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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。

9 聖女君、かわいい

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「あ、ちょっと待ってて。てんちょー! 俺ちょっと休憩取っていいっすかー!」

「いいよー!」

「あざーっす!」

 そう言ったボーイッシュなウェイトレスさん……否、ボーイッシュな元聖女さんは、近くの椅子を持ってきて私達のテーブルの前に陣取った……と思ったら何か忘れ物をしたかのように厨房へと走っていき、オレンジジュースを持参して着席。

「社割で飲めるんだ。良いだろ」

「そ、そうですね」

「い、良いんじゃないかな」

 そう言って私とシルヴィが苦笑いを浮かべていると、ボーイッシュ聖女さんは言う。

「俺の名前はステラって言うんだ。同じ追放された聖女同士これから仲良くしていこうぜ」

「ど、どうも、シルヴィって言います」

「私はアンナ。よ、よろしく」

「よろしく!」

 妙にテンションが高いステラと自己紹介を交わした。
 ……しかし追放された聖女同士仲良く……ね。

「しかしまさかこんな所で三人目に出会えるとは思わなかったよ」

「いやー俺もだよ。まさか俺みたいにアホみたいな理由で追放されてる奴がいて、それがまさかの二人もいるなんてよ。こんな事あるか普通。世の中狭いわー」

「いや、普通は無いと思いますよ……というか一人でも追放されてるのがおかしいっていうか……」

「しかも理由が理由だしね。聞いた感じだとステラの所も王様とかの女絡みでしょ?」

「そうなんだよ。聖女の仕事舐めんなってんだよマジで」

「ち、ちなみに後任の人、どんな感じの人でした?」

「あー俺と違ってすっげえ女の子女の子してたわ……俺と違って。すっげえ可愛かった。いや、あの王子にそういう気はねえんだけどさ……なんかすげえ負けた気がした」

「「……」」

 は、反応に困る。
 なんか私達とはまた別なベクトルのダメージの受け方してる!
 な、なんて声を掛けたら良いのか……。

「す、ステラさんも凄く可愛いですよ!」

 シルヴィちゃん行ったぁ!
 この難しい空気にうまく突っ込んだ!
 私も続け!

「そ、そうだよ。ステラさ、すっごい美人さんじゃん!」

 嘘は言っていない。
 この人がさつな喋り方とボーイッシュ差でなんというか……クセはあるんだろうけど、女の私が見てもすっごい美人だと思うよ。

「そ、そうか……ありがと」

 ステラは少し顔を赤らめて視線を反らす。
 ……うん、この人普通に可愛いよマジで。
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