おっぱい星人がやってきた

文字の大きさ
11 / 15

スイッチの入った宇佐美さん

 告白に向かう乙女みたいにどきどきしながら、車を走らせる。

 あれからさらに数日。ようやく、宇佐美に会える時がやってきた。同期に怪しまれながらも手に入れた情報によると、宇佐美は数日東京へ出張していて、帰る予定が昨晩遅くだったらしい。だから今夜は家におるはずや。

 アポは取ってへん。連絡しても無視される思うたから。やから、もしかしたら出かけてる可能性もあるけど。

 とりあえず突撃しようと思うた。宇佐美は変なとこで優しい性格が出るから、家まで来たやつを追い返すことはよっぽどのことがないとあらへんやろうし。まあ、俺がよっぽど嫌いやったらあるかもやけど。

 そん時はそん時や。

 宇佐美のマンションに着いた。近くの駐車場に車を置くと、歩いて宇佐美のマンションのエントランスへと向かった。パネルの前に立つと、事前に高坂から聞いておいた宇佐美の部屋のボタンを押した。

 数秒後。

『……何してんの?』

 と聞き慣れた声がスピーカーから聞こえてきた。家におったみたいやな。

「急に来てごめんな。ちょお、話があんねん」
『…………』

 また数秒後。

『ロック開けた』

 そう返ってきたので、ありがとう、と礼を言うて、中へと入った。帰れ言われへんくてよかったわ。とエレベーターの中で胸をなで下ろす。いや、正直成功率は半々やと思うてたから。

 エレベーターを降りて、宇佐美の部屋を目指そうと歩き出すと。廊下のずっと先の扉がすっと開いた。遠くから宇佐美が顔出しとんのが見える。俺は少し早歩きでそこへ向かった。
 
 俺が目の前まで来ると、宇佐美はじっと俺の顔を見とった。笑うてはないけど。不機嫌ではないみたいや。

「何しに来たん?」
「やから、話があってきてん」
「何の?」
「ここでは話せんから、中入れてくれるか? あかんかったら、ここで言うてもええねんけど、それはそれでお前も恥ずかしい思いすることになるかもしれへん」
「はあ……」

 宇佐美はわけ分からん、という顔をしつつも扉を全開にして俺を通した。

「お邪魔します」

 俺はさっさと靴を脱ぐと、勝手にずんずんと中へと進んだ。リビングで宇佐美を迎え撃つ。

 宇佐美がリビングへと入ってきた。仁王立ちで宇佐美を待っていた俺を怪訝そうな表情で見る。

「……座らへんの?」
「ええねん。用件、先に言うわ。だらだらしても意味ないし」
「なんなん? ほんまに」
「宇佐美」
「何?」
「抱いてくれへん?」
「……は?」

 宇佐美が眉を潜めた。

「何言うてんの?」
「やから。俺を抱いてくれへん?」

 そこで俺の言葉の意味を理解したらしく、宇佐美が急に顔を赤くして慌て始めた。

「……いやいや、ちょお待って。なんで、突然、そんななんねん」
「説明したほうがええか?」
「そらそうやろ」

 そこで、俺は勇気が萎んで逃げ出す前にと、なるべく手短に説明した。

「俺な、宇佐美に乳触られまくって、他で勃(た)たんようなってもうてん。ほんで、もしかしたら宇佐美に惚れてるんちゃうかと思うて、とりあえず宇佐美とヤったらはっきりするかと思うてな。あ、やけど、宇佐美はそこはなんも気にせんといてくれたらええねんけど」
「……そこって?」
「やから、俺が宇佐美に惚れてる云々のとこな。別に宇佐美にそこんとこでどうこうしろ言うてるわけちゃうねん。それにな、もしかしたら、一回ヤってもうたらスッキリして他でもできるようになるかもしれへんやろ? やからとにもかくにも試したいねん」
「…………」

 宇佐美は何も言わへんかった。さっきの慌てた様子も今はない。静かにじっと俺を見つめとる。何を考えてるんか読まれへん。

「……お前、嫌言うてたやん、俺に触られるん」
「あれは……嘘やねん。ほんま、ごめん」
「……嘘?」
「あん時、あのまま流されそうになって、やけど、宇佐美は大事な仕事仲間やしあかんと思うてん。それに……怖かったわ」
「怖い?」
「おん……。なんかな、このまま進んだら俺はどうなるんやろうって。歯止めが利かへんくなるような気がしてん。それが怖くて……嫌や言うた」
「…………」
「やけど、結局そこで止めたせいかどうか分からんけど、こんな体になってもうて。やから、嫌や言うたくせに申し訳ないんやけど……協力して欲しいねん」

 そこでまた、宇佐美が黙った。宇佐美が頭ん中で色々考えとんのが分かる。それが、俺にとって吉と出るかは分からへんけど。

 やがて、宇佐美がゆっくりと口を開いた。

「なあ」
「ん?」
「もう一回言ってくれへん?」
「……何を?」
「……俺に何して欲しいか」
「ええけど……なんで?」
「ええから言うて」
「おん……」

 わけの分からんまま、もう一度宇佐美にお願いした。

「俺を抱いてくれへん?」

 宇佐美の顔が、俺の乳を眺めとる時によう見せる、悦の入った表情に変わった。そしてはっきりと答えた。

「ええよ」
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔性の男

久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。 最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。 そう、思っていた。

忘れた名前の庭で

千葉琴音
BL
【凍てついた記憶を溶かすのは、不器用な守護者の体温】 「俺のことはルーカスでいい」 目覚めると、僕は自分の名前すら忘れていた。 唯一の肉親である兄・テオドールの死と同時に失われた記憶。無愛想な兄の友人ルーカスと共にゆっくりと兄の足跡を辿っていく。 厳格で甘いものが嫌いだった亡き兄・テオドール。彼が密かに弟のために植物図鑑を読み、内緒で菓子を買い与えていたという、口にされることのなかった真実。 ルーカスの語る「かつての自分」と、今の自分が少しずつ重なっていく中、アルノは因縁の魔獣の住む森へと足を踏み入れる。そこで彼が思い出したのは、独りで耐える術ではなく、誰かに抱きしめられて「息をする」方法だった。 孤独な少年と、彼を見守り続けた騎士。二人が雪解けの庭で見つける、新しい絆の物語。

伝説の勇者が俺の寝室に不法侵入してきました〜王様の前で『報奨より幼馴染をください』って正気ですか!?〜

たら昆布
BL
勇者になった青年とその幼馴染だった薬師の話

​転生したら最強辺境伯に拾われました

マンスーン
BL
現代日本人・東堂裕太が目を覚ますと、そこは異世界。クズな婚約者に魔力を限界まで搾取され、ボロボロになって森に捨てられる悲惨な青年・ルカに転生していた。 ​死を覚悟した裕太だったが、そんな彼を拾い上げたのは、帝国最強の武力を誇り「氷の死神」と恐れられる辺境伯・ラーク。

俺以外を見るのは許さないから

朝飛
BL
赤池凌平は、成瀬真介と出会い、緩やかに親交を深めてやがて恋人同士になるのだったが、時折違和感を抱いていた。  その違和感の正体が明らかになる時には、もう何もかも手遅れになってしまい……。 (女性と付き合うシーンもあります。) ※ネオページ、エブリスタにも同時掲載中。マイペースに更新します。

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

とあるΩ達の試練

如月圭
BL
 吉住クレハは私立成城学園に通う中学三年生の男のオメガだった。同じ学園に通う男のオメガの月城真とは、転校して初めてできた同じオメガの友達だった。そんな真には、番のアルファが居て、クレハはうらやましいと思う。しかし、ベータの女子にとある事で目をつけられてしまい……。  この話はフィクションです。更新は、不定期です。

恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。

めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。 その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。 ⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる ⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない ※全四話、予約投稿済み。 本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。 ※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中