193 / 280
二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
56 聖女さん、改めて謝罪される
しおりを挟む
それから私達は一旦二手に分かれる事にした。
私とミカが喫茶店の方に。シルヴィとステラとシズクがステラのお店へ向かって子供を親元へと返す。
それからは、さっきのマフィアさん達の事務所で合流する事になってる。
シズク達曰くしーちゃんやルカは、さっきのマフィアさん達の事務所にいるらしいからね。
行かない訳にはいかない。
二人と話すことは一杯あるだろうし、今回の明らかにイレギュラーな事尽くしだった一件について当事者達で話さないといけない事も山程あるだろうし。
とにかく、やる事が終わったらミカの案内でマフィアの事務所へレッツゴーだ。
……字面だけ見たらなんかヤバい事しに行くみたいだ。
……カチコミ?
「腕、大丈夫ですか?」
「うん、ほぼ治ったかな」
地下を歩き疲れて寝ちゃった女の子を背負うミカからそう言われて、私は回復魔術で左腕の治療をしながら答える。
回復魔術は時間が掛かるし、あのレベルの戦闘中に治療するなんて事はできないけれど、そうでなければやっていける訳で、子供達を連れて脱出している間治療を続けていた結果、ほぼ完治した気がする。
まあ流石にまだこれで誰かをぶん殴ったりなんて事は避けたいけど。
「だから変わろっか? 元々私がその子を助けに行ってたんだし」
「いえ、怪我はしっかり治しておいた方が良いですよ」
それに、とミカは言う。
「その子を助けに行ってたのはルカ君も同じですから。引き継ぎます」
……うん、従者がアレならその主人もアレだ。すっごい真面目。
「そういう事ならお願いしようかな」
「はい」
そういうやり取りを交わしてしばらく歩いた後、ミカが言う。
「そういえば、その……改めてになりますけど、先日は本当にご迷惑をお掛けしました」
先日というと十中八九例の山での事かな。
「いいよ、別に。そっちも……というか私達より遥かに大変な状況に置かれてる訳なんだからさ、色々仕方ない所あるでしょ」
「ルカ君から色々聞いてるんですよね」
「そうだね。今ミカの居た国がどうなっているのかとか、そういう話は教えてもらえた。あの山で何をしていたのかみたいな事は殆んど教えてくれなかったけど」
「……すみません。ルカ君が言わないって判断をしたのなら、私の口からもそれは言えないです」
「いいよ別に。アイツの考えている事だから悪い事じゃないってのは分かるしね」
流石にその辺はもう疑ってない。
本人もそう言っていたように、国を救う為にやっていたんだって思う。
その辺は間違いないと思う。
「信頼……してるんですね」
「ん? まあそうだね。中々信頼できる奴だとは思うよ」
……って言う私の言葉を聞いて、ミカはなんだか嬉しそうな表情を浮かべている反面、どこか不安そうな感情も滲み出しているように思えた。
うーんミカ的にルカの事持ち上げられて不安になるような事ある?
……あ、なるほど。そういう事か。
「あ、一応言っとくけど、信頼してるっていっても、ミカが不安になってるような事は無いから」
「え、えーっと……そ、そうですか。なんか気を使わせちゃってすみません」
ミカは少し顔を赤らめて、そして少しほっとしたような表情を浮かべてそう言う。
うん、これはアレだ。完全にそういう矢印がルカの方に向いてるやつだ。完全に好きじゃん。
いやー凄いね。アイツ一国のお姫様からそういう目で見られてるよ。
まあ確かにアイツ普通に顔は良いし、気遣いとかフォローも凄い出来るし、敵対していた私にすら優しいし、とにかく普通に良い奴だし。
そりゃモテるわって感じだよ。
……無事なのは分かったけど、重い怪我とか負ってないといいな。いくらある程度治療はてきるとはいえ。
……それはさておき、私とミカはしばらく会話を交わしながら進んでいく。
その過程で聞いたんだけど、どうやらしーちゃんとシズクとは友達みたいな感じみたい。
……なーんとなく普通の出会い方はしてなさそうだよね。
と、そんな所で。
「此処ですね」
私達はルカと話をしていた喫茶店へと戻ってきた。
「此処だけど……なんで此処って知ってるの?」
「え、あ、いや……その……喫茶店見えたから此処かなって思いまして。アハハハ……!」
「……?」
まあいいや。
早くとにかくこの子をお母さんの所に連れて行こう。
そして私達は喫茶店の中へと足を踏み入れた。
私とミカが喫茶店の方に。シルヴィとステラとシズクがステラのお店へ向かって子供を親元へと返す。
それからは、さっきのマフィアさん達の事務所で合流する事になってる。
シズク達曰くしーちゃんやルカは、さっきのマフィアさん達の事務所にいるらしいからね。
行かない訳にはいかない。
二人と話すことは一杯あるだろうし、今回の明らかにイレギュラーな事尽くしだった一件について当事者達で話さないといけない事も山程あるだろうし。
とにかく、やる事が終わったらミカの案内でマフィアの事務所へレッツゴーだ。
……字面だけ見たらなんかヤバい事しに行くみたいだ。
……カチコミ?
「腕、大丈夫ですか?」
「うん、ほぼ治ったかな」
地下を歩き疲れて寝ちゃった女の子を背負うミカからそう言われて、私は回復魔術で左腕の治療をしながら答える。
回復魔術は時間が掛かるし、あのレベルの戦闘中に治療するなんて事はできないけれど、そうでなければやっていける訳で、子供達を連れて脱出している間治療を続けていた結果、ほぼ完治した気がする。
まあ流石にまだこれで誰かをぶん殴ったりなんて事は避けたいけど。
「だから変わろっか? 元々私がその子を助けに行ってたんだし」
「いえ、怪我はしっかり治しておいた方が良いですよ」
それに、とミカは言う。
「その子を助けに行ってたのはルカ君も同じですから。引き継ぎます」
……うん、従者がアレならその主人もアレだ。すっごい真面目。
「そういう事ならお願いしようかな」
「はい」
そういうやり取りを交わしてしばらく歩いた後、ミカが言う。
「そういえば、その……改めてになりますけど、先日は本当にご迷惑をお掛けしました」
先日というと十中八九例の山での事かな。
「いいよ、別に。そっちも……というか私達より遥かに大変な状況に置かれてる訳なんだからさ、色々仕方ない所あるでしょ」
「ルカ君から色々聞いてるんですよね」
「そうだね。今ミカの居た国がどうなっているのかとか、そういう話は教えてもらえた。あの山で何をしていたのかみたいな事は殆んど教えてくれなかったけど」
「……すみません。ルカ君が言わないって判断をしたのなら、私の口からもそれは言えないです」
「いいよ別に。アイツの考えている事だから悪い事じゃないってのは分かるしね」
流石にその辺はもう疑ってない。
本人もそう言っていたように、国を救う為にやっていたんだって思う。
その辺は間違いないと思う。
「信頼……してるんですね」
「ん? まあそうだね。中々信頼できる奴だとは思うよ」
……って言う私の言葉を聞いて、ミカはなんだか嬉しそうな表情を浮かべている反面、どこか不安そうな感情も滲み出しているように思えた。
うーんミカ的にルカの事持ち上げられて不安になるような事ある?
……あ、なるほど。そういう事か。
「あ、一応言っとくけど、信頼してるっていっても、ミカが不安になってるような事は無いから」
「え、えーっと……そ、そうですか。なんか気を使わせちゃってすみません」
ミカは少し顔を赤らめて、そして少しほっとしたような表情を浮かべてそう言う。
うん、これはアレだ。完全にそういう矢印がルカの方に向いてるやつだ。完全に好きじゃん。
いやー凄いね。アイツ一国のお姫様からそういう目で見られてるよ。
まあ確かにアイツ普通に顔は良いし、気遣いとかフォローも凄い出来るし、敵対していた私にすら優しいし、とにかく普通に良い奴だし。
そりゃモテるわって感じだよ。
……無事なのは分かったけど、重い怪我とか負ってないといいな。いくらある程度治療はてきるとはいえ。
……それはさておき、私とミカはしばらく会話を交わしながら進んでいく。
その過程で聞いたんだけど、どうやらしーちゃんとシズクとは友達みたいな感じみたい。
……なーんとなく普通の出会い方はしてなさそうだよね。
と、そんな所で。
「此処ですね」
私達はルカと話をしていた喫茶店へと戻ってきた。
「此処だけど……なんで此処って知ってるの?」
「え、あ、いや……その……喫茶店見えたから此処かなって思いまして。アハハハ……!」
「……?」
まあいいや。
早くとにかくこの子をお母さんの所に連れて行こう。
そして私達は喫茶店の中へと足を踏み入れた。
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる