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第二章 <断罪阻止>
第19話 <海デートⅢ>
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ざざーっ、と押し寄せてくる波に触れてみると、不思議な感覚がした。
「……魔力?」
「そりゃあ、海だからね。」
もう少し、触れてみたいと思った瞬間、波がさーっと引いていく。
「どういうことですか、アシュガ様。何故海に魔力が……?」
「知らないの?」
アシュガ様の話を要約すると、水は魔力を持ちにくい代わりに、一度持った魔力はそのまま長く保つそうだ。
つまり、これは何千年も、何億年も太陽からじっくりと与えられた魔力ということらしい。
「太陽は、魔力を持っているんですね」
「ローズ……?」
アシュガ様は訝しげに私を見ていた。
「っあ、そ、そんな当たり前のことわざわざ言う必要もなかったですね!」
「みんな小さい頃から知っているからね。私も母上に聞いた気がするよ」
懐かしむように目を細めるアシュガ様を見て、そういえば元の世界の家族はどうしているかなぁ、と思う。
「ローズ、そろそろお昼にしようか?」
「……」
悲しませちゃったかな。今、幸せに暮らしているから大丈夫だよって言いたい。
……いや、これから処刑される可能性はあるけれど。
「ローズ?」
「っはいっ!?」
感傷に浸って、アシュガ様に心配をかけてはいけない。
ローズはにっこりと笑顔を作る。
「大丈夫?」
「いえ、少し考え事をしていただけですよ」
「……そうか。さて、あそこでお昼にしよう」
そう言ってアシュガ様が指差したのは、浜辺から少し離れた所にあるテーブルセットだった。
……王族が、あの水着姿で座るような所で食事を。
なんだか想像できないっ……!!
「はい、海を間近に感じながらお食事なんて楽しそうですね!」
☆.。.:*・゜*:.。..。.:+・゜:.。.:*・゜+
……これは、なんの拷問だろうか。
「ほら、ローズ。あーん。」
「……アシュガ様……自分で食べられます……」
どうやらこの前食べたサンドイッチがお気に召したらしい。今日の昼ごはんは色とりどりのサンドイッチだった。
しかし! 私は声を大にしていいたい!
どうして、麗しの王太子様手ずから食べさせられなければならないのだと!!
しかし、ずっと口元でサンドイッチを往復させられるとパクリと食べてしまう。
……だって、美味しそうなんだもん。
「はぁ……可愛い。ローズが可愛くて辛い。」
「んむ……!? ごほんっ……」
若干涙目になりつつ、喉に詰まらせたサンドイッチを急いで飲み込む。
「ふ……不意打ちは卑怯ですっ!!」
「ローズが可愛いのが悪い」
「むぅ~~…………!」
可愛いと言われるのは嬉しい。幸せな気分になる。
が、しかし。如何せん恥ずかしいのだ。
何度言われても慣れる気はしない……。
「さ……さっきから私に食べさせてばかりで、アシュガ様は全然食べていないじゃないですか。私に構ってばかりではなく、アシュガ様も食べて下さいませ。」
ぷくりと頬を膨らませて言うと、何故かアシュガ様は顔をぱっと覆って3秒程後ろを向くと、何食わぬ顔をしてこちらに向き直った。
「ん……食べているよ。ただ、ローズが可愛くて、ついあげちゃうんだ」
……もう、お腹いっぱいなのだが……!
いやそれより何、『ついあげちゃう』って!?
「もう食べられませんわ……! それより、さっ」
「ローズは少食なんだね、可愛い」
食い気味で返してくるアシュガ様。
だめだ、これはもう答えてくれないやつだ。
「あ、そうそう……これ、デザート。」
にこっと笑って取り出したのは、クッキーだった。
……普通の、美味しそうなクッキーだ。
「美味しそうですね、ありがとうございます。」
一口齧ると、優しい味がした。
手作り感のあるチーズクッキーだ。余計な物が入っていない、柔らかくて優しい味。
それでいてチーズの酸味が絶妙で、物凄く美味しい……!!
それに、私の大好物を覚えてくれていたようで、なんだか少し嬉しい。
「どう、美味しい?」
アシュガ様は笑みを浮かべている。
……が、なんだかいつもと違う。何が違う……?
「とっっても美味しいです!私の好きなクッキー、覚えていてくれたのですね。」
「よかった。それ、私が作ったんだ」
あぁ、そうか。
いつもより緊張した笑みだったのだ。
「そうなのですね……!とっても美味しくて、ほっぺがとろけてしまいそうですわ」
「ふふ、それはよかった。」
それから、暫く沈黙が続いた。
ぼんやりと打ち寄せては引いていく海を、二人で眺める。
穏やかで、緩やかで、幸せな時間だった。
「……魔力?」
「そりゃあ、海だからね。」
もう少し、触れてみたいと思った瞬間、波がさーっと引いていく。
「どういうことですか、アシュガ様。何故海に魔力が……?」
「知らないの?」
アシュガ様の話を要約すると、水は魔力を持ちにくい代わりに、一度持った魔力はそのまま長く保つそうだ。
つまり、これは何千年も、何億年も太陽からじっくりと与えられた魔力ということらしい。
「太陽は、魔力を持っているんですね」
「ローズ……?」
アシュガ様は訝しげに私を見ていた。
「っあ、そ、そんな当たり前のことわざわざ言う必要もなかったですね!」
「みんな小さい頃から知っているからね。私も母上に聞いた気がするよ」
懐かしむように目を細めるアシュガ様を見て、そういえば元の世界の家族はどうしているかなぁ、と思う。
「ローズ、そろそろお昼にしようか?」
「……」
悲しませちゃったかな。今、幸せに暮らしているから大丈夫だよって言いたい。
……いや、これから処刑される可能性はあるけれど。
「ローズ?」
「っはいっ!?」
感傷に浸って、アシュガ様に心配をかけてはいけない。
ローズはにっこりと笑顔を作る。
「大丈夫?」
「いえ、少し考え事をしていただけですよ」
「……そうか。さて、あそこでお昼にしよう」
そう言ってアシュガ様が指差したのは、浜辺から少し離れた所にあるテーブルセットだった。
……王族が、あの水着姿で座るような所で食事を。
なんだか想像できないっ……!!
「はい、海を間近に感じながらお食事なんて楽しそうですね!」
☆.。.:*・゜*:.。..。.:+・゜:.。.:*・゜+
……これは、なんの拷問だろうか。
「ほら、ローズ。あーん。」
「……アシュガ様……自分で食べられます……」
どうやらこの前食べたサンドイッチがお気に召したらしい。今日の昼ごはんは色とりどりのサンドイッチだった。
しかし! 私は声を大にしていいたい!
どうして、麗しの王太子様手ずから食べさせられなければならないのだと!!
しかし、ずっと口元でサンドイッチを往復させられるとパクリと食べてしまう。
……だって、美味しそうなんだもん。
「はぁ……可愛い。ローズが可愛くて辛い。」
「んむ……!? ごほんっ……」
若干涙目になりつつ、喉に詰まらせたサンドイッチを急いで飲み込む。
「ふ……不意打ちは卑怯ですっ!!」
「ローズが可愛いのが悪い」
「むぅ~~…………!」
可愛いと言われるのは嬉しい。幸せな気分になる。
が、しかし。如何せん恥ずかしいのだ。
何度言われても慣れる気はしない……。
「さ……さっきから私に食べさせてばかりで、アシュガ様は全然食べていないじゃないですか。私に構ってばかりではなく、アシュガ様も食べて下さいませ。」
ぷくりと頬を膨らませて言うと、何故かアシュガ様は顔をぱっと覆って3秒程後ろを向くと、何食わぬ顔をしてこちらに向き直った。
「ん……食べているよ。ただ、ローズが可愛くて、ついあげちゃうんだ」
……もう、お腹いっぱいなのだが……!
いやそれより何、『ついあげちゃう』って!?
「もう食べられませんわ……! それより、さっ」
「ローズは少食なんだね、可愛い」
食い気味で返してくるアシュガ様。
だめだ、これはもう答えてくれないやつだ。
「あ、そうそう……これ、デザート。」
にこっと笑って取り出したのは、クッキーだった。
……普通の、美味しそうなクッキーだ。
「美味しそうですね、ありがとうございます。」
一口齧ると、優しい味がした。
手作り感のあるチーズクッキーだ。余計な物が入っていない、柔らかくて優しい味。
それでいてチーズの酸味が絶妙で、物凄く美味しい……!!
それに、私の大好物を覚えてくれていたようで、なんだか少し嬉しい。
「どう、美味しい?」
アシュガ様は笑みを浮かべている。
……が、なんだかいつもと違う。何が違う……?
「とっっても美味しいです!私の好きなクッキー、覚えていてくれたのですね。」
「よかった。それ、私が作ったんだ」
あぁ、そうか。
いつもより緊張した笑みだったのだ。
「そうなのですね……!とっても美味しくて、ほっぺがとろけてしまいそうですわ」
「ふふ、それはよかった。」
それから、暫く沈黙が続いた。
ぼんやりと打ち寄せては引いていく海を、二人で眺める。
穏やかで、緩やかで、幸せな時間だった。
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