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1-1 賢者と薬剤師
ex 薬剤師と弓使いが去った後
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「いやいや、すみませんねお二方。私は事実を淡々と述べただけなのですが……その所為であなた方のパーティの紅一点がいなくなってしまった」
冒険者ギルドにて、とある一級賢者の男リライタルは、この度加入する事となったS級の冒険者パーティのメンバーであるジーンとロイドに軽く頭を下げる。
早速だが意図しない形で彼らに謝罪すべき事ができてしまった。
少し前、冒険者ギルドへと向かう最中に起きた胸糞悪い一件。
無理難題を押し付けられて恥を掻いた挙句に薬剤師如きに無能だと罵られた一件の薬剤師、レイン・クロウリーは、自身が零した愚痴から発展した話によるとどうやら自分と入れ替わりでこのパーティをクビになった無能らしく、折角なので共通の話題で場を盛り上げる為に彼の話題を掘り下げる事にしたのだ。
薬剤師という存在が。レイン・クロウリーという人間がいかに無能で滑稽か。
そんな話を交わし合った訳だ。
大盛り上がりだった。
虚偽で人を貶める事は誰がどう考えても碌でも無い事ではあるが、それが事実に基づいた話であるならば、話の種としてこれ以上の物はないだろう。
人間結束を深めるには、共通の敵という存在を用意するのが最も手早い手段だ。
だが約一名、そんな話に露骨に不快感を露にした者が居た。
『私、今日限りでこのパーティ抜けるっす。最低っすよ何から何まで。今まで目ぇ瞑ってきたっすけど二人共……いや、三人共頭おかしいんじゃないっすか』
どうやら無能が自分との入れ替わりでこのパーティをクビになった事を知らなかったらしい、アヤという少女だ。
一体何が彼女をそこまで不快にさせたのだろうとは思う。
こちらの語った事に、そしてきっと彼らが語った事にも嘘偽りはない。
端的に事実を述べているだけなのに。
とにかく、ただレインという薬剤師についての話を始めた結果、このパーティから紅一点と呼べる存在が消えてしまった訳だ。
去っていった少女は背丈こそ小さいがそれ以外の発育は良く、顔付も間違いなく上玉だろう。
自分の好みとはズレているが、彼らからすれば囲っておきたい相手では無かったのだろか。
それに関しては一応謝罪の意思は見せなければならないと思う。
だがこのパーティのリーダーであるジーンは笑って答えた。
「別に良いさ。正直こういうビジネスの場で、事の優劣だとか優先順位もまともに判断できねえような馬鹿はそれこそ無能だからよ。仕方なく社会にしがみ付いてる薬剤師って存在が賢者と比べていかに滑稽かも理解できねえってのは相当な馬鹿だ」
「それに何となく波長が合っていなかったんだよな俺達と。今まで仕事仲間だから表に出さなかったけどよ」
「そうそう、合わねえんだ。一々うるせえし、その上喋り方も馬鹿みてえだし。改めて考えりゃマジで馬鹿っていうか、此処が弱いんじゃねえの? 俺馬鹿な女嫌いなんだよ」
そう言いながら自分の側頭部を人差し指で突くジーン。それを見て笑うロイド。
そんな二人に一言告げる。
「頭に回る筈の栄養が胸元に行ってたんじゃないですかね」
「はははッ、成程。それ有るな」
「何が頭おかしいんじゃないっすかだ。頭おかしいというか悪いのはお前の方だっつーの」
ドっと場が湧く。
実際、栄養云々はともかく頭の方は事実だろう。
薬剤師は。
否、薬剤師を含めた旧来の医療従事者は、最早自分達賢者のお零れに群がるだけしかできない存在価値があまりに希薄でどうしようもない存在だ。
そんな未来の無いものに縋り付いている事そのものが知能の低さを表しているし、正当に評価した言葉に意を唱える者もまた同列に知能が低い。
端的に言えば社会のお荷物だ。
それに比べて優秀な自分はどうやら波長も実力も合う良いパーティに巡り合えたらしい。
賢者ではなく薬剤師という荷物を抱えたままSランクにまで上り詰めた優秀な実力を持つ上に、正しい判断を下せる価値観を持った者達。
おそらく彼らが声を掛ければ、賢者である自分を頭おかしい呼ばわりした馬鹿な女の代わりもすぐに見つかるだろうと、そう思う。
そして薬剤師の代わりに賢者の自分が居るが故に、更に上へと駆け上がれる訳だ。
……とにかく、今日は自分に取って素晴らしい門出となる一日だ。
今頃無能故にできもしない事を口走って、絶望に暮れているであろう薬剤師とは違うのだ。
自身の人生は、彼らと比較して圧倒的上位互換である。
冒険者ギルドにて、とある一級賢者の男リライタルは、この度加入する事となったS級の冒険者パーティのメンバーであるジーンとロイドに軽く頭を下げる。
早速だが意図しない形で彼らに謝罪すべき事ができてしまった。
少し前、冒険者ギルドへと向かう最中に起きた胸糞悪い一件。
無理難題を押し付けられて恥を掻いた挙句に薬剤師如きに無能だと罵られた一件の薬剤師、レイン・クロウリーは、自身が零した愚痴から発展した話によるとどうやら自分と入れ替わりでこのパーティをクビになった無能らしく、折角なので共通の話題で場を盛り上げる為に彼の話題を掘り下げる事にしたのだ。
薬剤師という存在が。レイン・クロウリーという人間がいかに無能で滑稽か。
そんな話を交わし合った訳だ。
大盛り上がりだった。
虚偽で人を貶める事は誰がどう考えても碌でも無い事ではあるが、それが事実に基づいた話であるならば、話の種としてこれ以上の物はないだろう。
人間結束を深めるには、共通の敵という存在を用意するのが最も手早い手段だ。
だが約一名、そんな話に露骨に不快感を露にした者が居た。
『私、今日限りでこのパーティ抜けるっす。最低っすよ何から何まで。今まで目ぇ瞑ってきたっすけど二人共……いや、三人共頭おかしいんじゃないっすか』
どうやら無能が自分との入れ替わりでこのパーティをクビになった事を知らなかったらしい、アヤという少女だ。
一体何が彼女をそこまで不快にさせたのだろうとは思う。
こちらの語った事に、そしてきっと彼らが語った事にも嘘偽りはない。
端的に事実を述べているだけなのに。
とにかく、ただレインという薬剤師についての話を始めた結果、このパーティから紅一点と呼べる存在が消えてしまった訳だ。
去っていった少女は背丈こそ小さいがそれ以外の発育は良く、顔付も間違いなく上玉だろう。
自分の好みとはズレているが、彼らからすれば囲っておきたい相手では無かったのだろか。
それに関しては一応謝罪の意思は見せなければならないと思う。
だがこのパーティのリーダーであるジーンは笑って答えた。
「別に良いさ。正直こういうビジネスの場で、事の優劣だとか優先順位もまともに判断できねえような馬鹿はそれこそ無能だからよ。仕方なく社会にしがみ付いてる薬剤師って存在が賢者と比べていかに滑稽かも理解できねえってのは相当な馬鹿だ」
「それに何となく波長が合っていなかったんだよな俺達と。今まで仕事仲間だから表に出さなかったけどよ」
「そうそう、合わねえんだ。一々うるせえし、その上喋り方も馬鹿みてえだし。改めて考えりゃマジで馬鹿っていうか、此処が弱いんじゃねえの? 俺馬鹿な女嫌いなんだよ」
そう言いながら自分の側頭部を人差し指で突くジーン。それを見て笑うロイド。
そんな二人に一言告げる。
「頭に回る筈の栄養が胸元に行ってたんじゃないですかね」
「はははッ、成程。それ有るな」
「何が頭おかしいんじゃないっすかだ。頭おかしいというか悪いのはお前の方だっつーの」
ドっと場が湧く。
実際、栄養云々はともかく頭の方は事実だろう。
薬剤師は。
否、薬剤師を含めた旧来の医療従事者は、最早自分達賢者のお零れに群がるだけしかできない存在価値があまりに希薄でどうしようもない存在だ。
そんな未来の無いものに縋り付いている事そのものが知能の低さを表しているし、正当に評価した言葉に意を唱える者もまた同列に知能が低い。
端的に言えば社会のお荷物だ。
それに比べて優秀な自分はどうやら波長も実力も合う良いパーティに巡り合えたらしい。
賢者ではなく薬剤師という荷物を抱えたままSランクにまで上り詰めた優秀な実力を持つ上に、正しい判断を下せる価値観を持った者達。
おそらく彼らが声を掛ければ、賢者である自分を頭おかしい呼ばわりした馬鹿な女の代わりもすぐに見つかるだろうと、そう思う。
そして薬剤師の代わりに賢者の自分が居るが故に、更に上へと駆け上がれる訳だ。
……とにかく、今日は自分に取って素晴らしい門出となる一日だ。
今頃無能故にできもしない事を口走って、絶望に暮れているであろう薬剤師とは違うのだ。
自身の人生は、彼らと比較して圧倒的上位互換である。
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