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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。
47聖女さん達、お昼ごはん
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その後リュウ君の背に乗って、行きの時しばらく歩いたのが馬鹿みたいに思える程の速度で街へと戻ってきた。
できればこのまま王都まで戻れたら楽だけど、そこは私が冒険者ギルドに登録しに行った時もそうだったけど、流石に飛竜に乗って王都の上とか飛ぶのはトラブルになりそうだし、それが原因で追放とかされるのは勘弁だから却下。
そんな訳で体感一瞬で王都から見て北の街へと帰還。
「しっかし改めて考えてもリュウ君無茶苦茶早いよな」
「あのスピード、私達が戦ったドラゴンの比じゃないですよね?」
「そりゃウチのリュウ君だもん。そこらのドラゴンと一緒にしないでよ。リュウ君は特別!」
そんなやり取りを少々ドヤりながらしつつ、私達は直感でおいしそうだと判断したお店へ。
もうお昼を取るにしては遅めな時間という事もあって、待ちは殆どなく席に付けた。
そしてその店自慢らしいハンバーグを頂きながら、今後の予定を軽く詰めていく事にした。
「とりあえずこれ食ったらこのまま王都に戻ってギルドに直行するか?」
「そうだね。終わらせる事は早く終わらせた方が……と思ったけどちょっと待った」
「どうしました? まさかの二件目行きます? 太りますよ?」
「勝手に私の事大食いキャラにしないでくれないかな」
とりあえずシルヴィの的外れな考えは否定しておいて。
「お昼食べたら一回ステラの服をどうにかしない?」
「ちょ、ちょっと待て。動きやすい軽装と思ってきて来たけど、まさか一緒に歩くの恥ずかしい位ダサかったりしたか俺のファッションセンス!」
「いやいや違うよ。寧ろ悪くないし、そもそもステラはスタイル良いから何着ても似合うと思うよ」
「そっか……ありがと」
そう言われて恥ずかしそうに顔を若干赤らめて視線を反らしたステラに私は言う。
「ほら、その動きやすい軽装がボロボロになってるじゃん。幸い……なんというか、センシティブな感じにはなってないけど……こんな格好で帰ったら店長と女将さんに心配かけない」
「あーなるほど」
ステラの怪我はシルヴィが治した訳だけど、怪我を負ったんじゃないかって思える形跡は。危ないことがあったんじゃないかって形跡は衣服に残っていて。
そのまま二人に観られるかもしれない王都に変えるのはちょっとあまり良くないんじゃないかなって。
「あーまあ確かに。ちょっと心配は掛けちまうかもな」
「でしょ?」
「んーでも良いかなこのままで」
「え、どうして」
「いや、一瞬俺もその方が良いかなって思ったんだけど、冷静に考えて衣服全部変わってる方が、何かあった感がヤバくないか?」
「そ、それに関しては私も同感ですね。なんか不自然です」
「た、確かに……言われてみれば」
二人共正論過ぎる……ぐうの音もでないよ。
「まあ多分だけど本来冒険者なんてやってたら軽い怪我なんて付き物だろうし、衣服だって普通に汚れるし駄目になるだろ。お陰様でその怪我だけでもなくなってるんだからさ、このまま元気よくただいまって言ってみるよ」
「……そっか」
まあステラ本人が元々明るい性格なのもあって、実際無茶苦茶元気そうには見えて。
少なくとも生きるか死ぬかの命のやり取りをしてきたようには見えなくて。
だからまあ、ステラならうまくやるかなと思った。
うまくやってほしいなって思った。
「しっかしありがとな。そういう心配してくれてさ」
「そりゃするでしょ」
「当たり前みたいにそう言ってくれて嬉しいよ。なんつーか……やっぱ最近の俺、本当に人との巡り合わせがいいわ」
「それはどうも」
改めてどこか恥ずかしそうにそう言うステラに私はそう返してから切り分けたハンバーグを頬張る。
……人との巡り合わせ、か。
改めてだけど、恵まれているのは私も同じだと思うよ。
ステラをパーティーに入れた時、追放されて二日目にして気の許せる仲間が二人も出来た事が本当に恵まれてるって思ったけれど……もっと言うとそれは私の人生全体における話で。
そう思える誰かが二人もできたってのは、私の人生にとって本当に大きな出来事なんだ。
これまで私の人生の中で信頼が置けると思えた人間なんて、本当に数える程しか居なかったんだかっら。
もっと範囲を狭めれば……久しぶりにできた友達なんだから。
だから、私も凄く恵まれてる。
これから先もできるなら、こういう関係は長続きさせていきたいと思う。
「あ、えーっと、勿論私もそういう心配してましたよ?」
「態々言わなくても分かってるよシルヴィ」
笑みを浮かべてそう言ったステラは、どこか機嫌良さそうに言う。
「そうだ二人共それだけで足りるか? 良かったら俺の一切れ持ってってくれよ。特にアンナ」
「あ、それは大丈夫です」
「うん、私も……って特にって私の大食いキャラ継続してない? 違うよ?」
確かに凄いカロリー消費した気がするけど、一人前で足りてるから。
とまあそれからも和気藹々と食事を進めた。
楽しく美味しい食事だったと思う。
……さあ、これが終わったら依頼の報告だ。
駆け出し冒険者がSランクの依頼をクリアしてきた訳だけど、どんな反応されるかな。
ちょっと楽しみ……なのとシズクが色んな意味で無事かどうか心配。
だからまあそんな訳で、食事を終えた私達は期待と良く分からない不安を胸に抱いて、冒険者ギルドへと向かう事にした。
できればこのまま王都まで戻れたら楽だけど、そこは私が冒険者ギルドに登録しに行った時もそうだったけど、流石に飛竜に乗って王都の上とか飛ぶのはトラブルになりそうだし、それが原因で追放とかされるのは勘弁だから却下。
そんな訳で体感一瞬で王都から見て北の街へと帰還。
「しっかし改めて考えてもリュウ君無茶苦茶早いよな」
「あのスピード、私達が戦ったドラゴンの比じゃないですよね?」
「そりゃウチのリュウ君だもん。そこらのドラゴンと一緒にしないでよ。リュウ君は特別!」
そんなやり取りを少々ドヤりながらしつつ、私達は直感でおいしそうだと判断したお店へ。
もうお昼を取るにしては遅めな時間という事もあって、待ちは殆どなく席に付けた。
そしてその店自慢らしいハンバーグを頂きながら、今後の予定を軽く詰めていく事にした。
「とりあえずこれ食ったらこのまま王都に戻ってギルドに直行するか?」
「そうだね。終わらせる事は早く終わらせた方が……と思ったけどちょっと待った」
「どうしました? まさかの二件目行きます? 太りますよ?」
「勝手に私の事大食いキャラにしないでくれないかな」
とりあえずシルヴィの的外れな考えは否定しておいて。
「お昼食べたら一回ステラの服をどうにかしない?」
「ちょ、ちょっと待て。動きやすい軽装と思ってきて来たけど、まさか一緒に歩くの恥ずかしい位ダサかったりしたか俺のファッションセンス!」
「いやいや違うよ。寧ろ悪くないし、そもそもステラはスタイル良いから何着ても似合うと思うよ」
「そっか……ありがと」
そう言われて恥ずかしそうに顔を若干赤らめて視線を反らしたステラに私は言う。
「ほら、その動きやすい軽装がボロボロになってるじゃん。幸い……なんというか、センシティブな感じにはなってないけど……こんな格好で帰ったら店長と女将さんに心配かけない」
「あーなるほど」
ステラの怪我はシルヴィが治した訳だけど、怪我を負ったんじゃないかって思える形跡は。危ないことがあったんじゃないかって形跡は衣服に残っていて。
そのまま二人に観られるかもしれない王都に変えるのはちょっとあまり良くないんじゃないかなって。
「あーまあ確かに。ちょっと心配は掛けちまうかもな」
「でしょ?」
「んーでも良いかなこのままで」
「え、どうして」
「いや、一瞬俺もその方が良いかなって思ったんだけど、冷静に考えて衣服全部変わってる方が、何かあった感がヤバくないか?」
「そ、それに関しては私も同感ですね。なんか不自然です」
「た、確かに……言われてみれば」
二人共正論過ぎる……ぐうの音もでないよ。
「まあ多分だけど本来冒険者なんてやってたら軽い怪我なんて付き物だろうし、衣服だって普通に汚れるし駄目になるだろ。お陰様でその怪我だけでもなくなってるんだからさ、このまま元気よくただいまって言ってみるよ」
「……そっか」
まあステラ本人が元々明るい性格なのもあって、実際無茶苦茶元気そうには見えて。
少なくとも生きるか死ぬかの命のやり取りをしてきたようには見えなくて。
だからまあ、ステラならうまくやるかなと思った。
うまくやってほしいなって思った。
「しっかしありがとな。そういう心配してくれてさ」
「そりゃするでしょ」
「当たり前みたいにそう言ってくれて嬉しいよ。なんつーか……やっぱ最近の俺、本当に人との巡り合わせがいいわ」
「それはどうも」
改めてどこか恥ずかしそうにそう言うステラに私はそう返してから切り分けたハンバーグを頬張る。
……人との巡り合わせ、か。
改めてだけど、恵まれているのは私も同じだと思うよ。
ステラをパーティーに入れた時、追放されて二日目にして気の許せる仲間が二人も出来た事が本当に恵まれてるって思ったけれど……もっと言うとそれは私の人生全体における話で。
そう思える誰かが二人もできたってのは、私の人生にとって本当に大きな出来事なんだ。
これまで私の人生の中で信頼が置けると思えた人間なんて、本当に数える程しか居なかったんだかっら。
もっと範囲を狭めれば……久しぶりにできた友達なんだから。
だから、私も凄く恵まれてる。
これから先もできるなら、こういう関係は長続きさせていきたいと思う。
「あ、えーっと、勿論私もそういう心配してましたよ?」
「態々言わなくても分かってるよシルヴィ」
笑みを浮かべてそう言ったステラは、どこか機嫌良さそうに言う。
「そうだ二人共それだけで足りるか? 良かったら俺の一切れ持ってってくれよ。特にアンナ」
「あ、それは大丈夫です」
「うん、私も……って特にって私の大食いキャラ継続してない? 違うよ?」
確かに凄いカロリー消費した気がするけど、一人前で足りてるから。
とまあそれからも和気藹々と食事を進めた。
楽しく美味しい食事だったと思う。
……さあ、これが終わったら依頼の報告だ。
駆け出し冒険者がSランクの依頼をクリアしてきた訳だけど、どんな反応されるかな。
ちょっと楽しみ……なのとシズクが色んな意味で無事かどうか心配。
だからまあそんな訳で、食事を終えた私達は期待と良く分からない不安を胸に抱いて、冒険者ギルドへと向かう事にした。
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