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29. 100年前
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「バルシュミード家は初代聖女の兄弟の血筋だ。初代聖女には4人の兄弟がいた。それが今の公爵家、システィーム、アクリルケイル、ホルフマン、そしてバルシュミードだ」
「ホルフマンは人を操れるっていう家ね」
私の言葉にトアセスは頷く。
「この4家は今のどの公爵家よりも歴史が長く、政治の中枢を担ってきた。ホルフマンは宰相を、システィームは白魔道士団と白騎士団を、アクリルケイルは王宮守護を、そしてバルシュミードは黒魔道士団と黒騎士団を代々受け継ぐのが暗黙の了解になっている。今世代はちがうがな、」
トアセスは悔しそうに顔を歪ませた。
「話を理解してもらうにはどこから語ればいいか。そうだな、前聖女のアマリリスの話からしよう」
そうして、トアセスは語り出した。
100年前召喚された聖女は、癖のある黒い長髪の白人だった。アマリリスと名乗るその女性は、聖女の中で唯一厄災のあとも生きていた。
全ての聖女は悪魔の消失と共にその命を終わらせる。王宮の研究者は、魔力と生命力を使い切り悪魔を消失させるからだと発表した。誰もがそれを疑わず、聖女の功績を称えた。聖女様ともあろう人さえ、その命をかけて戦わなければ、悪魔は倒せないのだと、誰もが聖女に感謝した。
そのことを初めて疑問に思ったのは、バルシュミード家の先々代当主、ブルーテス・バルシュミード。クロッセスらの祖父にあたる。
曰く、「聖女は契約によりその魂を捧げることで厄災を退けるのだ」と。その根拠として、ブルーテスが前聖女の曾孫にあたるからであった。
彼は聖女の孫、つまり自身の父から話を聞いていた。
悪魔との戦いを終えた聖女アマリリスは、辺境の伯爵と恋に落ち結婚した。その後元気な男の子が2人生まれる。長男アゲラスと次男アラリスであった。
長男アゲラスは優秀な男で、伯爵家を継ぐために絶えず努力をしていた。その人柄も相まって、男爵家の令嬢とそうそうに婚約し、子宝にも恵まれた。対して次男アラリスは、自由奔放な性格で、勉強に従事することはなく剣ばかりに溺れていた。そんなアラリスが目をつけた剣が、伯爵家に封印されていた魔剣「ティルフィング」であった。その剣は聖女以外が触れてはならないと言われる剣で、今までは唯一の血筋であるバルシュミード家が保管してきた。しかし今回の聖女は健在のため、彼女の家に封印していたのだった。
魔剣を目にした次男アラリスは、これは俺が使うにふさわしいと封印を解き、剣を手にしてしまった。
その後瞬く間に、伯爵家は滅びた。
「ホルフマンは人を操れるっていう家ね」
私の言葉にトアセスは頷く。
「この4家は今のどの公爵家よりも歴史が長く、政治の中枢を担ってきた。ホルフマンは宰相を、システィームは白魔道士団と白騎士団を、アクリルケイルは王宮守護を、そしてバルシュミードは黒魔道士団と黒騎士団を代々受け継ぐのが暗黙の了解になっている。今世代はちがうがな、」
トアセスは悔しそうに顔を歪ませた。
「話を理解してもらうにはどこから語ればいいか。そうだな、前聖女のアマリリスの話からしよう」
そうして、トアセスは語り出した。
100年前召喚された聖女は、癖のある黒い長髪の白人だった。アマリリスと名乗るその女性は、聖女の中で唯一厄災のあとも生きていた。
全ての聖女は悪魔の消失と共にその命を終わらせる。王宮の研究者は、魔力と生命力を使い切り悪魔を消失させるからだと発表した。誰もがそれを疑わず、聖女の功績を称えた。聖女様ともあろう人さえ、その命をかけて戦わなければ、悪魔は倒せないのだと、誰もが聖女に感謝した。
そのことを初めて疑問に思ったのは、バルシュミード家の先々代当主、ブルーテス・バルシュミード。クロッセスらの祖父にあたる。
曰く、「聖女は契約によりその魂を捧げることで厄災を退けるのだ」と。その根拠として、ブルーテスが前聖女の曾孫にあたるからであった。
彼は聖女の孫、つまり自身の父から話を聞いていた。
悪魔との戦いを終えた聖女アマリリスは、辺境の伯爵と恋に落ち結婚した。その後元気な男の子が2人生まれる。長男アゲラスと次男アラリスであった。
長男アゲラスは優秀な男で、伯爵家を継ぐために絶えず努力をしていた。その人柄も相まって、男爵家の令嬢とそうそうに婚約し、子宝にも恵まれた。対して次男アラリスは、自由奔放な性格で、勉強に従事することはなく剣ばかりに溺れていた。そんなアラリスが目をつけた剣が、伯爵家に封印されていた魔剣「ティルフィング」であった。その剣は聖女以外が触れてはならないと言われる剣で、今までは唯一の血筋であるバルシュミード家が保管してきた。しかし今回の聖女は健在のため、彼女の家に封印していたのだった。
魔剣を目にした次男アラリスは、これは俺が使うにふさわしいと封印を解き、剣を手にしてしまった。
その後瞬く間に、伯爵家は滅びた。
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