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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。
ex 聖女ちゃん、少し前を向く
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アンナの出した合図で三人は動き出す。
アンナとステラは二手に分かれて迎撃へ。
そしてシルヴィは、自分達を保護しに来た冒険者パーティーの保護だ。
「と、とりあえずドラゴンの攻撃は私が止めますから! 極力この場から動かないでください!」
言いながら四人に元まで戻ってきたシルヴィは、自分達を取り囲むようにドーム状の結界を張る。
だけどこれで仕事が終わった訳ではない。
この結界は最低限度の保険だ。
即興で張れる類いの結界の強度などたかが知れていて、それを薄く伸ばして広範囲に展開しているのだから。
数発程度で破壊はされないだろうけど、おそらく二人が倒しきるまでは持たない。
だから、あくまでこれは保険。
本命は別にある。
そして次の瞬間、視界の端から炎の塊が飛んでくるのに気づいた。
(……そこだ!)
それに合わせるように、薄いドーム状の結界の前に小型の結界が出現。
その一撃を相殺する。
(……や、やった!)
作り出したのは範囲も硬度も必要最低限に抑えた、ドラゴンの攻撃を相殺できる程度の結界。
先程雨のように降り注いだ攻撃を防いだ結界とは違い、一撃で破壊される。
だけどそれでいい。
今は一方向から攻撃が集中する訳ではない。
一撃を防げばその座標の結界は九割九分不要の産物となる。
故にそこに置くのは最低限度の代物でいい。
そこに割くのは最低限度の力でいい。
脳の処理能力のリソースは……同じ事を全方位に的確に行う為とイレギュラーへの対処に使う。
次の瞬間、各方角に複数の結界を展開。
四方八方から放たれるドラゴンの攻撃を、破砕音と共に全て相殺する。
「……す、凄い……的確に全部防いでる」
僧侶の女性が驚愕するように呟き、そして戦士の男がその場の四人の疑問を代表するようにシルヴィにぶつけてくる。
「キミは……君達は何者なんだ……本当に、駆け出しの冒険者なのか……?」
「駆け出しの冒険者ですよ。私とアンナさんは昨日。ステラさんは今朝冒険者になりました」
言いながら炎の雨を的確に防ぎ、そしてその身を使って低空飛行し突進してきたドラゴンを目視で確認して、それに合わせるように地面から硬度の高い結界を生やして轟音と共に受け止める。
「私達が何者か、なんて話は正直説明大変そうなので後でします。だけどとりあえずこの場に関しては多分安心しても大丈夫だと……いや、安心していいと思います」
結界に止められ同時に追突のダメージを負ったドラゴンに対し、他から飛んでくる炎の塊を防ぐ間を縫いながら雷属性の魔術を発動。
動きが止まったドラゴンに落雷が降り注いだ。
「あの人達は……私達は。今まで何十万、何百万の人を守ってきましたから」
……自分に自信は持てない。
昔からドジだったのは間違いなくて。
身に覚えの無い重大なミスを大量に指摘されたときも、自分ならやりかねないと考えてしまって。
アンナとの話で自分が追放された理由が、自分の過失ではなく冗談みたいに馬鹿みたいな理由が原因かもしれないと思えるようになっても、結局それはその馬鹿みたいな理由で追放される程度の存在にしか見られていなかったという事を。
その程度の価値しかない人間だと周囲に認識されていたのだという事を証明してしまうような事にも思えて。
どういう捉え方をしたとしても、元から小さかった自信を取り戻す事は難しかった。
だけど……それでも。
『大丈夫。シルヴィはさ、今まで何十万、何百万の人を守ってきたんだから。四人位余裕だって』
『そうだぞ。自信持て自信』
きっとこれまで立派にやってきたであろう凄い人達に。
自分なんかと一緒に居てくれる人達にそう言って貰えるのなら。
「だから、大丈夫です」
少しだけ、前を向いて歩いていけるような、そんな気がする。
そしてそのまま歩き続けられるように。
此処は全力で頑張ろう。
そう考えながら、再び降り注いだ全ての攻撃を相殺した。
アンナとステラは二手に分かれて迎撃へ。
そしてシルヴィは、自分達を保護しに来た冒険者パーティーの保護だ。
「と、とりあえずドラゴンの攻撃は私が止めますから! 極力この場から動かないでください!」
言いながら四人に元まで戻ってきたシルヴィは、自分達を取り囲むようにドーム状の結界を張る。
だけどこれで仕事が終わった訳ではない。
この結界は最低限度の保険だ。
即興で張れる類いの結界の強度などたかが知れていて、それを薄く伸ばして広範囲に展開しているのだから。
数発程度で破壊はされないだろうけど、おそらく二人が倒しきるまでは持たない。
だから、あくまでこれは保険。
本命は別にある。
そして次の瞬間、視界の端から炎の塊が飛んでくるのに気づいた。
(……そこだ!)
それに合わせるように、薄いドーム状の結界の前に小型の結界が出現。
その一撃を相殺する。
(……や、やった!)
作り出したのは範囲も硬度も必要最低限に抑えた、ドラゴンの攻撃を相殺できる程度の結界。
先程雨のように降り注いだ攻撃を防いだ結界とは違い、一撃で破壊される。
だけどそれでいい。
今は一方向から攻撃が集中する訳ではない。
一撃を防げばその座標の結界は九割九分不要の産物となる。
故にそこに置くのは最低限度の代物でいい。
そこに割くのは最低限度の力でいい。
脳の処理能力のリソースは……同じ事を全方位に的確に行う為とイレギュラーへの対処に使う。
次の瞬間、各方角に複数の結界を展開。
四方八方から放たれるドラゴンの攻撃を、破砕音と共に全て相殺する。
「……す、凄い……的確に全部防いでる」
僧侶の女性が驚愕するように呟き、そして戦士の男がその場の四人の疑問を代表するようにシルヴィにぶつけてくる。
「キミは……君達は何者なんだ……本当に、駆け出しの冒険者なのか……?」
「駆け出しの冒険者ですよ。私とアンナさんは昨日。ステラさんは今朝冒険者になりました」
言いながら炎の雨を的確に防ぎ、そしてその身を使って低空飛行し突進してきたドラゴンを目視で確認して、それに合わせるように地面から硬度の高い結界を生やして轟音と共に受け止める。
「私達が何者か、なんて話は正直説明大変そうなので後でします。だけどとりあえずこの場に関しては多分安心しても大丈夫だと……いや、安心していいと思います」
結界に止められ同時に追突のダメージを負ったドラゴンに対し、他から飛んでくる炎の塊を防ぐ間を縫いながら雷属性の魔術を発動。
動きが止まったドラゴンに落雷が降り注いだ。
「あの人達は……私達は。今まで何十万、何百万の人を守ってきましたから」
……自分に自信は持てない。
昔からドジだったのは間違いなくて。
身に覚えの無い重大なミスを大量に指摘されたときも、自分ならやりかねないと考えてしまって。
アンナとの話で自分が追放された理由が、自分の過失ではなく冗談みたいに馬鹿みたいな理由が原因かもしれないと思えるようになっても、結局それはその馬鹿みたいな理由で追放される程度の存在にしか見られていなかったという事を。
その程度の価値しかない人間だと周囲に認識されていたのだという事を証明してしまうような事にも思えて。
どういう捉え方をしたとしても、元から小さかった自信を取り戻す事は難しかった。
だけど……それでも。
『大丈夫。シルヴィはさ、今まで何十万、何百万の人を守ってきたんだから。四人位余裕だって』
『そうだぞ。自信持て自信』
きっとこれまで立派にやってきたであろう凄い人達に。
自分なんかと一緒に居てくれる人達にそう言って貰えるのなら。
「だから、大丈夫です」
少しだけ、前を向いて歩いていけるような、そんな気がする。
そしてそのまま歩き続けられるように。
此処は全力で頑張ろう。
そう考えながら、再び降り注いだ全ての攻撃を相殺した。
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