ただキミを幸せにする為の物語 SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます

山外大河

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三章 人間という生き物の本質

7 カタナと最強のパーティー

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「では今回の依頼の説明に入りましょうか」

 とりあえずリーナの同行が許可された所で今回の依頼の詳細説明が始まる。

「現在ラーン村周辺に魔獣の出現が確認されています。そして不定期に村を襲うという事件が頻発しているようでして……今回の依頼は村の防衛と、大元の魔獣が生息し始めたポイントでの魔獣討伐になります」

「……なるほどね」

 俺はそれを聞いて頷き、そして問いかける。

「それでその出現ポイントってのは具体的にどこなんですか?」

 元々自分が住んでいた村だ。
 周辺情報はよく知っている。具体的にどこに出現しているのだろうか?
 なんとなくいそうなポイントを想像しながら返答を待っていると、受付嬢のお姉さんは言う。

「それなんですが、今回は冒険者の皆さんを案内するために村を代表してお一人王都に要らしています。そうですね……えーっと、あと一時間もすれば一度依頼が受理されたか確認においでると思うので、その時に顔を合わせて聞いてみるといいでしょう。多分私よりも詳しい話を聞ける筈です」

「……あ、誰か来てんの?」

「なにか不都合でも? あ、そういえばクルージさんはラーン出身でしたね。久しぶりの再会って事になりますね」

「あ、ああ。そうですね」

 俺は思わず苦笑いを浮かべた。
 受付嬢の人は俺がどうして冒険者になったかを知らない。
 だから色々と気まずいという事も知らないのだろう。

 ……ああそうだ、気まずいよ。
 そりゃ俺は助けようと動いているけど……それでも、村を出ざるを得なかった空気が耐えられるものだったかと言えば違うからさ。
 そういう関係性になってしまった相手と改めて顔を会わせるのは……普通に勇気がいるからさ。
 まあ遅かれ早かれ会わないといけないのだけれど。

 ……まあ心構えを決める為にも一応聞いとくか。

「ちなみにその人の名前は?」

 そして俺の問いに受付嬢のお姉さんは答える。

「えーっと、グレンという男性でしたね。ちょうどクルージさんと同じ位の年頃のツンツン頭の」

「え!? グレン来てんのマジで!?」

 その名前に思わずテンションが上がり、そんな声が出てしまった。

「きゅ、急にテンション爆上がりっすね」

「そのグレンって人は一体……」

「親友だよ」

 俺は自然と笑み浮かべながら言う。

「唯一、最後まで俺の味方でいてくれた奴だ」

 そして俺はカタナを手にして言う。

「コイツもグレンに譲って貰った奴なんだよ」

「あ、それ譲って貰ったんすか?」

 リーナが少し驚いた様に言う。

「これ東の国の武器でこっちじゃあまり出回っていない希少品だと思うんすけど……あとなんだったかな、この鞘の刻印……良く覚えて無いっすけど、その筋の巨匠が作ったシリーズの物っすよ。パチ物じゃなければ」

「リーナさん博識ですね」

「以前ちょっと東の国の文化を勉強する機会があったんすよ。その時に少し」

 うん、本当にマジでなんでお前冒険者になったの?
 三カ国後喋れるわ妙に教養あるわでもはや意味が分からん。喋り方アホっぽいのに。

「……その筋の巨匠か。なんか良い奴とは聞いてたけど、そんな貴重な奴なのかコレ」

「まあ本物ならっすけど。仮に本物なら、刀のコレクターが大金を詰んででも欲しがる奴っすよ」

「え、マジか……俺そんなの譲って貰ったの?」

 大丈夫? これ村に帰った時返さなくてもいい?
 と、そう思っていた時だった。

 視界の先に、刀を腰に刺した黒髪ロングで長身の、とてもスタイルがよく美人な女性が映った。
 依頼を熟した帰りなのか、別の受付で取り巻きと共に報酬を受け取っている。
 見ない顔だ。多分冒険者だろうけど、あんな人居たか?
 ……いや、いなかった。流石に記憶に残りやすそうな容姿してるし、なによりカタナ使ってる奴殆ど居ないなーって思っていたんだ。流石にカタナ使いなら記憶に残る。
 うーん。

 そうやってどこかで見た事が無いか考えていた時だった。

「あ、ようやく戻ってきましたか」

 俺と同じくその存在に気付いた受付嬢のお姉さんがそう言った。

「あの、すみません……あの人達は」

「ああ、そういえば二か月近くの長期の依頼を受けていた筈なので、クルージさんやリーナさんは知らないかもしれませんね。アリサさんは……」

「ボクは一応知ってますよ」

「そうなのか?」

「はい。あまりボクは他の人の事は知らないですけど、あの人達の事はある程度なら分かります」

 そしてアリサは言う。

「まず間違いなく、このギルドでトップクラスの実力を持つ最強のパーティーです」
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