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ウルティア国戦役編
190 ヒナ、原油に食いつく
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お知らせ
コメントで指摘され誤読されやすいと感じたため、36、37、53、56話を加筆修正しました。
違和感を感じずに読めた方には蛇足な表現ですので、読み直す必要はないかと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「何その魔導具は?」
カナタがヒナの研究室にSRアイテムである【油田】の魔導具を持ち込むと、ヒナは怪訝そうな顔で訊ねて来た。
その魔導具は円柱に高足が付いていて、その円柱の下部に蛇口のようなものが付いていた。
その蛇口の上には魔力操作用のパネルがあり、何やら細かい操作が出来るようだった。
見る人が見れば足の付いたドラム缶だった。
「ここに魔力を流すと、ほら」
カナタが桶を置き実演すると蛇口のようなものから黒茶色の液体が出て来た。
「ちょっと、何それ! くっさ!
ああ、止めて止めて部屋に空気が汚れる!」
蛇口のようなものは、本物の蛇口のように開け閉めする機能はなく、垂れ流しだった。
ヒナの研究室に原油の揮発性の臭いが広がる。
「いや、これって出すと一定量出ないと止まらないんだ」
「だったら、ここで出さないでよ!」
桶をいっぱいにして原油が止まる。
丁度2ガロンぐらいだろうか。
原油は1バレールが標準単位で、それが42米ガロンになるので、2ガロンならば7.6リットルぐらいだろう。
なぜか単位が地球標準なのが気になるが、おそらくこの魔導具を作った人物が転生者なのだろう。
「あーもう、石油臭い!」
ヒナは研究室の窓を開けに行った。
そして窓を開けるとピタリと固まった。
「石油?」
ヒナはそう言うと一瞬でカナタの前まで戻って来た。
なんだか目つきが変わっていて怖い。
「ちょっと石油がこの世界にもあるのね!
しかも魔導具から出るの?」
「うん、何か知らないけど、埋蔵量が尽きるまで出るらしいよ」
埋蔵量という言い方が示すのは、何処かの油田と時空魔法で繋がっていて、そこを掘りつくすまで出るということだと推測出来た。
これがSRアイテムとして出て来るとは、ある意味大当たりなのだが、この世界の人にとっては使い道のない燃える水が出るだけであり、ハズレと見做されていたアイテムだった。
「それに、このパネルで操作すると量とかいろいろ調整できるみたい」
この魔導具、ハズレと見做されていたため、細かい操作方法が判明していなかった。
カナタの見立てでは、量の調整と成分の指定も出来そうだった。
「そのパネルの捜査方法も調べろということね?」
「たぶん、そうすれ便利になると思うんだ」
「わかった。
それより、原油からはガソリンとか灯油とか、プラスチック原料やポリプロピレンなんかも作れるわよね?」
カナタが魔導具の便利機能の核心に迫ったのだが、ヒナはそれをスルーした。
「うん、そうだね」
カナタには理解出来ない単語が並んだのだが、知らないはずの知識が肯定していた。
「ヒナは作り方知ってるの?」
「知らないわよ?」
即答だった。
「でも、錬金術には頭の片隅にでも残ってる記憶から物を生み出す力があるわ。
化学の教科書で読んだとか、鉄〇ダッシュでやっていたのをテレビで見たとか、その程度で創れる可能性があるわ」
もはや、カナタには知らないはずなのに知っている単語が羅列されて、混乱するだけだった。
しかし、ヒナにはその錬金術の力でリチウムイオン電池を作りだす一歩手前まで行った実績があった。
任せる価値はある。
「じゃあ、これを預けるから研究しといてくれない?」
「当たり前よ! こんな面白い研究、私以外の誰がやるのよ!
たしか原油を加熱蒸留して成分を分離するはずだわ。
その蒸留装置を……。いや錬金術を使えば簡単に分離できる!」
既にヒナは思索研究の海に沈んでいた。
やはりヒナに任せて間違いなかった。
完成品が出来れば、ヒナよりレベルの高いカナタならば、同じものを大量に作れるだろう。
材料の原油は埋蔵量が尽きるまで出続けるのだ。
これが後にプラスチックとポリ袋の開発に繋がるのだが、それにはまだ時間が必要だった。
コメントで指摘され誤読されやすいと感じたため、36、37、53、56話を加筆修正しました。
違和感を感じずに読めた方には蛇足な表現ですので、読み直す必要はないかと思います。
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「何その魔導具は?」
カナタがヒナの研究室にSRアイテムである【油田】の魔導具を持ち込むと、ヒナは怪訝そうな顔で訊ねて来た。
その魔導具は円柱に高足が付いていて、その円柱の下部に蛇口のようなものが付いていた。
その蛇口の上には魔力操作用のパネルがあり、何やら細かい操作が出来るようだった。
見る人が見れば足の付いたドラム缶だった。
「ここに魔力を流すと、ほら」
カナタが桶を置き実演すると蛇口のようなものから黒茶色の液体が出て来た。
「ちょっと、何それ! くっさ!
ああ、止めて止めて部屋に空気が汚れる!」
蛇口のようなものは、本物の蛇口のように開け閉めする機能はなく、垂れ流しだった。
ヒナの研究室に原油の揮発性の臭いが広がる。
「いや、これって出すと一定量出ないと止まらないんだ」
「だったら、ここで出さないでよ!」
桶をいっぱいにして原油が止まる。
丁度2ガロンぐらいだろうか。
原油は1バレールが標準単位で、それが42米ガロンになるので、2ガロンならば7.6リットルぐらいだろう。
なぜか単位が地球標準なのが気になるが、おそらくこの魔導具を作った人物が転生者なのだろう。
「あーもう、石油臭い!」
ヒナは研究室の窓を開けに行った。
そして窓を開けるとピタリと固まった。
「石油?」
ヒナはそう言うと一瞬でカナタの前まで戻って来た。
なんだか目つきが変わっていて怖い。
「ちょっと石油がこの世界にもあるのね!
しかも魔導具から出るの?」
「うん、何か知らないけど、埋蔵量が尽きるまで出るらしいよ」
埋蔵量という言い方が示すのは、何処かの油田と時空魔法で繋がっていて、そこを掘りつくすまで出るということだと推測出来た。
これがSRアイテムとして出て来るとは、ある意味大当たりなのだが、この世界の人にとっては使い道のない燃える水が出るだけであり、ハズレと見做されていたアイテムだった。
「それに、このパネルで操作すると量とかいろいろ調整できるみたい」
この魔導具、ハズレと見做されていたため、細かい操作方法が判明していなかった。
カナタの見立てでは、量の調整と成分の指定も出来そうだった。
「そのパネルの捜査方法も調べろということね?」
「たぶん、そうすれ便利になると思うんだ」
「わかった。
それより、原油からはガソリンとか灯油とか、プラスチック原料やポリプロピレンなんかも作れるわよね?」
カナタが魔導具の便利機能の核心に迫ったのだが、ヒナはそれをスルーした。
「うん、そうだね」
カナタには理解出来ない単語が並んだのだが、知らないはずの知識が肯定していた。
「ヒナは作り方知ってるの?」
「知らないわよ?」
即答だった。
「でも、錬金術には頭の片隅にでも残ってる記憶から物を生み出す力があるわ。
化学の教科書で読んだとか、鉄〇ダッシュでやっていたのをテレビで見たとか、その程度で創れる可能性があるわ」
もはや、カナタには知らないはずなのに知っている単語が羅列されて、混乱するだけだった。
しかし、ヒナにはその錬金術の力でリチウムイオン電池を作りだす一歩手前まで行った実績があった。
任せる価値はある。
「じゃあ、これを預けるから研究しといてくれない?」
「当たり前よ! こんな面白い研究、私以外の誰がやるのよ!
たしか原油を加熱蒸留して成分を分離するはずだわ。
その蒸留装置を……。いや錬金術を使えば簡単に分離できる!」
既にヒナは思索研究の海に沈んでいた。
やはりヒナに任せて間違いなかった。
完成品が出来れば、ヒナよりレベルの高いカナタならば、同じものを大量に作れるだろう。
材料の原油は埋蔵量が尽きるまで出続けるのだ。
これが後にプラスチックとポリ袋の開発に繋がるのだが、それにはまだ時間が必要だった。
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