242 / 431
六章 君ガ為のカタストロフィ
48 世界の意思 下
しおりを挟む
「アレが……」
その姿に思わず息を呑み、僅かな時間ではあるが体が硬直した。
それはまるでこの世界の存在として認識しては行けないものを見ている様で。生理的に脳が理解する事を拒絶しているようで。エネミーはそれ程までに現実離れした存在だった。
「エネミーと一括りにしても奴らには様々な形態を持つ個体がいくつも確認されている。全てがああいう見た目ではないさ。もっとも姿形が違うだけで皆同一に吸い込まれそうなほどの極黒で、我々人類の脅威である事に変わりはないが」
まあとにかく、と男は言う。
「一目見ただけでエネミーが人の手や自然の中で生まれてくる生態系でない事は理解できるだろう。そしてそのまま今までの話が全て本当の事だったと再認識してくれれば助かる」
……もしも今までの話を殆ど信用せず、ただの妄言だと一蹴していたとしても、こうしてエネミーを見せられればその話の多くを信用せざるを得なかっただろう。
そして俺と同じような感想を抱いたであろう誠一がため息交じりにエネミーに視線を向けて言う。
「……まあ確かにどんだけ否定しようとしても、こんなもんを人の手で用意する事はできねえだろうし、そんで規模は違えどこの感覚は暴走した精霊から感じる感覚のそれとほぼ同じだ。コイツは嫌でもさっきの話の信憑性を上げてきやがる」
同じ。そこまで俺と誠一が抱いた感想は同じだった。
だけど同じだったのは此処までだ。此処から先はまるで違う。
正確に言えばそこで立ち止って俺とは違い、誠一はその先へと踏み込んだ。
「だが……アレは本当に今の人類がどうにかできない様な相手なのか?」
「……誠一君?」
宮村が何を言っているのだろうという風にそう名前を呼び、誠一は結果的にそれに答えるように男に問う。
「俺は魔術師の中でも特別強いわけじゃねえ。いつだって肝心な時に何もできねえ無能だよ。だがもしこのエネミーってのが俺程度の魔術師でも十分に戦える相手なら色々と前提条件が変わってくるだろ」
そして誠一は一拍空けてから男に言う。
「アンタらが勝手に弾きだした勝率を書き換えてやる。だから一度あの化物と戦わせろ」
「成程。キミの言いたい事は分かった。どうやらキミは余程親友を異世界へと送りたくはないらしい」
「当然だろ! 可能性があるなら俺はギリギリまで抗うぞ! 栄治やエルがどんな覚悟決めようと関係ねえよ! あんな世界にはもう絶対に行かせるべきじゃねえ!」
先の会話で一度は押し黙った誠一が、此処に来て感情を爆発させるようにそう言いだした。
「その為だったらダチとして、何とだって戦ってやるよ俺は!」
「……なるほど、良い友達を持ったな」
男は俺にそう言った後、改めて誠一に向き直って言う。
「まあキミの気持ちは分かる。誰だって得体の知れない場所ならまだしも、得体の知れてる碌でもない所に親しい人間など送りたくはないだろうさ」
だがな、と男は言う。
「残念だがキミがやろうとしていた事は無意味だよ」
「無意味だと……?」
誠一は驚いた様にそういう反応を見せる。
だけど誠一には悪いが、それに関しては俺も同感だった。
それは決して誠一の事を悪く言いたい訳では無い。
寧ろその逆だ。
「キミはどうやら自分の事を低く評価しすぎているらしい」
誠一はもしかすると目の前の男に、誠一程度の魔術師では役不足だと思われていると思っているのかもしれないが、そうじゃない。
「キミも相当な実力者だ。そうでなければキミ程度の出力で天野宗也の攻撃を数発だけでも捌くという事は成しえなかっただろう。そうでなくともキミの活躍は耳にしている。今のキミの班長という地位は決して家柄や兄のお零れの様な物では無い。……色々思い通りにいかなくて苦悩しているのかもしれんがね、キミは充分に優秀な人間だよ。故にキミなら倒せるさ。今更有能な人間の活躍を見せられて我々は一体何を変えればいい?」
……男の言う通りだ。
俺は男の様に誠一の対策局での活躍を知っているわけではない。だけどこれだけは言える。
誠一があんな化物程度に負けるわけがないだろう。
「そもそもエネミーとの戦いは我々魔術師だけの手で行われるものではない。先程も言ったが、自衛隊を始めとした各国の軍隊も重要視すべき戦力だ。例え魔術師側に何か変化があってもそれだけでは左程勝率は変わらん。故に何も覆らんよ」
「……じゃあ一体何をどうすりゃそれは覆る」
「必要なのは単純な技術革新だよ。魔術という異能の力も。兵器という科学の力も。今以上に発展したその先に世界の意思に抗う為の希望が見えてくる。そしてそれは一、二日でどうにかなる問題でもないだろう。今キミにできる事は親友とその契約精霊。二人を無事異世界に送り届けるためのサポートだけだ。もっとも何度も言うが、どれだけ条件が揃っていたとしても、一、二日で世界は動かせんよ」
「くそ……ッ」
「現実を見るんだ。今の我らにも今のキミ達にも、世界を変える事はできない。変えられるのは精々が自分達の周りの親しい誰かの未来位だ」
男がそう言った時だった。
「……さて、そうこうしている内にご連絡だ。仕事が早くて助かるよ」
そう言いながら男はマナーモードにしてあった携帯に掛かってきた着信に応える。
そしてその間、俺達が何も言えないでいる中で誠一が一言、静かに口にする。
「……わりぃな、ロクな事できねえで」
そう言う誠一は拳を握りしめる。
「なんだって俺はいつも何も守れないんだろうな」
「それは違うよ、誠一君」
俺が何か言葉を探すよりも早く、宮村が誠一にそう声を掛けた。
「誠一君は――」
だがその先の言葉を言いかけた所で、電話に集中してこちらの話の流れをまるで知らなかったのか、通話を切った男が話に割りこんでくる。
「さて、どうやら後は作戦を実行に移すだけとなったようだ」
おそらく今の通話相手が対策局に潜りこんでいるイルミナティの人間だったのだろう。
「ではとりあえずやるべき事をキミ達に伝えておこうか」
そして誠一が最後まで納得しなかったエルを救うための手段を伝える為に、男は話し始める。
対策局からエルを連れだす為の作戦概要を。
その姿に思わず息を呑み、僅かな時間ではあるが体が硬直した。
それはまるでこの世界の存在として認識しては行けないものを見ている様で。生理的に脳が理解する事を拒絶しているようで。エネミーはそれ程までに現実離れした存在だった。
「エネミーと一括りにしても奴らには様々な形態を持つ個体がいくつも確認されている。全てがああいう見た目ではないさ。もっとも姿形が違うだけで皆同一に吸い込まれそうなほどの極黒で、我々人類の脅威である事に変わりはないが」
まあとにかく、と男は言う。
「一目見ただけでエネミーが人の手や自然の中で生まれてくる生態系でない事は理解できるだろう。そしてそのまま今までの話が全て本当の事だったと再認識してくれれば助かる」
……もしも今までの話を殆ど信用せず、ただの妄言だと一蹴していたとしても、こうしてエネミーを見せられればその話の多くを信用せざるを得なかっただろう。
そして俺と同じような感想を抱いたであろう誠一がため息交じりにエネミーに視線を向けて言う。
「……まあ確かにどんだけ否定しようとしても、こんなもんを人の手で用意する事はできねえだろうし、そんで規模は違えどこの感覚は暴走した精霊から感じる感覚のそれとほぼ同じだ。コイツは嫌でもさっきの話の信憑性を上げてきやがる」
同じ。そこまで俺と誠一が抱いた感想は同じだった。
だけど同じだったのは此処までだ。此処から先はまるで違う。
正確に言えばそこで立ち止って俺とは違い、誠一はその先へと踏み込んだ。
「だが……アレは本当に今の人類がどうにかできない様な相手なのか?」
「……誠一君?」
宮村が何を言っているのだろうという風にそう名前を呼び、誠一は結果的にそれに答えるように男に問う。
「俺は魔術師の中でも特別強いわけじゃねえ。いつだって肝心な時に何もできねえ無能だよ。だがもしこのエネミーってのが俺程度の魔術師でも十分に戦える相手なら色々と前提条件が変わってくるだろ」
そして誠一は一拍空けてから男に言う。
「アンタらが勝手に弾きだした勝率を書き換えてやる。だから一度あの化物と戦わせろ」
「成程。キミの言いたい事は分かった。どうやらキミは余程親友を異世界へと送りたくはないらしい」
「当然だろ! 可能性があるなら俺はギリギリまで抗うぞ! 栄治やエルがどんな覚悟決めようと関係ねえよ! あんな世界にはもう絶対に行かせるべきじゃねえ!」
先の会話で一度は押し黙った誠一が、此処に来て感情を爆発させるようにそう言いだした。
「その為だったらダチとして、何とだって戦ってやるよ俺は!」
「……なるほど、良い友達を持ったな」
男は俺にそう言った後、改めて誠一に向き直って言う。
「まあキミの気持ちは分かる。誰だって得体の知れない場所ならまだしも、得体の知れてる碌でもない所に親しい人間など送りたくはないだろうさ」
だがな、と男は言う。
「残念だがキミがやろうとしていた事は無意味だよ」
「無意味だと……?」
誠一は驚いた様にそういう反応を見せる。
だけど誠一には悪いが、それに関しては俺も同感だった。
それは決して誠一の事を悪く言いたい訳では無い。
寧ろその逆だ。
「キミはどうやら自分の事を低く評価しすぎているらしい」
誠一はもしかすると目の前の男に、誠一程度の魔術師では役不足だと思われていると思っているのかもしれないが、そうじゃない。
「キミも相当な実力者だ。そうでなければキミ程度の出力で天野宗也の攻撃を数発だけでも捌くという事は成しえなかっただろう。そうでなくともキミの活躍は耳にしている。今のキミの班長という地位は決して家柄や兄のお零れの様な物では無い。……色々思い通りにいかなくて苦悩しているのかもしれんがね、キミは充分に優秀な人間だよ。故にキミなら倒せるさ。今更有能な人間の活躍を見せられて我々は一体何を変えればいい?」
……男の言う通りだ。
俺は男の様に誠一の対策局での活躍を知っているわけではない。だけどこれだけは言える。
誠一があんな化物程度に負けるわけがないだろう。
「そもそもエネミーとの戦いは我々魔術師だけの手で行われるものではない。先程も言ったが、自衛隊を始めとした各国の軍隊も重要視すべき戦力だ。例え魔術師側に何か変化があってもそれだけでは左程勝率は変わらん。故に何も覆らんよ」
「……じゃあ一体何をどうすりゃそれは覆る」
「必要なのは単純な技術革新だよ。魔術という異能の力も。兵器という科学の力も。今以上に発展したその先に世界の意思に抗う為の希望が見えてくる。そしてそれは一、二日でどうにかなる問題でもないだろう。今キミにできる事は親友とその契約精霊。二人を無事異世界に送り届けるためのサポートだけだ。もっとも何度も言うが、どれだけ条件が揃っていたとしても、一、二日で世界は動かせんよ」
「くそ……ッ」
「現実を見るんだ。今の我らにも今のキミ達にも、世界を変える事はできない。変えられるのは精々が自分達の周りの親しい誰かの未来位だ」
男がそう言った時だった。
「……さて、そうこうしている内にご連絡だ。仕事が早くて助かるよ」
そう言いながら男はマナーモードにしてあった携帯に掛かってきた着信に応える。
そしてその間、俺達が何も言えないでいる中で誠一が一言、静かに口にする。
「……わりぃな、ロクな事できねえで」
そう言う誠一は拳を握りしめる。
「なんだって俺はいつも何も守れないんだろうな」
「それは違うよ、誠一君」
俺が何か言葉を探すよりも早く、宮村が誠一にそう声を掛けた。
「誠一君は――」
だがその先の言葉を言いかけた所で、電話に集中してこちらの話の流れをまるで知らなかったのか、通話を切った男が話に割りこんでくる。
「さて、どうやら後は作戦を実行に移すだけとなったようだ」
おそらく今の通話相手が対策局に潜りこんでいるイルミナティの人間だったのだろう。
「ではとりあえずやるべき事をキミ達に伝えておこうか」
そして誠一が最後まで納得しなかったエルを救うための手段を伝える為に、男は話し始める。
対策局からエルを連れだす為の作戦概要を。
0
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる