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南部辺境遠征編
093 カナタ、幸運値が効かない
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ライジニアにやって来たカナタたちは、北の大門から街へと入った。
ライジニアは他の街とは違って、入街税といったものを徴収するどころか、街への出入りが自由だった。
しかし、街へと入って直ぐに、カナタたちは不穏な雰囲気に戸惑った。
街全体がピリピリしているのだ。
「何かあったんですかね~?」
サキも嫌な空気を感じ取って呟く。
「とりあえず冒険者ギルドに行けば何かわかるかもしれないね」
と思ったカナタだったが、ライジン辺境伯領領都であるライジニアは、王都かと見紛うほどに巨大な街だった。
冒険者ギルドの場所が見渡してもわからないほど街が広かったのだ。
カナタは周囲を見廻すとあるアイデアを思い付いた。
「あの冒険者パーティーに着いて行こう」
カナタたちの目の前には前衛職らしい戦士2人と斥候職1人、魔法職2人と思しき冒険者パーティーが歩いていた。
どう見ても高ランクパーティー、この時間――夕方近く――に門をくぐったばかりの冒険者が歩いていく先といえば冒険者ギルドだろうと当て込んだのだ。
大通りを進む冒険者たち、その後ろをゆっくりついていく獣車、バレバレである。
急に冒険者が右折した。慌ててカナタたちが右折すると、目の前に冒険者が立ち塞がっていた。
「俺たちの後をつけていたようだが、何の用だ?」
冒険者たちは険しい表情でカナタたちに詰め寄った。
「ああ、すみません。
勝手に冒険者ギルドまで案内してもらおうかと思って……」
カナタたちが子供と女ばかりだと気付き、武器にかけていた手を降ろす冒険者たち。
「そんなことなら、こそこそするな。
最初から声をかけてくれれば、俺たちだって警戒しないで済んだぞ」
尤もな話である。
「ごめんなさい」
カナタは素直に謝った。
その様子に冒険者たちは溜め息をつき、しょうがないなとカナタたちを許してくれた。
「だが、俺たちが向かっているのは冒険者ギルドではないぞ」
「え?」
想定外だった。
「俺たちは、別の街で依頼を受けてこの街に来たので、今向かっているのは雇い主の辺境伯様のところだ」
「だから私たちに付いて来ても、冒険者ギルドには辿り着けないわよ」
「そうなの?」
魔法職の女性はクスリと笑うと親切に冒険者ギルドへの道を教えてくれた。
「いまの道を左折した方にあるはずよ」
魔法職の女性(アラサー)が言うには、辺境伯様のお屋敷と冒険者ギルドは完全に真逆だったらしい。
「ありがとうお姉さん」
カナタ(11才見た目は7才)にお姉さんと言われた魔法職28才は身もだえた。
このぐらいの子供がいてもおかしくない年齢だったから、普段ならおばさんと言われるところだからだ。
「(いやだ可愛い子♡)気を付けなさいよ」
カナタは冒険者たちに礼を言いお辞儀をすると獣車をUターンさせて冒険者ギルドに向かった。
しばらく進むといかにも冒険者ギルドという建物に行きついた。
入り口はスイングドア、建物の横には馬車を止められる馬車溜まりがあった。
「サキは獣車で留守番をしていてくれ。
僕とニクで情報を入手してくる」
カナタはサキと別れると冒険者ギルドのスイングドアを押して中に入った。
ギーッギギ
いつもの音が鳴る。
併設の酒場からカナタとニクに視線が刺さる。
カナタはもう慣れっこなので、それを無視すると複数ある窓口から空いている窓口を目指して進んで行った。
大きなギルドは人も多いけれど、窓口も多いので並ばなくて済むのがありがたかった。
並んでいれば、それだけ絡まれる確率が上がるというものだ。
「ようこそ冒険者ギルドへ。
何のご用件でしょうか?」
さすがは辺境伯領領都の冒険者ギルド、子供だと舐めないで対応してくれる。
カナタはDランクの冒険者カードを見せて受付嬢さんに話しかける。
「素材を少し売りたいのと、情報収集をしたいんだけど」
受付嬢さんはカナタのカードの名前年齢ランクを素早くチェックし、少し驚いた表情をしたが、直ぐに笑顔に切り替えた。
「かしこまりました。
素材の売却は20番窓口でお願いします。
情報収集は、どのようなことをお知りになりたいのでしょうか?」
カナタが話のきっかけとするために切り出した素材の売却は別窓口だったようだ。
しかし、情報収集はそのまま受付嬢さんが担当してくれるらしい。
「ここからウルティア国の迷宮に向かいたいんだ。
ウルティア国の情勢を知りたいのと、地図があれば購入したいんだけど」
カナタがそう言うと受付嬢さんの顔が険しくなった。
どうやら何かあったらしい。
「いま、ウルティア国には出国出来ませんよ」
「え?」
寝耳に水だった。これからって時にウルティア国に行けないというのだ。
どうやら何かあったで確定だろう。
「そのウルティア国でダンジョンの氾濫があったようで、こちらにも魔物が向かっているという情報なのです。
なので、ウルティア国との国境は閉鎖、ここライジニアからも国境の街ガーディアまで領軍と冒険者の混成軍が出陣する予定です」
それであの高ランク冒険者パーティーも隣町から呼ばれていたのだった。
カナタはいきなりウルティア国へ向かうことが出来なくなった。
だが、それは不幸の第一弾にすぎなかった。
「カナタさんは11才ですが、Dランク冒険者なのですね。
申し訳ありませんが、緊急招集でDランク以上は強制参加になります」
「えー!」
カナタは冒険者カードを見せたことが裏目に出て混成軍に強制参加決定となってしまった。
あれだけの幸運値を持っていてもこの不幸は避けられなかった。
いや、もしかするとこの先は不幸ではないのかもしれない……。
ライジニアは他の街とは違って、入街税といったものを徴収するどころか、街への出入りが自由だった。
しかし、街へと入って直ぐに、カナタたちは不穏な雰囲気に戸惑った。
街全体がピリピリしているのだ。
「何かあったんですかね~?」
サキも嫌な空気を感じ取って呟く。
「とりあえず冒険者ギルドに行けば何かわかるかもしれないね」
と思ったカナタだったが、ライジン辺境伯領領都であるライジニアは、王都かと見紛うほどに巨大な街だった。
冒険者ギルドの場所が見渡してもわからないほど街が広かったのだ。
カナタは周囲を見廻すとあるアイデアを思い付いた。
「あの冒険者パーティーに着いて行こう」
カナタたちの目の前には前衛職らしい戦士2人と斥候職1人、魔法職2人と思しき冒険者パーティーが歩いていた。
どう見ても高ランクパーティー、この時間――夕方近く――に門をくぐったばかりの冒険者が歩いていく先といえば冒険者ギルドだろうと当て込んだのだ。
大通りを進む冒険者たち、その後ろをゆっくりついていく獣車、バレバレである。
急に冒険者が右折した。慌ててカナタたちが右折すると、目の前に冒険者が立ち塞がっていた。
「俺たちの後をつけていたようだが、何の用だ?」
冒険者たちは険しい表情でカナタたちに詰め寄った。
「ああ、すみません。
勝手に冒険者ギルドまで案内してもらおうかと思って……」
カナタたちが子供と女ばかりだと気付き、武器にかけていた手を降ろす冒険者たち。
「そんなことなら、こそこそするな。
最初から声をかけてくれれば、俺たちだって警戒しないで済んだぞ」
尤もな話である。
「ごめんなさい」
カナタは素直に謝った。
その様子に冒険者たちは溜め息をつき、しょうがないなとカナタたちを許してくれた。
「だが、俺たちが向かっているのは冒険者ギルドではないぞ」
「え?」
想定外だった。
「俺たちは、別の街で依頼を受けてこの街に来たので、今向かっているのは雇い主の辺境伯様のところだ」
「だから私たちに付いて来ても、冒険者ギルドには辿り着けないわよ」
「そうなの?」
魔法職の女性はクスリと笑うと親切に冒険者ギルドへの道を教えてくれた。
「いまの道を左折した方にあるはずよ」
魔法職の女性(アラサー)が言うには、辺境伯様のお屋敷と冒険者ギルドは完全に真逆だったらしい。
「ありがとうお姉さん」
カナタ(11才見た目は7才)にお姉さんと言われた魔法職28才は身もだえた。
このぐらいの子供がいてもおかしくない年齢だったから、普段ならおばさんと言われるところだからだ。
「(いやだ可愛い子♡)気を付けなさいよ」
カナタは冒険者たちに礼を言いお辞儀をすると獣車をUターンさせて冒険者ギルドに向かった。
しばらく進むといかにも冒険者ギルドという建物に行きついた。
入り口はスイングドア、建物の横には馬車を止められる馬車溜まりがあった。
「サキは獣車で留守番をしていてくれ。
僕とニクで情報を入手してくる」
カナタはサキと別れると冒険者ギルドのスイングドアを押して中に入った。
ギーッギギ
いつもの音が鳴る。
併設の酒場からカナタとニクに視線が刺さる。
カナタはもう慣れっこなので、それを無視すると複数ある窓口から空いている窓口を目指して進んで行った。
大きなギルドは人も多いけれど、窓口も多いので並ばなくて済むのがありがたかった。
並んでいれば、それだけ絡まれる確率が上がるというものだ。
「ようこそ冒険者ギルドへ。
何のご用件でしょうか?」
さすがは辺境伯領領都の冒険者ギルド、子供だと舐めないで対応してくれる。
カナタはDランクの冒険者カードを見せて受付嬢さんに話しかける。
「素材を少し売りたいのと、情報収集をしたいんだけど」
受付嬢さんはカナタのカードの名前年齢ランクを素早くチェックし、少し驚いた表情をしたが、直ぐに笑顔に切り替えた。
「かしこまりました。
素材の売却は20番窓口でお願いします。
情報収集は、どのようなことをお知りになりたいのでしょうか?」
カナタが話のきっかけとするために切り出した素材の売却は別窓口だったようだ。
しかし、情報収集はそのまま受付嬢さんが担当してくれるらしい。
「ここからウルティア国の迷宮に向かいたいんだ。
ウルティア国の情勢を知りたいのと、地図があれば購入したいんだけど」
カナタがそう言うと受付嬢さんの顔が険しくなった。
どうやら何かあったらしい。
「いま、ウルティア国には出国出来ませんよ」
「え?」
寝耳に水だった。これからって時にウルティア国に行けないというのだ。
どうやら何かあったで確定だろう。
「そのウルティア国でダンジョンの氾濫があったようで、こちらにも魔物が向かっているという情報なのです。
なので、ウルティア国との国境は閉鎖、ここライジニアからも国境の街ガーディアまで領軍と冒険者の混成軍が出陣する予定です」
それであの高ランク冒険者パーティーも隣町から呼ばれていたのだった。
カナタはいきなりウルティア国へ向かうことが出来なくなった。
だが、それは不幸の第一弾にすぎなかった。
「カナタさんは11才ですが、Dランク冒険者なのですね。
申し訳ありませんが、緊急招集でDランク以上は強制参加になります」
「えー!」
カナタは冒険者カードを見せたことが裏目に出て混成軍に強制参加決定となってしまった。
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