異世界に召喚されたのは居合を駆使する女の子!

高岩唯丑

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第二章

02

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 刀を握り締め、私は馬車を飛び出そうとする。すると、シルクが「違います」と、落ち着いた様子で言った。
「門の外に出ましたから、石を踏んだのでしょう」
「石?」
「はい、影の魔物なら、外の兵士がそう伝えてくれるはずです」
 そう言われてみれば、その兵士は何も言っていない。私は少し恥ずかしさを覚えながら、もとの位置に座る。
「何かあれば、騎士の私がお救いしますよ、お姫様」
「……もう」
 私は顔を覆いながら、不満の声を漏らす。日本では、道のほとんどは整備されて、乗り物があんな揺れ方することは無い。慣れない世界事情が悪い。
「どうしたっすか? リコお姫様」
 外の兵士がニヤつきながら、馬車を覗き込み、そう言う。
「よし、そのケンカ、買った」
 私は、刀を握って、馬車から降りた。
「すっ、すみません! ちょっとした出来心っす!」
 私が降りてきたのを見て、ニヤついていた兵士の顔が強張る。
「ウルセェ、剣を抜け、コノヤロウ」
 私は問答無用で居合術の構えをとる。
「ご勘弁を! リコ様! もう言わないっすから!」
 私がその兵士にじり寄っていくと、斬るつもりはなかったけど、突然、頭に衝撃が走る。
「いっ」
 そのあと、私の前にいた兵士の、呻くような声も聞こえた。
「リコ様、何をやっておるのですか! お前もだぞ! ニール」
 声の主は、ベテランの空気をまとった、年配の兵士だった。この人から、私とニールと呼ばれた兵士は、拳骨をもらったらしい。
「すみません、ドレグさん、でも、どっちかというと俺は、被害者」
 ニールの声を遮るように、ドレグの拳骨が、ニールの頭にもう一度飛ぶ。
「いっ」
「けしかけたお前も悪い」
「うぅ……すみません」
 観念したように、ニールが声をあげた。私は、わざとニールに見えるようにニヤついてやる。
「リコ様も、まだ足りませんかな」
 ミシッと聞こえたんじゃないかというくらい、ドレグの拳が握り締められる。
「すみませんでした」
 私は即座に謝った。
「よろしい」
 ドレグが、コホンと咳ばらいを一度すると、言葉を続ける。
「私がこの隊を預かった以上は、英雄様であっても、罰は、このドレグの拳骨ですぞ、覚えておいてくだされ」
 ドレグはそれだけ言うと、スタスタと馬車の左側面に移動していく。ニールも少し不貞腐れながら、馬車の右側面へと戻っていった。
「リコ様も馬車に戻ってください、お二人のじゃれ合いのせいで、馬車は止まっているのですよ」
 シルクが呆れた様子でそう言った。私が馬車に戻ると、また馬車が動き始める。
「頭がジンジンする」
 私が頭を擦っていると、シルク以外の女性の声が聞こえてきた。
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