、朝っぱらから騒々しいと思ったらやっぱりあなた達の仕業ね……」
「あ、ママおはよう!」
「おはようございます、お母さん!」
「おはようございます、お義母さん!」
「はい、おはよう。それで一体何があったの?」
「実はですね……」
そう言ってこれまでの経緯を話し始めたのだ。するとみるみると表情が変化していき最終的に笑顔になった。
「へぇ~、なるほどねぇ~……いい度胸をしているじゃない。うちの娘達に手を出そうなんて」
「あの、何か勘違いされてませんか?」
「いいえ、私は至って正常よ。そもそも最初に手を出したのはこの子でしょう?」
「はい、それは間違いありません」
「なら、それ相応の責任を取ってもらうのが筋というものよね?そういう訳でこれからは私達の家族として過ごしてもらうわよ」
「ちょっと待ってください!いくらなんでも話が飛躍しすぎじゃ!!」
しかしその反論にも耳を傾けることなく二人は私を引きずってリビングへと連れていったのである。そこでは既に他の三人が集まっており朝食を食べようとしていた。
「皆さん揃っていますね……それでは早速いただきましょう♪はい、お義兄さんはこれですよ!!」
そう言いながら箸を差し出してきたが当然のことながら戸惑ってしまった。
「いやいやいや!!流石にこれはおかしいだろう!!」
「どうしてですか?」
「だって明らかに自分の分があるじゃないか!わざわざ俺の分を用意しなくても良いと思うんだけど?」
「ダメです!それにお姉さんの分も用意してあるんですよ?」
「そうなのかい?」
「うん!それにお兄ちゃんと一緒に食べたいし……だめ……かな?」
上目遣いで見つめてくる姿を見てしまい思わず了承してしまうと隣にいたユナが頬を膨らませながら文句を言ってきた。
「むぅ……またそうやってお兄様を独り占めしようとするんですか?」
「別にそんなつもりはないよ。ただ単にお世話になっている身としてはなるべく要望に応えたいと思ってるだけだしね」
「でも私はそんな事望んでいないんです!!私はもっと純粋に仲良くなりたいと願っているだけですのに……」
だんだん泣きそうになる姿を見てしまい慌てて宥めた。
「分かった、ごめんな?お前の気持ちに気付かなくて。そうだな、俺も皆と本当の意味で親しくなれたら嬉しいと思っているんだよ。もちろん君とも……な?だから泣くんじゃないぞ?」
そう言うと涙を拭いながら微笑んできたのである。
「はい♪ありがとうございます♪大好きなお兄様!!」
「ああ、ありがとう……んんっ!?ちょ、なんで突然抱きついてきたんだ!?というかいつの間にこっちに来てたの!?さっきまで向こうに座っていたじゃないか!!」
「細かいことは気にしないで下さい。それより早く食べないと時間が無くなってしましますよ?」
「それもそうだが……まあいいか。よし、それじゃあ食べるとするかな!」
こうして賑やかな食事が始まったのであった。ちなみにユナだけは不満そうだったがアリちゃんがフォローしてくれたおかげでなんとかなったようである。そして学校に行く時間がやってきたので玄関先で全員を見送ることにしたのである。
「はい、これ弁当だよ。あとお金も渡しておくからこれで適当に買ってきてくれ。それとこの鍵はここの鍵だから失くさないように気をつけてね?」
「分かりました。ところで今日は一緒に行けないのでしょうか?」
「悪いけど今日は休みなんだ。昨日色々とあったからね……」
「なるほど……了解しました。では行ってきますね?」
「気を付けてね?いってらっしゃーい!」
そうして四人を見送った後自室に戻りベッドの上で横になっていた。
「ふぁ~あ、なんか疲れちゃったしもうひと眠りしようっと……」
そのまま目を閉じて再び夢の中へと誘われていったのだった。
私達は現在森の中を歩き回っていた。というのも例の化け物について色々と調べるためだ。ちなみにアイリ達にはここで待機してもらっておりもしもの場合はすぐに逃げられるようにしてある。
(それにしても本当にどこにいるんだろう?)
いくら探してみても一向に見つかる気配がなく途方に暮れていると不意に声をかけられた。
「お兄様?どうなされたんですか?」
「ちょっと考え事をね……」
「もしかしてあの女のこと考えてたんですか?」
「あの女?あぁ違うよ。ほら前に話した魔物の事だよ」
「なんだ、そうなのですか……」
「もう、ユナってばまた拗ねてるの?」
「だってぇ~」
「全く仕方ない妹だなお前は」
そう言いながら頭を撫でると気持ち良さそうに目を細めておりその姿はとても愛くるしかった。思わず抱き締めたくなって手を伸ばしかけたその時……
『グォオオオッ!!』
突如大きな雄叫びのようなものが聞こえ慌ててそちらの方を見ると巨大な熊のような姿をしたものがいたのだ。
私は咄嵯に逃げようとしたが足が震え動けなくなってしまいその場に座り込んでしまった。すると二人は慌てもせずに平然としておりむしろ嬉しそうな表情をしていたのである。
「あ、やっと見つかったみたいですね!」
「うんそうだね!じゃあさっそく……」
アイリは手に持っていた杖をかざすと私達の周りを囲むように魔法陣が現れそこから無数の鎖が現れた。それはまるで生き物のように動き回りあっという間に拘束されてしまったのだった。
「よしこれで大丈夫かな。それでは早速始めようか!!」
彼女は元気よく宣言すると同時に私の方を向いた。しかしその瞳は明らかに獲物を狙う肉食獣の目をしており本能的に危険を感じ取り体がガタガタと激しく震えだす。「いやいやいや待ってください!!流石にこんな状態で戦うなんて無理ですって!!」
全力で抗議したが聞き入れてもらえずゆっくりと近づいてきたかと思うとその手が頬に触れてきたので驚いてビクッとするとクスっと小さく笑い声がしたので恥ずかしくなってしまった。
「ふふっ、ごめんなさい驚かせちゃいましたよね?」
「うぅ~~~~~~!!!(赤面)」
何も言えず俯いていると今度は反対の手が伸びてきて優しく包み込むような感じで触れられたのである。
「でもこうしないとお兄様に怪我させてしまうかもしれませんし……だから我慢してくださいね?」
「そっか……分かったよ。だけど絶対に危なくなったら止めに入るからね?」
「はいっ!ありがとうございます♪」
(まぁ今回は完全に油断していた私が悪かったわけだしここは大人しくしておくか……)
内心溜息を吐きながら諦めて力を抜くとそれに気付いたのか微笑んできたのである。そしてそのまま顔を近づけてくるのを見てまさかと思った瞬間、唇に柔らかいものが触れてきたのだった。
突然の出来事に呆気に取られていたがハッとなり急いで引き剥がそうとしたが何故か力が入らずそのまま受け入れてしまったのである。
(なっ……何これ!?全然体に力入らないんだけど!!)
困惑している間にもどんどん深くなっていき口内に舌を入れられてしまい蹂躙されていった。やがて満足するまで堪能したあとようやく解放されたのだが、その際糸を引きつつ銀に輝くものが見えてしまい羞恥で顔から火が出そうになった。
一方アイリちゃんの方はと言うとこちらも同様にキスしてきたのだがこちらは触れるだけの軽いものだったのでホッとしたのだが、しばらくして離した後見せつけるかのように自分の口に付いたものを舐める姿を見て再びドキッとしてしまいそんな自分に嫌気がさしたのである。
「んん?どうされたんですかお兄様?」
わざとらしく聞いてくる彼女に若干イラッとしたがあえて無視することにした。すると今度は反対側からユナが甘えるように腕に絡みついてきて上目遣いをしながら見つめてきたのである。
「ねぇお兄様……あたしもして欲しい……」
その言葉を聞いてさらに頭が痛くなったがなんとか堪えて苦笑しながら宥めたのであった。
その後もしばらく二人による激しい戦いが繰り広げられたが何とか勝つことができたようでほっとしていた。そしてとどめとして放った二人の合体技により相手は跡形もなく消し飛んでしまったのである。
「やったー!!ついに倒したよ!!」
「えへへ、やりましたね!!」
二人は喜び合っていたがその光景を見た私はただただ唖然とすることしか出来なかった。
(いやいやいやいや!!おかしいだろこれは!!!いくら何でも強すぎないか?)
そう思いながらも疑問を口にしようとした時急に強い眠気に襲われ意識を失いその場に倒れ込んだ。
「あれ?お兄様どうされ……」
「ちょっとしっかりして!!」
二人が心配そうに声をかけてきたが反応できず瞼が落ちていき視界が完全に真っ暗になったあとそこで記憶も途切れたのだった。
次に目が覚めて最初に目に入ってきたものは見知らぬ天井だった。一瞬何処にいるのだろうと戸惑ったがすぐに思い出した。
その後ゆっくり起き上がり周りを見渡すとやはり先程まで居たところとは違い綺麗に整えられていたのだった。
「やっぱり夢じゃなかったんだな……」
はぁっと深いため息をつくとお腹がぐぅ~となったことに驚き時計を見ると既に昼を過ぎており時間的にもちょうどいい頃合いだったのでとりあえず何か食べようと部屋を出てリビングに向かった。
ドアを開けるといい匂いが漂ってきておりキッチンの方を見るとそこにはエプロン姿の三人が料理を作っていた。
「あ、やっと起きたみたいだね!」
「おはようございます、旦那さま!」
「やっとって事はずっと寝てたんですか?」
「うん、そうだよ。あ、でも安心してくれて良いよ!別に変なこととかはしていないから!!」
「そうですか、なら良かったです!」
そう言って安堵のため息をついた私はテーブルにつくと早速出された食事を食べ始めた。どれもとても美味しかったのだが特に卵焼きが一番お気に入りだった。
「あの、ところでここに住んでる人っているんですか?」
「いえ、今は誰も住んでいないはずですよ。ここは昔アリさんのお父様が住んでいたところらしいのですけど病気で亡くなられた後、空き家になってしまっていたのをお母様が譲り受けたので私達が暮らしているんですよ」
「ちなみに私達の親ってどんな人達なんでしょうか……?全く知らないので教えて欲しいなと思って」
するとみんな一斉に黙り込んでしまい重苦しい空気が流れてきたのである。それを感じ取った私は慌てて謝った。
「す、すみません余計な事聞いちゃいましたよね?」
「いやいや違うんだよ!!むしろ逆なんだ!!あまりにも君が可愛すぎて僕達どう接すれば良いのか分からなくて悩んでいるだけなんだよ!!」
「はい……それに今まで男性とあまり関わってこなかったのでどのように振る舞えばよいのか分からないんです」
「そうなんですか……でもそんな風に思ってくれてるなんて嬉しいです!ありがとうございます♪」
そう言うと何故かみな頬を赤く染めながら俯いていたので不思議に思ったがまぁ気にしないことにした。
(ふむ、しかしこの子達は本当に可愛いよな。見た目はもちろんだが性格もいいし、将来間違いなく美人になるだろう)
などと考えているうちにいつの間にかたべ終わっていたようなので再びお礼を言い自室に戻るとベッドの上で横になり考え事をしていた。
(さっきの話を聞く限りだと多分この世界では一夫一妻制じゃないようだな。しかも全員俺のことを好いているという始末……)
そこまで考えた所で頭を抱えてしまったのである。
(うわっ……マジかこれ。ハーレムルートまっしぐらじゃないか。てことはいずれ誰か一人を選ばないといけないわけだよな?どうしよう、まだ全然実感湧かないんだけど……あっ、そういえば昨日キスされたんだった。やばいめっちゃ恥ずかしくなってきた!!よし、もう忘れよう!!今すぐ脳内から抹消するんだ!!あんなこと二度とあってたまるか!!とにかく今日は疲れているから何もせずに早く休まないと…………zZZ 翌朝起きると見慣れない天井が目に入り一瞬混乱したがすぐに自分が異世界に来たことを思い出して納得したのである。そして軽く伸びをしてそのまま体を起こし洗面所に向かうとその途中で廊下でばったりユナと遭遇したのであった。
「お兄様おはようございます!」
元気よく挨拶してきたのを見て微笑みつつ頭を撫でると嬉しくなったようで抱きついてきたのである。
「んん?お兄様なんか雰囲気変わりました?」
「え!?そ、そうかな?」
まさか気付かれるとは思ってもいなかった為動揺してしまったのだがなんとか誤魔化そうとした。しかしそこでさらに追い討ちをかけるようにアイリちゃんが現れこう言ってきたのである。
「確かに言われてみると少し違いますね?具体的には何か分かりませんけど……」
「き、きっと気のせいだと思うよ!!それよりもほら、急がないと学校に遅れてしまうんじゃないかい?」
二人共首を傾げていたがこれ以上追求されるとボロが出そうだったので話を切り上げてその場を離れようとした。するとその時後ろから声をかけられたのである。
「あー!!ずるい!!あたしも混ぜて!!」
その言葉と同時に勢い良く飛び付いてきたので何とか受け止めたがバランスを崩してしまいその場で尻餅をついて倒れこんでしまったのだった。
「ちょ、いきなり何をしているんだ君は!!」
「だってあたしもお兄様に甘えたかったんだもん!!」
「だからと言って普通こんな事はしないだろう!!」
「嫌だ!絶対に離れないぞ!!このままずっと一緒にいるんだ!!」
まさに駄々っ子のような状態だったのである。
結局それからしばらく説得を試みたが全く効果はなく困り果てていたのだがそこで救世主が現れたのである。
「あら、朝っぱらから騒々しいと思ったらやっぱりあなた達の仕業ね……」
「あ、ママおはよう!」
「おはようございます、お母さん!」
「おはようございます、お義母さん!」
「はい、おはよう。それで一体何があったの?」
「実はですね……」
そう言ってこれまでの経緯を話し始めたのだ。するとみるみると表情が変化していき最終的に笑顔になった。
「へぇ~、なるほどねぇ~……いい度胸をしているじゃない。うちの娘達に手を出そうなんて」
「あの、何か勘違いされてませんか?」
「いいえ、私は至って正常よ。そもそも最初に手を出したのはこの子でしょう?」
「はい、それは間違いありません」
「なら、それ相応の責任を取ってもらうのが筋というものよね?そういう訳でこれからは私達の家族として過ごしてもらうわよ」
「ちょっと待ってください!いくらなんでも話が飛躍しすぎじゃ!!」
しかしその反論にも耳を傾けることなく二人は私を引きずってリビングへと連れていったのである。そこでは既に他の三人が集まっており朝食を食べようとしていた。
「皆さん揃っていますね……それでは早速いただきましょう♪はい、お義兄さんはこれですよ!!」
そう言いながら箸を差し出してきたが当然のことながら戸惑ってしまった。
「いやいやいや!!流石にこれはおかしいだろう!!」
「どうしてですか?」
「だって明らかに自分の分があるじゃないか!わざわざ俺の分を用意しなくても良いと思うんだけど?」
「ダメです!それにお姉さんの分も用意してあるんですよ?」
「そうなのかい?」
「うん!それにお兄ちゃんと一緒に食べたいし……だめ……かな?」
上目遣いで見つめてくる姿を見てしまい思わず了承してしまうと隣にいたユナが頬を膨らませながら文句を言ってきた。
「むぅ……またそうやってお兄様を独り占めしようとするんですか?」
「別にそんなつもりはないよ。ただ単にお世話になっている身としてはなるべく要望に応えたいと思ってるだけだしね」
「でも私はそんな事望んでいないんです!!私はもっと純粋に仲良くなりたいと願っているだけですのに……」
だんだん泣きそうになる姿を見てしまい慌てて宥めた。
「分かった、ごめんな?お前の気持ちに気付かなくて。そうだな、俺も皆と本当の意味で親しくなれたら嬉しいと思っているんだよ。もちろん君とも……な?だから泣くんじゃないぞ?」
そう言うと涙を拭いながら微笑んできたのである。
「はい♪ありがとうございます♪大好きなお兄様!!」
「ああ、ありがとう……んんっ!?ちょ、なんで突然抱きついてきたんだ!?というかいつの間にこっちに来てたの!?さっきまで向こうに座っていたじゃないか!!」
「細かいことは気にしないで下さい。それより早く食べないと時間が無くなってしましますよ?」
「それもそうだが……まあいいか。よし、それじゃあ食べるとするかな!」
こうして賑やかな食事が始まったのであった。ちなみにユナだけは不満そうだったがアリちゃんがフォローしてくれたおかげでなんとかなったようである。そして学校に行く時間がやってきたので玄関先で全員を見送ることにしたのである。
「はい、これ弁当だよ。あとお金も渡しておくからこれで適当に買ってきてくれ。それとこの鍵はここの鍵だから失くさないように気をつけてね?」
「分かりました。ところで今日は一緒に行けないのでしょうか?」
「悪いけど今日は休みなんだ。昨日色々とあったからね……」
「なるほど……了解しました。では行ってきますね?」
「気を付けてね?いってらっしゃーい!」
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