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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。
45 聖女さん、合流
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狼煙の上がった方に向かって飛ぶこと一分程。
「あ、アンナさーん!」
出元付近にまで辿り着いた所で、シルヴィが手を振っているのが見えた。
それと掌を頭上に向けて狼煙を上げているステラ……ってステラ動いぐったりしてるんだけど。
で、良く見たらシルヴィの掌がステラに向いているのが見えるけど……もしかして回復魔術とか使ってる?
なんかステラの服もボロボロになってるし……これは、色々と状況を察したよ。
「二人共、大丈夫だった?」
二人の元に降り立った私は開口一番にそう尋ねながら、二人をまじまじと見る。
シルヴィは全く怪我無く大丈夫そうだけど、ステラからは激戦の跡が見受けられる。
結構擦り傷とかを負っていて、見えないだけで他にも色々怪我を負っていてもおかしくないと思う位には服が破れていたりしていて……多分それを治す為にシルヴィが回復魔術を使っているっぽい。
「……いや、ごめん、見るからに大丈夫っぽくないよね」
「いや、なんとか大丈夫……とりあえず負ったのは致命傷みてえな怪我じゃねえから。割と軽傷だよ」
「そうですね。精々何本か骨にヒビとか入ってる位です」
「それ重症じゃない?」
普通に重症だよ。
二人共感覚バグってない?
「いやいや、普通に元気に動ければ軽傷じゃねえか?」
「いやいや骨ヒビ入ってたら普通に元気には動けないって。ほら、実際ステラ今元気じゃないでしょ? 重症だよ」
「うーん、違うんだよそれが」
ステラは言う。
「相手がなんというかエナジードレインの使い手でさ、それで体力持っていかれたのが結構大きくて」
「ああ、それでそんな疲れ切った感じに……」
「あと全身が異常に痺れて歩くこともままならねえ」
「痺れ……そんな厄介な攻撃も撃てるんだあの子」
「すみません、それやったの私です」
「いやどういう状況!?」
「……まあその辺も含めて少し話をしとこうぜ」
ステラが言う。
「あの子って事は、多分俺達が戦った相手とアンナも顔を合わせてる。つまりそのお仲間とアンナが戦ったって訳だ。こんな短い間だったけど、話す事山程あるだろ」
「……あるね」
本当に沢山。
そうして私達はお互いに見て聞いたことを共有する事にした。
私はあの黒装束の男の話を。
ステラとシルヴィは、あの場に現れた黒装束の女の子の話を。
……そして互いに出せる情報を出し尽くして至った結論。
「うーん、結局何も分からないね」
「俺達の方に至っては、そっちに居た男の名前呼んだだけだからな」
「目的とかは検討の付けようもないですね」
三人で情報を擦り合わせた結果、何も分からない事が分かった。
いやほんとに、有益な情報が全く出てこなかったよ。
……向うの目的とかの話に関してはだけど。
「……しっかしアイツも聖女かもしれねえってマジかよ」
「あくまでかもしれないって話だし、私は流石にそんな事あってたまるかって思うんだけどね……でも、その可能性は改めて考えると高いと思う」
私が受け入れられないってだけで、現実的にその可能性は高い。
「さっき説明した通り、あの男は自分に聖女の加護が掛かってるって事を言っていた。多分だけど私はそれを、他人に使える類いの強化魔術だと考えてる……そしてそれを切り離してすぐにあの子が出てきた」
「……だとすると、その加護……もとい強化魔術を付与させてたのはアイツって事になるな」
「付与した本人なら効果が途切れたら分かってもおかしくなさそうですからね」
「……そしてあの子は私達と同等の力を持っていた。私達が得たのはたったこれだけの情報だけど、それだけでもあの子が聖女をやってたって推測するには十分……まあ何度も言うけど受け入れがたい話なんだけどね」
「ま……そうだな」
ステラも頷く。
「多分現役でやってるような奴だったら、こんな所で暗躍みたいな真似はしねえ筈だ。そうでなければ元って事になるけど、止めざるを得ないような能力の衰えも感じられない。歳も……声とか聞いた感じだと俺らと同じくらいかもうちょい下ぐらいだろ」
「……って事は辞めさせられた。追放された、みたいな感じになるんですかね?」
「分からないし、そんな無茶苦茶な事が私達以外にも起きてるなんて考えたくないんだけど……でも、私達がそうである以上、否定は出来ないよ」
「まあ可能性はゼロじゃ無いですよね……残念ですけど」
「……って事はアイツも俺達みたいなふざけた理由で追放されてんのかな……なんか敵ではあるけど、妙な親近感が沸いてくるな」
「確かに……でも、多分今回ばかりは同じじゃないんじゃないかな?」
「というと?」
「……何をやろうとしていたのかは分からないけど、あの子はあの男と何かをしようとしていた……それも目撃した人間を殺さないと行けないような真っ黒な事をだよ」
だからこそ思う。
「追放される原因があの行動だったのか、追放された結果が今回の事なのかは分からないけど……どう考えても事のバックボーンが私達みたいな冗談みたいな話に思えてこない」
「確かに……そうですね」
「まあこれも全部、あの子が追放された聖女っていう仮説が当たっていたらの話なんだけどね」
……とにかく。
例えそうだったとしても、あの子と私達じゃ決定的に何かが違う気がする。
……もっとも、そんなのはどこまで行っても推測でしかなくて。
「でもとりあえずは此処までかな。これ以上はもう一度顔合わせて踏み込んでみないと分からない」
「もう一度……ってなるとまた戦わないと行けなくなりそうですね」
「そうなったら、次はもうちょっとうまくやらねえとな……うん」
「まあ顔会わせる機会があるかどうかも不明だけどね」
向こうもそう簡単に出てこないだろうし。
基本は隠密行動って感じだと思うから。
……と、答えが出ない話をいつまでもしていても仕方がない。
私はここでしておかなければならない話に話題を変えていこうと思う。
「あ、そういえば話変わるんだけど、私が戦ってた所に黄金草生えてたから採取しといたよ」
「「……」」
二人は私の言葉に思わずという風に黙り混んで、そしてやがて力無く言う。
「凄いついでみてえだ……」
「何が本題かもう良く分かんないですね……」
「だよね……」
と、まあ全員して微妙な雰囲気。
だけど流石に目的の物を手に入れてこの空気はまずいと思ったのか、ステラが無理矢理のテンションで言う。
「と、とにかく! これでクエスト達成? いえーい!」
そう言って痺れてあまり動かない手を頭上に持ってくる。
な、なんとなくやりたい事は分かった。
「「うぇーい!」」
私達もテンション高めでハイタッチ。
多分これで正解な筈。
いえーい! 大勝利!
「あ、アンナさーん!」
出元付近にまで辿り着いた所で、シルヴィが手を振っているのが見えた。
それと掌を頭上に向けて狼煙を上げているステラ……ってステラ動いぐったりしてるんだけど。
で、良く見たらシルヴィの掌がステラに向いているのが見えるけど……もしかして回復魔術とか使ってる?
なんかステラの服もボロボロになってるし……これは、色々と状況を察したよ。
「二人共、大丈夫だった?」
二人の元に降り立った私は開口一番にそう尋ねながら、二人をまじまじと見る。
シルヴィは全く怪我無く大丈夫そうだけど、ステラからは激戦の跡が見受けられる。
結構擦り傷とかを負っていて、見えないだけで他にも色々怪我を負っていてもおかしくないと思う位には服が破れていたりしていて……多分それを治す為にシルヴィが回復魔術を使っているっぽい。
「……いや、ごめん、見るからに大丈夫っぽくないよね」
「いや、なんとか大丈夫……とりあえず負ったのは致命傷みてえな怪我じゃねえから。割と軽傷だよ」
「そうですね。精々何本か骨にヒビとか入ってる位です」
「それ重症じゃない?」
普通に重症だよ。
二人共感覚バグってない?
「いやいや、普通に元気に動ければ軽傷じゃねえか?」
「いやいや骨ヒビ入ってたら普通に元気には動けないって。ほら、実際ステラ今元気じゃないでしょ? 重症だよ」
「うーん、違うんだよそれが」
ステラは言う。
「相手がなんというかエナジードレインの使い手でさ、それで体力持っていかれたのが結構大きくて」
「ああ、それでそんな疲れ切った感じに……」
「あと全身が異常に痺れて歩くこともままならねえ」
「痺れ……そんな厄介な攻撃も撃てるんだあの子」
「すみません、それやったの私です」
「いやどういう状況!?」
「……まあその辺も含めて少し話をしとこうぜ」
ステラが言う。
「あの子って事は、多分俺達が戦った相手とアンナも顔を合わせてる。つまりそのお仲間とアンナが戦ったって訳だ。こんな短い間だったけど、話す事山程あるだろ」
「……あるね」
本当に沢山。
そうして私達はお互いに見て聞いたことを共有する事にした。
私はあの黒装束の男の話を。
ステラとシルヴィは、あの場に現れた黒装束の女の子の話を。
……そして互いに出せる情報を出し尽くして至った結論。
「うーん、結局何も分からないね」
「俺達の方に至っては、そっちに居た男の名前呼んだだけだからな」
「目的とかは検討の付けようもないですね」
三人で情報を擦り合わせた結果、何も分からない事が分かった。
いやほんとに、有益な情報が全く出てこなかったよ。
……向うの目的とかの話に関してはだけど。
「……しっかしアイツも聖女かもしれねえってマジかよ」
「あくまでかもしれないって話だし、私は流石にそんな事あってたまるかって思うんだけどね……でも、その可能性は改めて考えると高いと思う」
私が受け入れられないってだけで、現実的にその可能性は高い。
「さっき説明した通り、あの男は自分に聖女の加護が掛かってるって事を言っていた。多分だけど私はそれを、他人に使える類いの強化魔術だと考えてる……そしてそれを切り離してすぐにあの子が出てきた」
「……だとすると、その加護……もとい強化魔術を付与させてたのはアイツって事になるな」
「付与した本人なら効果が途切れたら分かってもおかしくなさそうですからね」
「……そしてあの子は私達と同等の力を持っていた。私達が得たのはたったこれだけの情報だけど、それだけでもあの子が聖女をやってたって推測するには十分……まあ何度も言うけど受け入れがたい話なんだけどね」
「ま……そうだな」
ステラも頷く。
「多分現役でやってるような奴だったら、こんな所で暗躍みたいな真似はしねえ筈だ。そうでなければ元って事になるけど、止めざるを得ないような能力の衰えも感じられない。歳も……声とか聞いた感じだと俺らと同じくらいかもうちょい下ぐらいだろ」
「……って事は辞めさせられた。追放された、みたいな感じになるんですかね?」
「分からないし、そんな無茶苦茶な事が私達以外にも起きてるなんて考えたくないんだけど……でも、私達がそうである以上、否定は出来ないよ」
「まあ可能性はゼロじゃ無いですよね……残念ですけど」
「……って事はアイツも俺達みたいなふざけた理由で追放されてんのかな……なんか敵ではあるけど、妙な親近感が沸いてくるな」
「確かに……でも、多分今回ばかりは同じじゃないんじゃないかな?」
「というと?」
「……何をやろうとしていたのかは分からないけど、あの子はあの男と何かをしようとしていた……それも目撃した人間を殺さないと行けないような真っ黒な事をだよ」
だからこそ思う。
「追放される原因があの行動だったのか、追放された結果が今回の事なのかは分からないけど……どう考えても事のバックボーンが私達みたいな冗談みたいな話に思えてこない」
「確かに……そうですね」
「まあこれも全部、あの子が追放された聖女っていう仮説が当たっていたらの話なんだけどね」
……とにかく。
例えそうだったとしても、あの子と私達じゃ決定的に何かが違う気がする。
……もっとも、そんなのはどこまで行っても推測でしかなくて。
「でもとりあえずは此処までかな。これ以上はもう一度顔合わせて踏み込んでみないと分からない」
「もう一度……ってなるとまた戦わないと行けなくなりそうですね」
「そうなったら、次はもうちょっとうまくやらねえとな……うん」
「まあ顔会わせる機会があるかどうかも不明だけどね」
向こうもそう簡単に出てこないだろうし。
基本は隠密行動って感じだと思うから。
……と、答えが出ない話をいつまでもしていても仕方がない。
私はここでしておかなければならない話に話題を変えていこうと思う。
「あ、そういえば話変わるんだけど、私が戦ってた所に黄金草生えてたから採取しといたよ」
「「……」」
二人は私の言葉に思わずという風に黙り混んで、そしてやがて力無く言う。
「凄いついでみてえだ……」
「何が本題かもう良く分かんないですね……」
「だよね……」
と、まあ全員して微妙な雰囲気。
だけど流石に目的の物を手に入れてこの空気はまずいと思ったのか、ステラが無理矢理のテンションで言う。
「と、とにかく! これでクエスト達成? いえーい!」
そう言って痺れてあまり動かない手を頭上に持ってくる。
な、なんとなくやりたい事は分かった。
「「うぇーい!」」
私達もテンション高めでハイタッチ。
多分これで正解な筈。
いえーい! 大勝利!
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