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植物学者の僕は嫌われ者の獣人さんのことを好きになってしまいました。
セゾさんとベルさん
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「僕なにかしましたか?」
「あん? 何がだ?」
建物に入ると、思ったよりも広めのロビーが目の前に広がっていた。奥には受付カウンターがあり、手前にはソファとローテーブルが並んでいる。その横には布や雑貨などを販売しているらしい、小さな売店のようなスペースもあった。
カウンターに置かれた用紙に名前を記入しているセゾに、ホタルはさっきなぜ叩かれたのかを尋ねた。しかしセゾはまったく心当たりがない様子で、ホタルはもしかして無意識だったのだろうかと思う。
「おぉ、これ全部フィリップのバームクーヘンなのかい? いいなぁ、美味しそうだ」
カウンターに置かれた箱に書かれた店名を読み上げ、ベルがうらやましそうに見つめた。すると、セゾがその中のひとつをベルの前に差し出す。
「んじゃ、やる」
「えっ」
ホタルが驚いて声をあげる。セゾはそんなホタルを見ながらさらりと続けた。
「こんなにあるんだから、別にいいだろ?」
「あ、う。はい、どうぞ……」
「ありがとう! 家族と食べるよ!」
(セゾさんに食べて欲しくて買ったのに……)
そう思っても嬉しそうに笑うベルを見てしまえば「やっぱり返して」なんて言えるわけもなくホタルは苦笑いを浮かべた。
「そういやアンタさっき待ってたって言ったな。なんかあんのか?」
「一部屋雨漏りしちゃってね。今はバケツ置いて凌いでるんだけど、直してほしくて待ってたんだ。直してくれるなら宿泊代金はサービスするよ」
「ソレだけでタダにしていいのかよ」
「こんな場所だから、ちょっと屋根をふさぐだけでも出張費がすごくてね。なかなか業者なんて呼べないのさ」
「フーン、んじゃ工具持ってきてくれ」
「うん。あとで部屋に持っていくよ。あぁ、それと胡椒を入荷したんだ。以前セゾくんが来てくれたときに無かったから仕入れたの伝えたくてさ」
「お! そりゃ助かる! 殆どアンタの店にしか買い物しに来ないからよ」
セゾとベルが親しげに話しているのを見て、ホタルはどこか面白くなさそうな顔をしながら、ふらりと売店スペースへ足を向けた。
棚には、瓶に入った塩や胡椒、ハチミツ、砂糖などの調味料が並んでいる。近くにはトルソーが三体置かれていて、そのうちの一体には、セゾがよく着ているデザインのベストが飾られていた。
(セゾさん、ここで服買ってるんだ)
ベルとあんなに親しそうにしているところを見ると、この店の常連なのだろう。二人はまだ楽しそうに話していて、ときおり笑い声まで聞こえてくる。
(セゾさんに仲のいい人がいるのは、嬉しいことのはずなのに……なんだかモヤモヤする。バームクーヘンだって、勝手にあげちゃうし。いや、あれはセゾさんにあげたんだから、どう扱おうと自由なんだけど……)
「あん? 何がだ?」
建物に入ると、思ったよりも広めのロビーが目の前に広がっていた。奥には受付カウンターがあり、手前にはソファとローテーブルが並んでいる。その横には布や雑貨などを販売しているらしい、小さな売店のようなスペースもあった。
カウンターに置かれた用紙に名前を記入しているセゾに、ホタルはさっきなぜ叩かれたのかを尋ねた。しかしセゾはまったく心当たりがない様子で、ホタルはもしかして無意識だったのだろうかと思う。
「おぉ、これ全部フィリップのバームクーヘンなのかい? いいなぁ、美味しそうだ」
カウンターに置かれた箱に書かれた店名を読み上げ、ベルがうらやましそうに見つめた。すると、セゾがその中のひとつをベルの前に差し出す。
「んじゃ、やる」
「えっ」
ホタルが驚いて声をあげる。セゾはそんなホタルを見ながらさらりと続けた。
「こんなにあるんだから、別にいいだろ?」
「あ、う。はい、どうぞ……」
「ありがとう! 家族と食べるよ!」
(セゾさんに食べて欲しくて買ったのに……)
そう思っても嬉しそうに笑うベルを見てしまえば「やっぱり返して」なんて言えるわけもなくホタルは苦笑いを浮かべた。
「そういやアンタさっき待ってたって言ったな。なんかあんのか?」
「一部屋雨漏りしちゃってね。今はバケツ置いて凌いでるんだけど、直してほしくて待ってたんだ。直してくれるなら宿泊代金はサービスするよ」
「ソレだけでタダにしていいのかよ」
「こんな場所だから、ちょっと屋根をふさぐだけでも出張費がすごくてね。なかなか業者なんて呼べないのさ」
「フーン、んじゃ工具持ってきてくれ」
「うん。あとで部屋に持っていくよ。あぁ、それと胡椒を入荷したんだ。以前セゾくんが来てくれたときに無かったから仕入れたの伝えたくてさ」
「お! そりゃ助かる! 殆どアンタの店にしか買い物しに来ないからよ」
セゾとベルが親しげに話しているのを見て、ホタルはどこか面白くなさそうな顔をしながら、ふらりと売店スペースへ足を向けた。
棚には、瓶に入った塩や胡椒、ハチミツ、砂糖などの調味料が並んでいる。近くにはトルソーが三体置かれていて、そのうちの一体には、セゾがよく着ているデザインのベストが飾られていた。
(セゾさん、ここで服買ってるんだ)
ベルとあんなに親しそうにしているところを見ると、この店の常連なのだろう。二人はまだ楽しそうに話していて、ときおり笑い声まで聞こえてくる。
(セゾさんに仲のいい人がいるのは、嬉しいことのはずなのに……なんだかモヤモヤする。バームクーヘンだって、勝手にあげちゃうし。いや、あれはセゾさんにあげたんだから、どう扱おうと自由なんだけど……)
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