耳をかりかり。

りー

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耳をかりかり。

ぼくの趣味は、耳かき。
煤竹製のほそーい耳かきで、耳垢をとるのが趣味だ。
人のはやらない。自分のだけ。やってあげる相手もいないしね。

やっちゃうのは、つい毎日。
だからとれる量は、さほど多くない。
なので……時々仕事で出張をして帰ってきたとき、耳かきを持っていかなかった時がチャンスだ。

静かな部屋に一人。ぼくは耳かきを携えて座っている。
もう片手にはスマートフォン。そこにはお気に入りの耳かき小説が表示されている。これを見ながら耳かきすると、最高に気持ちいいのだ。
それから、テーブルにはティッシュ。これにとれた耳垢を落としていく。

スッ……

耳かきがそっと、右耳の内に入っていく。
注意しながら、ぼくは耳かきを動かす。

ガサガサッ
バリバリッ

……ある!
普段なかなかとれない、量の多い耳垢だ!

ジャリリッ……

ジャリリッ……

スッ……

そっと耳から耳かきを戻すと、そこには黄色くてまとまった耳垢が!
これだから久しぶりの耳かきは最高なんだ。
読み進めている耳かき小説では、ハッカ液をひたした綿棒で耳がシュワッ……と爽やかな心地になっていて、読んでいるこっちもゾクゾクする。そうした小道具は持ち合わせていないが、想像すれば充分効く。

スーッ……

次なる獲物を求めて、ぼくの耳かきはもう一度右耳に入る。

カリリ……

カリリ……

さっきよりも量は少ないけど、耳垢だ。
やさしく、耳かきで擦るとぞわぞわした気持ちよさが走る。

スッ……

そして耳垢がティッシュに乗る。
これはたまらん。
しばらくそこから、耳からなにもなくなるまでカリカリ……スッ……を繰り返した。

耳の入り口周りの掃除も好きだ。
フチ周りには意外と汚れがたまる。
これも、

ホリホリ……

サリサリ……

と綺麗に取り去っていく。
時によっては、耳の中の耳垢よりも多くなるはずだ。

そして、今度は左耳!
耳かき小説は、片耳の描写を終えるとそこで話が終わってしまうことが多い。
ぼくとしては、両耳に付き合ってほしいのだ。
読んでいる耳かき小説は別の作品に切り替える。
利き手ではない手なので左側はとれているかが怪しいこともある。だけどぼくは臆さず挑む。

スーッ……

ガサガサッ
バリバリッ

こっちも、ある!
期待のまなざしになった僕は、また手を動かして耳垢を掘りとる。

ガササササ……

バリリリ……

ほしかった刺激にぞくぞくしながら、また耳かきをスーッと抜き、ティッシュに耳垢を落とす。
今日は正直、豊作だ!
コンディション次第で、溜めていても耳垢は取れたり取れなかったりの差が激しい。
はっきり言って今日は「大当たり」といっていいだろう。

スーッ……

カサササ……

サリリリ……

こちらも二度目は、おとなしいものだ。
だけど、耳垢は、「ある」。
素敵なお姐さんに耳垢をとってもらう小説の描写にほけーっとしながら、僕は視覚と触覚とをリンクさせていく。

カサ……

カサ……

耳垢が残り少なくなっていくのは、自分の身体のことなのでわかる。
正直寂しい。
だけど……そろそろ、今日の耳かきはおしまいだ。

ホリホリホリ……

サリサリサリ……

さっきより少し多めに、左耳の入口をきれいにする。
快楽をきちんとキャッチする。

名残惜しげに耳かきを耳から引き抜き、最後の耳垢をティッシュに落とし、ぼくは「戦利品」をまじまじと見つめた。

「あぁ……」

やっぱり、大漁。
各所にちらばり、あるいはこびりついた耳垢が本当にたっぷりあるのを見て、僕は心地の良いため息をついた。

これだから耳かきは……やめられない。
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