異世界に召喚されたのは居合を駆使する女の子!

高岩唯丑

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第一章

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 シルクがそう言うと、汚れた袖が、手で払った訳でもないのに、綺麗になっていく。
「おぉっ」
「このメイド服は汚れないのです、それから、破損しずらく、破損しても、自動で直ります、メイドに必須の、最強のメイド服です」
 少し自慢げにシルクがそう言った。魔法が使えるようになった部分よりも、メイド服の力の方が、シルクには重要そうだ。私だったら、丈夫で軽いなら、鎧の代わりになるなとか、そっち方面に考えてしまう。
「服のアイテム便利だね」
 誰しもが、服のアイテムになるわけではないのだろうけど、便利そうだ。
「さて」
 シルクが気を取り直して、言葉を続ける。
「次はどんな魔法があるかですね」
 シルクは「それほど詳しくないので」と前置きして、言葉を続けた。
「魔法はそれほど種類は多くないです、私が使った魔法矢の様に、魔力そのものをコントロールして使う、無属性、魔力に自然現象の特性を付与した、火、水、風、土属性、そんなところです」
「へぇー」
「なんか、興味無さそうですね」
「まぁ、アイテムは便利そうと思ったけど」
 科学技術の方が、スゴイだろうと思ってしまう私は、夢が無いだろうか。火なんてライターやコンロから出るし、蛇口を捻れば、水は出る。この世界には、そういう科学の利器が無い、と言ってしまえばそれまでだけど、火や水が出たくらいで驚かない。しかも人力だ。
「まぁ、いいですが、一応、覚えておいてください」
「わかった」
「私の知識では、これぐらいしか教えられません」
 シルクは、修練場の出入り口に向かって、歩き出しながら、続ける。
「もう、戻りましょう、時間を使いすぎました」
「そういえば、そうだね」
 少しの稽古みたいなつもりが、それなりに時間を消費してしまった。のんびりは、していられなかったんだ。
 部屋に戻ると、シルクは準備を再開した。片道一日かかるというから、早くても、二日はこの城に戻ってこれない。ただ、二日の予定だと、休みはほぼなしになる。もっと時間をかけるべきだ。
「この作戦、帰ってくるまでに、どれくらいの時間かかる? 土地勘がないから私には見当がつかなくて」
「土地勘がないのは、クロエ様も理解しています、基本的に行程は同行する者たちで相談して決めますが……すべてが速やかに解決して、三日ほどかと」
 やっぱり、それぐらいはかかるらしい。
「馬車を使う予定ですので、リコ様は戦う事にだけ集中を」
 シルクがクギを刺すように言う。まぁ、しょうがない。それを期待されているのだから。
 私は窓の外を見つめる。空が赤く染まり始めている。日本と……この場合は、地球と、と言うべきなのか、わからなけど、夕方になると空が赤くなるのは変わらないらしい。太陽も一つある。月は今のところ見えないけど、ほとんど違いはないみたいだ。
「どうしましたか」
 心配した表情で、シルクが見つめてきた。
「やはり、こんな事に巻き込まれて……嫌な気分ですか?」
「いや、そんな事ないよ、助けたいし」
 使うかもわからない居合術を稽古する、代り映えの無い日常に、少し飽きていた。私は心の中でそう付け加えた。剣士として、自分を律し、剣に没頭する日々。その中で養う精神には、反するかもしれないけど、冒険はちょっとワクワクするんだ。
「ありがとう……ございます」
 シルクがそう言って、微笑んだ。
「どういたしまして」
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