ただキミを幸せにする為の物語 SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます

山外大河

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三章 人間という生き物の本質

66 出陣前の晩餐

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 その後俺達は明日持っていくアイテムの点検などを工房内で済ませた後、リビングへと戻る事にした。
 どうやら結構良い感じのタイミンングで戻ってこれたらしく、リビングではリーナが皿を並べていた。

「あ、丁度良かったっす。今から呼びに行こうと思ってた所なんすよ」

 そう言ったリーナがテーブルに並べている皿の上には、なんかこう、うまそうという感想しか沸き上がってこないハンバーグが乗っている。分かる。直感で分かる。これ絶対おいしい奴だ。

「んー三人共良い表情してるっすね。これは頑張って作ったかいがあったってもんっすよ」

 どうやらそのハンバーグに対する期待が俺達の表情に溢れ出ていたらしい。仕方ない、美味そうだし。
 ついでに言えばリーナのドヤ顔も溢れ出している。なんか幸せそうでいいなと思った。
 ……さっきの話もあったから尚更に。

「ささ、冷めない内にどうぞっす」

「おう」

 そして四人でテーブルを囲んで手を合わせる。

「「「「いただきます」」」」

 さて、実食。

「ほんとリーナさんは料理上手ですよね」

「ほぼ間違いなく旨いとは思ってたけど、軽々と想像飛び越えていくわほんと」

「まさか自宅でこんな旨い飯にありつくとはな……肉汁すげえ」

「いやいや、私なんてまだまだっすよ」

 大絶賛からのドヤ顔。多分こうなるであろうと思っていた理想の形に落ち着いた晩飯になったと思う。
 だけど少しだけ、こんな考えがちらついた。
 もしかしたらこれだけの料理の技能を身に付けるに至ったのも、もしかしたら逃避スキルの影響なのではないかと。
 だけどそう考えて、その考えをすぐに掻き消す。
 流石にそれは考え過ぎだと。何かからの逃避の為に料理の腕が上達するとか意味分からねえしな。
 ……まあそもそも、何かからの逃避の為に魔術の習得スピードが異常に速くなってるってのも色々と分からない事だらけなのだけれど。

 ……でもまあとにかく、それをこの場に持ち込んじゃ駄目だと、そう思った。
 少なくとも今この瞬間のリーナは、そういうマイナス的な感情を感じさせない程に楽しそうなのだから。
 だから今はこれでいい。

 リーナが俺達に相談してくれるまでは、これでいい。



 その後、晩御飯を食べながら明日の事について軽く打ち合わせを始めた。
 まず有事の際の陣形だが、グレンを前衛にして俺とリーナで中遠距離からサポートを行う。アリサは現状下手にボジションを縛り付けるのは逆効果だという結論が出て、臨機応変にカバーに入ってもらいつつ敵と相対してもらう事になった。
 改めてこういう風に作戦を立てると、頭一つ……いや、二つ三つ抜けたアリサに自由に動いてもらうという雑にも程がある指示しかできない事を情けなく思う。もう少し俺達がアリサと肩を並ばせられる程に強ければ、ちゃんとした役割分担が。本来パーティーを組んだ時にできるような陣形の組み方が出来るんだけれど……今はまだ、難しい。
 多分、俺の予測ではリーナはすぐにその域に達すると思う。
 だとすれば、問題は俺だ。
 ……とりあえず今日は寝る前に30分……いや、一時間。魔術の教本を読んでおこう。気絶していてあれだけ眠っていたのに酷く眠いから、早めに寝た方がいいと思ったが、そうも言っていられない。

 後は出発時間だとかそういった事を決めて、明日の話はそれで終わり。それだけ終われば最後まで食事を楽しみご馳走さまでした。
 とりあえずそれで終わり。焦りを覚えつつも楽しい時間だったと思うよ。
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