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第三話 異変
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ようやく桜との付き合い方も解って来て、生活がだいぶ楽になって来た。上の子達の面倒も若干だが、見る時間を取れる様になって来る。
生活に余裕が出来ると旦那の態度も変わった様に感じる。前はギスギスしていた家族の間の関係もかなり改善した来た様に思える。
桜はもうすぐ4歳を迎えようとしている。楓はもう9歳になった。小学生の内は男児よりも女児の方が発育が早い。楓は漠然とだが、桜が普通の子では無いと言う事を理解し始めている様だ。
それに反して樹はまだ、桜に母親を取られたと言う嫉妬心が残っている。まあ、甘えたい盛りに甘えられなかったと言うのもあるだろう。私が桜の面倒で手が回らなかったと言うのはいい訳かもしれないが、上の子2人には若干の負い目がある。
このまま順調に行けば、桜は普通の子の様に育つのでは無いか?そう思える程順調に、桜の保育園生活は上手く進んでいた。
しかし、その油断が事件を呼んだのかもしれない。
ある晴れた日、保育園に桜を預けた後、家で家事をこなしていた。
突然スマホの着信音が鳴り響く。画面を見ると保育園からだ。私は不安を覚えながらスマホを手に取った。
「お母さん大変です。桜ちゃんが居なくなりました。」
保育園の先生の慌てた声。私の頭は真っ白になる。取る物もとりあえず、車で保育園に向かった。保育園までは30分程掛かる。どうやって辿り着いたのか覚えてない程、気が動転していた。事故を起こさなかったのが奇跡の様だ。
園に着くと園長先生が待っていた。
「先生。桜は?」
「今、先生方と職員が近くを探しています。お母さんには桜ちゃんが行きそうな場所を思い出して欲しいのですが?」
桜が行きそうな場所?そう言われても咄嗟には思いつかない。と言うか、桜が一人で何処かに行くと言う事が考えられない。
「桜ちゃんが居なくなって、そろそろ1時間近く経ちます。子供の足と甘く考えないで下さい。1時間もあれば数キロは歩きますよ。」
数キロ?この近くで桜を連れて買い物をした事はあるが、道を覚えているとは思えない。だとすれば、行き帰りの道の何処か?
いや、もしかしたら。何時も散歩をしている公園がこの近くにある。でもその場所まで桜が歩いて辿り着けるのだろうか?
家から散歩道の公園までは何時も車で通っている。保育園からその公園に直接行った事は無い筈だ。
「心当たりがある様ですね。万が一の可能性があるのなら、探してみる価値はあると思いますよ。」
私はこの辺では有名な総合公園の名前を出した。
「ああ、あの公園なら、ここから近いので何度か散歩に出かけた事がありますよ。」
桜が数回の散歩で公園までの道のりを覚えたと言うのだろうか。
私は車で公園まで向かう事にした。車で向かうと大回りになるが、徒歩だと子供の足でも10分位だそうだ。
公園の駐車場に車を止め。急いで公園内を探し始める。後から保育園の人も何人か応援に来てくれると言う。
ここで見つからなければ警察の厄介になる事になるだろう。そうなると児童相談所が関わって来る。それは避けたい。
しかし、この公園は広い。桜を探すにも何処へ向かったら良いのか解らない。
ふと思い出す。この公園には大きな花壇があって、そこに咲く花に桜は異常に興味を持っていた。
急いで花壇の方へ駆けて行く。木々や背の高い植物のせいでなかなか花壇が見えない。焦りと期待が入り混じった感情で最短距離を走る。
はたして、そこに桜は居た。花壇の花をジーっと見つめている。
「桜!」
思わず感情が言葉になると、桜が吃驚した顔で振り向いた。
「まま。」
「どうしたの?お花を見に来たの?」
切れた息を悟られない様にゆっくりと声を絞り出す。
「うん。」
「そっか。さーちゃんはお花が大好きだもんね。でも、一人で見に来ちゃ駄目だよ。ママか先生に言わないと。」
「どうして?」
「さーちゃんはママが突然居なくなったら悲しくない?」
「かなしい。」
「ママも先生も同じだよ。さーちゃんが突然居なくなって先生達とても悲しんでるよ。」
「せんせい、かなしいの?」
「ママも悲しかったよ。」
そう言うと桜は黙ってしまった。恐らく自分の感情が何なのか理解出来ていないが何かを感じているのだろう。
すぐに保育園に連絡を入れ、桜が見つかった事を報告する。
詳しい話は明日と言う事で、このまま帰宅する事になった。
やはり、この子を育てて行くのは並大抵の事では無い。ちょっとした油断がこんな事態に繋がってしまった。
家に帰ると既に上の子達が帰っていた。楓は何かを察した様で、特に何も言わなかったが。樹は遅いよーと、文句を言っていた。
夜、子供達が寝た後、旦那が帰宅した。私は旦那の顔を見た途端涙が止まらなくなってしまう。
「どうした?」
旦那が心配した声で聞いて来る。
「御免なさい。今日、保育園から桜が居なくなってしまって。」
「桜は無事なのか?」
「桜は無事だったわ。でも、桜がこんな事件を引き起こすなんて、多分、私の油断が原因じゃ無いかと。」
旦那は一瞬黙った後、ゆっくりと話し出す。
「一葉は良くやってると思うよ。でも、これが今後も続くようなら、色々と考え直さないと行けないかもしれないな。」
考え直すと言うのは恐らく施設の事だろう。
「桜は悪く無いわ。」
「ああ、それは俺も解って居る。」
生活に余裕が出来ると旦那の態度も変わった様に感じる。前はギスギスしていた家族の間の関係もかなり改善した来た様に思える。
桜はもうすぐ4歳を迎えようとしている。楓はもう9歳になった。小学生の内は男児よりも女児の方が発育が早い。楓は漠然とだが、桜が普通の子では無いと言う事を理解し始めている様だ。
それに反して樹はまだ、桜に母親を取られたと言う嫉妬心が残っている。まあ、甘えたい盛りに甘えられなかったと言うのもあるだろう。私が桜の面倒で手が回らなかったと言うのはいい訳かもしれないが、上の子2人には若干の負い目がある。
このまま順調に行けば、桜は普通の子の様に育つのでは無いか?そう思える程順調に、桜の保育園生活は上手く進んでいた。
しかし、その油断が事件を呼んだのかもしれない。
ある晴れた日、保育園に桜を預けた後、家で家事をこなしていた。
突然スマホの着信音が鳴り響く。画面を見ると保育園からだ。私は不安を覚えながらスマホを手に取った。
「お母さん大変です。桜ちゃんが居なくなりました。」
保育園の先生の慌てた声。私の頭は真っ白になる。取る物もとりあえず、車で保育園に向かった。保育園までは30分程掛かる。どうやって辿り着いたのか覚えてない程、気が動転していた。事故を起こさなかったのが奇跡の様だ。
園に着くと園長先生が待っていた。
「先生。桜は?」
「今、先生方と職員が近くを探しています。お母さんには桜ちゃんが行きそうな場所を思い出して欲しいのですが?」
桜が行きそうな場所?そう言われても咄嗟には思いつかない。と言うか、桜が一人で何処かに行くと言う事が考えられない。
「桜ちゃんが居なくなって、そろそろ1時間近く経ちます。子供の足と甘く考えないで下さい。1時間もあれば数キロは歩きますよ。」
数キロ?この近くで桜を連れて買い物をした事はあるが、道を覚えているとは思えない。だとすれば、行き帰りの道の何処か?
いや、もしかしたら。何時も散歩をしている公園がこの近くにある。でもその場所まで桜が歩いて辿り着けるのだろうか?
家から散歩道の公園までは何時も車で通っている。保育園からその公園に直接行った事は無い筈だ。
「心当たりがある様ですね。万が一の可能性があるのなら、探してみる価値はあると思いますよ。」
私はこの辺では有名な総合公園の名前を出した。
「ああ、あの公園なら、ここから近いので何度か散歩に出かけた事がありますよ。」
桜が数回の散歩で公園までの道のりを覚えたと言うのだろうか。
私は車で公園まで向かう事にした。車で向かうと大回りになるが、徒歩だと子供の足でも10分位だそうだ。
公園の駐車場に車を止め。急いで公園内を探し始める。後から保育園の人も何人か応援に来てくれると言う。
ここで見つからなければ警察の厄介になる事になるだろう。そうなると児童相談所が関わって来る。それは避けたい。
しかし、この公園は広い。桜を探すにも何処へ向かったら良いのか解らない。
ふと思い出す。この公園には大きな花壇があって、そこに咲く花に桜は異常に興味を持っていた。
急いで花壇の方へ駆けて行く。木々や背の高い植物のせいでなかなか花壇が見えない。焦りと期待が入り混じった感情で最短距離を走る。
はたして、そこに桜は居た。花壇の花をジーっと見つめている。
「桜!」
思わず感情が言葉になると、桜が吃驚した顔で振り向いた。
「まま。」
「どうしたの?お花を見に来たの?」
切れた息を悟られない様にゆっくりと声を絞り出す。
「うん。」
「そっか。さーちゃんはお花が大好きだもんね。でも、一人で見に来ちゃ駄目だよ。ママか先生に言わないと。」
「どうして?」
「さーちゃんはママが突然居なくなったら悲しくない?」
「かなしい。」
「ママも先生も同じだよ。さーちゃんが突然居なくなって先生達とても悲しんでるよ。」
「せんせい、かなしいの?」
「ママも悲しかったよ。」
そう言うと桜は黙ってしまった。恐らく自分の感情が何なのか理解出来ていないが何かを感じているのだろう。
すぐに保育園に連絡を入れ、桜が見つかった事を報告する。
詳しい話は明日と言う事で、このまま帰宅する事になった。
やはり、この子を育てて行くのは並大抵の事では無い。ちょっとした油断がこんな事態に繋がってしまった。
家に帰ると既に上の子達が帰っていた。楓は何かを察した様で、特に何も言わなかったが。樹は遅いよーと、文句を言っていた。
夜、子供達が寝た後、旦那が帰宅した。私は旦那の顔を見た途端涙が止まらなくなってしまう。
「どうした?」
旦那が心配した声で聞いて来る。
「御免なさい。今日、保育園から桜が居なくなってしまって。」
「桜は無事なのか?」
「桜は無事だったわ。でも、桜がこんな事件を引き起こすなんて、多分、私の油断が原因じゃ無いかと。」
旦那は一瞬黙った後、ゆっくりと話し出す。
「一葉は良くやってると思うよ。でも、これが今後も続くようなら、色々と考え直さないと行けないかもしれないな。」
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「桜は悪く無いわ。」
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