アイスピックに決めていた。

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アイスピックに決めていた

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中学の一つ上の女の先輩
なんて魅力的な響きだろう
桜井さんはテニス部の先輩
僕は白いユニフォームを校舎の窓から眺めている。
たまにこちらを見ると桜井さんと目が合う
僕はラケットを持って躍動している桜井さんに届くように念じている
そのユニフォームをビリビリに破いてめちゃくちゃにしてやる。
たまに廊下ですれ違うと桜井さんと話すこともある。
「春樹、今日は走らないの?」
「僕は陸上部だからいつも走っている
けど、気安く話しかけんな友達じゃないんだから」
「なんで春樹はそう刺々しいの、かわいくないよ、後輩のくせに。」
おまえの後輩じゃないんだ
桜井さんは確かに、魅力的で爽やかで綺麗だけど、そういう風に気軽に話しかけられると嫌だ、とはまだ言ったことはない。
  


僕の武器はアイスピックに決めた
部活の帰り道、桜井さんを襲う
少し暗くなった夕方に
僕は彼女の家を知ってる、まぁ近所だから手頃な相手とも言える
桜井さんはネコがケンカしている時みたいな声を出すだろう
もしかしたら僕の腕に噛み付くかもしれない
落ち葉だらけの雑木林に押し倒して、桜井さんを泣かせてやる
僕だと分かってふざけてきたら、アイスピックで両手を栗の木に串刺しにして、スカート捲り上げてやる。



スポーツバックを片手に持って、桜井さんは歩いてきた。
セミロングの髪が風になびく姿がどことなく優雅に映る。
僕は桜井さんを目掛けて通り魔みたいに近づく。
後一歩、僕は気づかれないように素早く後ろから手を首に回した。
桜井さんに腕を掴まれた。
「何してんの?暇なの?」
掴んだ僕の手を桜井さんは離さない。
しかもベンチに桜井さんは座った。
ベンチに押し倒すのはどうなのか?迷った。
「座れば?」
「予定と違う」
「何それ?」
桜井さんから、甘い匂いがしてきて僕は判断を誤りそうになるのを必死に堪えて
打ち明ける。
「今日、桜井さんを襲う予定だった」
「で、予定は変わったの?」
「今日はやめとく、桜井さんを押し倒して泣かす予定だったけど」
「春樹、私の目を見てもう一度言って」
「それより掴んでる手をはなせよ」
桜井さんは手を離すどころか、僕に更に近づいて肩に頭を乗せた。
「男の子は押し倒したい相手には好きって言うんだよ」桜井さんの体温が僕の左側から侵食してきて僕を食い尽くしそうだった。
「桜井さんはオレをどうしようと思ってるの?」
「嫌がる後輩の春樹を言う事きかせたい」
僕とは妄想が合わない。
でも、嫌いじゃない。

好きかもしれない。

これは今言葉にした事。




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