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第一話 桜の誕生
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私、神山一葉(こうやまかずは)はごく普通の専業主婦だ。旦那はそれなりの企業に勤めており、お金持ちでは無いが、生活に不自由する事も無い。
子供は長女が5歳。長男が4歳の年子で、やんちゃ盛りだ。そして、私のお腹の中には4か月の新しい命が宿っている。まさに幸せの絶頂と言っても良いだろう。
三人目ともなると流石に、妊婦生活にも慣れが出て来る。余裕と言う訳では無いが、前ほどの不安は感じない。むしろ2人の子供達の方が新しい命の誕生に興味津々だ。
お腹の子は順調に育ち、出産を迎える。4月に入ってすぐに予定日より1週間早く、その子は産まれた。
母子共に健康その言葉を聞き、私も旦那もホッとした。長女の名前が楓(かえで)長男の名前が樹(いつき)そして私の名前が一葉と植物の名前が入って居る。
生まれた次女の名前は桜(さくら)にしようと旦那が言い。家族全員が賛成した。
桜の季節に産まれたから桜と言うのはちょっと安易かなとも思ったが、生まれた子供の雰囲気となんとなくマッチしていた気がした。
桜が生まれて1年。何事も無く過ごし、私達家族は幸せの中に居た。
しかし、2年が経とうとする頃、違和感が出て来た。桜の言葉が出ないのだ。今までの定期健診では特に異常は無かった。でも、他の2人に比べて言葉が遅いのは少し引っ掛かる。
上の子の幼稚園のママ友に相談すると、気になるのなら一度専門のお医者さんに診せて見たらと言われた。旦那と相談して、評判の良い発達障害の専門医を訪ねる事にした。
評判が良い病院はなかなか予約が取れない。ここ数年で、発達障害の認知度が高くなり、病院が足りない状況らしい。結局、2か月待ちでなんとか受診出来る事になった。
お医者さんが言うには2歳の段階で言葉が出ないと言うのは割と多い症状で、それだけでは何とも言えないらしい。まだ焦って結論を出す時期では無いと言う。
子供の成長はその子によって違う。なので単に言葉が遅れているだけと言う例が多いそうだ。子供にも個性と言う物があるらしい。なので現時点では結論は出せないらしい。暫く様子を見る事になった。
月に1回病院に通う事になったが、その後半年経っても桜の言葉は出なかった。流石に医師もこれはおかしいと言う事になり。発達障害あるいは自閉症の可能性があると言われた。だが、まだその時点では希望を捨てきれずに居た。
そして、3歳になった桜は乳幼児健康診査を受けた。そこでも桜は発達障害の疑いがあると言う診断を受け、専門医の診断が必要とされた。
最初に行った児童精神科の先生にその事を話すと、精密な検査を受ける事になった。
結果、発達障害+自閉症と言う結果が出た。
私達夫婦は絶望に打ちのめされた。上の子達にはどう説明すれば良いか解らない。
とりあえず2週間に1回の療育に行く事になった。また、発達を促す意味で幼稚園に行く事を勧められた。
しかし、幼稚園探しは簡単では無かった。上の子が通っていた幼稚園では発達障害の子は見られないと断られた。そうで無くても幼稚園は何処も一杯で空きが無い。
市役所に行き、そう言った子供を受け入れてくれる幼稚園のリストを貰ったが、どれも、家から遠く、定員が一杯でキャンセル待ちの状態だった。
児童精神科の先生にその事を話すと、この地域では、受け入れてくれる幼稚園が少ない事を知らされた。そして、1軒の保育園を紹介された。
藁にもすがる思いで、その保育園に行くと、発達障害の子を積極的に受け入れている事が解った。園長先生はとても優しい方で、お試しで通って見る事になった。
どうしても桜に掛かりきりになってしまう。上の子達は既に小学生だが、まだ低学年なので桜の事を理解するのは難しいらしく、桜に掛かりきりの私の気を引く様な行動を取る様になった。
流石に一人では全てをこなす事は難しい。どうしても上の子供達に負担が掛かってしまう。旦那に愚痴りたいが、旦那は生活を支えてくれている。こうやって、生活出来るのも旦那の稼ぎがあるからだ、これ以上の負担は求められない。
ある日、仕事から帰って来た旦那に言われた事がある。
「俺達に桜を育てるのは無理なんじゃ無いか?専門の施設に入れる事も考えた方が良いかもしれないぞ。」
私はショックを受けた。実を言えば私も少し考えた事があったからだ。だが、桜は私の子だ。私が育てなければならない。その気持ちが、強くなった。
お試し保育の3か月が過ぎ、桜は正式に保育園に通う事になった。これで、ほんの少しだが、上の子達に割ける時間が出来た。
保育園に通い始めた桜はようやく少しずつ言葉が出る様になって来た。2週間に1回の療育も効果があったのかもしれない。私は大いに喜んだが、家族は微妙な反応だった。おそらくこの時点から少しずつ家族の関係が悪化し始めたのでは無いかと思う。
子供は長女が5歳。長男が4歳の年子で、やんちゃ盛りだ。そして、私のお腹の中には4か月の新しい命が宿っている。まさに幸せの絶頂と言っても良いだろう。
三人目ともなると流石に、妊婦生活にも慣れが出て来る。余裕と言う訳では無いが、前ほどの不安は感じない。むしろ2人の子供達の方が新しい命の誕生に興味津々だ。
お腹の子は順調に育ち、出産を迎える。4月に入ってすぐに予定日より1週間早く、その子は産まれた。
母子共に健康その言葉を聞き、私も旦那もホッとした。長女の名前が楓(かえで)長男の名前が樹(いつき)そして私の名前が一葉と植物の名前が入って居る。
生まれた次女の名前は桜(さくら)にしようと旦那が言い。家族全員が賛成した。
桜の季節に産まれたから桜と言うのはちょっと安易かなとも思ったが、生まれた子供の雰囲気となんとなくマッチしていた気がした。
桜が生まれて1年。何事も無く過ごし、私達家族は幸せの中に居た。
しかし、2年が経とうとする頃、違和感が出て来た。桜の言葉が出ないのだ。今までの定期健診では特に異常は無かった。でも、他の2人に比べて言葉が遅いのは少し引っ掛かる。
上の子の幼稚園のママ友に相談すると、気になるのなら一度専門のお医者さんに診せて見たらと言われた。旦那と相談して、評判の良い発達障害の専門医を訪ねる事にした。
評判が良い病院はなかなか予約が取れない。ここ数年で、発達障害の認知度が高くなり、病院が足りない状況らしい。結局、2か月待ちでなんとか受診出来る事になった。
お医者さんが言うには2歳の段階で言葉が出ないと言うのは割と多い症状で、それだけでは何とも言えないらしい。まだ焦って結論を出す時期では無いと言う。
子供の成長はその子によって違う。なので単に言葉が遅れているだけと言う例が多いそうだ。子供にも個性と言う物があるらしい。なので現時点では結論は出せないらしい。暫く様子を見る事になった。
月に1回病院に通う事になったが、その後半年経っても桜の言葉は出なかった。流石に医師もこれはおかしいと言う事になり。発達障害あるいは自閉症の可能性があると言われた。だが、まだその時点では希望を捨てきれずに居た。
そして、3歳になった桜は乳幼児健康診査を受けた。そこでも桜は発達障害の疑いがあると言う診断を受け、専門医の診断が必要とされた。
最初に行った児童精神科の先生にその事を話すと、精密な検査を受ける事になった。
結果、発達障害+自閉症と言う結果が出た。
私達夫婦は絶望に打ちのめされた。上の子達にはどう説明すれば良いか解らない。
とりあえず2週間に1回の療育に行く事になった。また、発達を促す意味で幼稚園に行く事を勧められた。
しかし、幼稚園探しは簡単では無かった。上の子が通っていた幼稚園では発達障害の子は見られないと断られた。そうで無くても幼稚園は何処も一杯で空きが無い。
市役所に行き、そう言った子供を受け入れてくれる幼稚園のリストを貰ったが、どれも、家から遠く、定員が一杯でキャンセル待ちの状態だった。
児童精神科の先生にその事を話すと、この地域では、受け入れてくれる幼稚園が少ない事を知らされた。そして、1軒の保育園を紹介された。
藁にもすがる思いで、その保育園に行くと、発達障害の子を積極的に受け入れている事が解った。園長先生はとても優しい方で、お試しで通って見る事になった。
どうしても桜に掛かりきりになってしまう。上の子達は既に小学生だが、まだ低学年なので桜の事を理解するのは難しいらしく、桜に掛かりきりの私の気を引く様な行動を取る様になった。
流石に一人では全てをこなす事は難しい。どうしても上の子供達に負担が掛かってしまう。旦那に愚痴りたいが、旦那は生活を支えてくれている。こうやって、生活出来るのも旦那の稼ぎがあるからだ、これ以上の負担は求められない。
ある日、仕事から帰って来た旦那に言われた事がある。
「俺達に桜を育てるのは無理なんじゃ無いか?専門の施設に入れる事も考えた方が良いかもしれないぞ。」
私はショックを受けた。実を言えば私も少し考えた事があったからだ。だが、桜は私の子だ。私が育てなければならない。その気持ちが、強くなった。
お試し保育の3か月が過ぎ、桜は正式に保育園に通う事になった。これで、ほんの少しだが、上の子達に割ける時間が出来た。
保育園に通い始めた桜はようやく少しずつ言葉が出る様になって来た。2週間に1回の療育も効果があったのかもしれない。私は大いに喜んだが、家族は微妙な反応だった。おそらくこの時点から少しずつ家族の関係が悪化し始めたのでは無いかと思う。
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